パペット劇場ふらり旅 ~広島~

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

楽塾歌劇『真夏の夜の夢』(下北沢・本多劇場)

2007-05-11 | 演劇
縁があって今回の芝居を観にいくことになったその幸運に感謝である。
流山児祥という人はずいぶん前から名前だけは知っていたがそのヤクザっぽい風貌と公演もなんとなくヤバそうな感じで敬遠気味だった。
つくづく人を見かけで判断しちゃいけないと反省する。

楽塾』は、45歳以上の男女による地域密着型の大人のための演劇ワークショップ劇団だという。現在、平均年齢55歳(48歳から65歳)。
その10周年記念ということで本多劇場での公演である。

密かに思うところがあって出かけてきたのだが、当日券ありの掲示にふと不安がよぎる。地方で前売り券を買った私の入場整理番号がなんと5番だったのだ。
ところが開演時間には後方の若干の空席を残してぼぼ満席。開演をしらせる影マイクは演出の流山児さん自らがアナウンスしている。

シェイクスピア原作「真夏の夜の夢」。翻案:野田秀樹。
有名ではあるがシェイクスピアの芝居は登場人物が入り乱れてとてもわかり難い。ここにさらに弾丸のような野田秀樹の言葉遊びが拍車をかける。
無謀としか思えないがこれが最高に面白かった。アマチュアの役者であることをしばしば忘れるほどみんな芸達者のなのだ。
着物のようなドレスのような野田秀樹の芝居にぴったりの雰囲気の衣装がステキ。
メンバーは女性ばかりだから男の役者は流山児★事務所からの客演。
台詞劇に声が聞こえなくては台無しなので全員マイクこそつけていたが、今時の音響は素晴らしくて自然な肉声をきれいに拾ってくれる。
役者が階段状の舞台をダイナミックに動き回る歌あり踊りありの楽しい野田ワールドだ。劇中歌には懐かしい昭和の歌謡曲がいっぱい流れて、特に荒木一郎の「いとしのマックス」が懐かしかったわあ。

精一杯やれば素人役者もここまでやれるのかと感動する。歌って踊って台詞にもちゃんと感情がのっている。
役者に余計なことをする余裕がない分、そこは演出の腕の見せ処でもある。野田芝居ながら流山児ふうのアレンジがたっぷりだったらしい。

仕事を持ち普通に生活をしている主婦が芝居をするとなるとどれだけの困難や問題ごとが起こるだろうか。あんなにたくさんの台詞、歌や踊りの振り付けをどうして覚えたの? 
そんないっさいを忘れさせる舞台の魅力があふれていた。なんと輝かしい奇跡であろうか。
芝居の水準としてはもっと高いプロの技があるかもしれない。
だが観おわった後、不思議な感動と何よりも勇気が湧く。
プロには決して出来ない何かがあるのだ。

カーテンコールで流山児さんの舞台挨拶。
今年は創立以来始めての地方公演を、そして海外公演も予定しているとのこと。
なんかすごくカッコよかった。



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