遥かなるサンクトペテルブルグ

何年か前、人に頼まれてドイツ ハンブルグ大学の教授(当時62歳、独身。都市建築が専門)を我があばら家に2泊させたことがあるが、1年以上経ってスッカリ忘れた頃、厚さ４センチほどもあるずっしりと重いサンクトペテルブルグの写真集を送って来ました。

添えられていた手紙には、我々夫婦に対する丁重な礼文や訪日旅行の後日談とともに、滞在中彼が「世界で最も壮麗で設計の整った都市はロシアのサンクトペテルブルグだと思う、是非一度行ってみろ」と私に話した事に触れ、この写真集を見ればきっとその気になるという主旨のことが書いてありました。別れて1年以上何の挨拶もなかったので、ホームステイ慣れしたトッポイ外人だと思っていたのに、ニューヨークのメトロポリタン美術館でこの写真集を見つけて私を思い出し、急に贈ってくれる気になったらしく、日本人の常識からは少々テンポが外れている彼のことをあまり良く思っていなかった自分に恥ずかしさを覚えたものです。
それ以来、何かにつけてサンクトペテルブルグのことが気になり、TV番組を見たり、貰った写真集を何度もひっくり返したり、関連のツアーに問い合わせたりしては居るが、確かに彼の言う通り街並みも宮殿も庭園も全てがあまりにもゴージャスでスケールも雄大なことに加え、都市全体が美術品のように取り澄ました感があり、現地の一般庶民の生活振りもどうも今一良くわからない等々で、何故か旅行をhesitateしてしまうのです。(2005年5月記)