2008-07-17
「親の背中を見て育つ」と言うけれど、悩み多き記者は、落ち込むと夏目漱石の背中を眺めにいく。正確に言えば、東京の雑司ヶ谷霊園にある夏目漱石のお墓の背中をじっと見にいく。
先日、久しぶりに行くと、なんと漱石の墓石の上に猫が寝ていた。そして、その前を通る人たちが、なぜか一言ずつコメントを言ってから通り過ぎていくので面白かった。
「漱石の化け猫がいる!」
「墓石は冷たくて気持ちいいんだろうね」
「我が輩は子猫である、まだ眠い……」
安楽いすを模した巨大な墓石は、正直、評判が悪い。最初、見たときはびっくりした。だから、記者は正面からではなく後ろの墓石に書かれた「俗名 夏目金之助」の名前を読み、心で手を合わせて、「悩む力」増強! とうなる。これが記者の秘密の儀式だ。
ちなみに小説「こころ」の舞台となった霊園の銀杏通りにこの漱石のお墓は位置する。
(7月11日 東京 雑司ヶ谷霊園)