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今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会「地域枠」と「女性医師」、文科副大臣が問題提起◆Vol.7

2011-07-13 | 医科歯科ニュース
今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会「地域枠」と「女性医師」、文科副大臣が問題提起◆Vol.7

2011年7月9日 橋本佳子
 
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 文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」(座長:安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)の7月7日の第7回会議で、同省は、「これまで検討会で出た主な意見」と「今後の論点」についての資料を提示した。

 「これまで検討会で出た主な意見」としては、医学部の新設については賛否が分かれているため(『 医学部新設めぐり、ヒアリング3人の賛否が対立』などを参照)両論を併記したほか、大学や自治体などによる医師派遣システム、研究医あるいは総合医の養成、地域枠など地域に医師が定着する仕組みなどの必要性を指摘。「今後の論点」としては、医学教育の改革、医師派遣・確保、研究医の養成、グローバルな視点での医師養成――の4点を提示。

 早ければ、8月に予定されている第8回会議で、8月末の2012年度予算概算要求を控え、「中間取りまとめ」の案が提出される可能性もある。座長の安西氏は、医師の地域偏在は、都道府県単位ではなく、より狭い地域単位で見ていく必要性を指摘。その上で、議論が医学部定員だけでなく、多岐にわたる現状を踏まえ、「すべてがリンクしている問題であり、医学教育、医学部定員などについて責任を持ってこの検討会が議論していく必要がある」との認識を示した。

 会議の最後に挨拶した、鈴木寛・文部科学副大臣は、「地域枠については、来年度に向けて、どう発展させていくか、定員数だけの問題ではなく、どのように地域医療につなげていくのかが課題。何か施策を一歩踏み出していきたい」とコメント。さらに、厚生労働省が2011年度から全国15カ所で先行的に実施する「地域医療支援センター」を例に挙げ、行政と医療関係者が連携して医師の地域偏在解消に取り組む必要性を指摘した上で、「フェロー的な人材、地域医療に協力する人材に対するインセンティブを設けることについての意見も聞きたい」とした。

 女性医師をめぐる就業環境の整備の遅れも指摘、この問題は男性医師についても当てはまるとし、「先輩医師の過酷な労働環境を見て、優秀な高校生が医学部進学をためらっている現状なども認識することが、わが国の医療の発展には不可欠」と指摘した。そのほか、医師国家試験の見直し、留学生の受け入れや海外の医育機関との連携による医学教育の国際化などの点にも言及した。


第7回会議は、3時間近くに及んだ。次回会議は8月に予定。2012年度概算要求をにらんだ議論が続く。

 地域定着率、地域枠等89%、一般枠54%

 第7回会議のディスカッションは多岐にわたったが、地域枠のあり方、総合医の養成、女性医師問題などが中心になった。

 文科省のまとめによると、地域枠は、ここ数年、急速に増え、2007年は21大学173人だったが、2010年4月現在、67大学1171人に増加。札幌医科大学、岩手医科大学、福島県立医科大学、金沢医科大学、滋賀医科大学、和歌山県立医科大学のデータでは、入学者が卒業大学のある県内に定着している率は、一般枠の54%に対し、地域枠等では89%と高い(大学により集計年は異なる)。

 名古屋大学総長の浜口道成氏は、「ここ数年間、各大学は地域枠を増やしてきた。以前は奨学金が出ない地域枠も多かったが、それでも各県に定着している。今の問題点を解決するヒントはここにあるはず。財源的な手当てなども含めて、いかに充実させるかが重要ではないか」との見方を示した。

 そのほか、「自治医科大学卒業生の場合、義務年限の時期は約6割が山村かへき地などに勤務しており、義務年限が終わっても約3割はこれらの地域に勤務している。地域枠を設けるだけでなく、例えば、へき地等に勤務する医師に対する奨学金制度を作るなど、生きがいを持てる別の新たなシステムを作ることにより、地域枠がより機能するようになるのではないか」(京都大学医学部附属病院長の中村孝志氏)、「地域枠を選んだ、志を持った学生に対して、その志を持続させるために、いかに差別化した教育をしていくかが、地域枠を生かすポイント」(長崎大学学長の片峰茂氏)など、地域枠を支持する意見が相次いだ。

 一方、地域枠については慎重に検討する必要性を指摘したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。「地域枠の卒業生は、地域に定着するというが、実態はどうなのか。奨学金を増やすことが有効なのか。奨学金を返却して、他の地域に移動することもある。また、地域枠の学生のカリキュラムが、他の学生と異なることが、“差別”につながっているというデータもある。単に地域枠を増やせば、問題解決するかと言えば、それは少し違うだろう」(中川氏)。

 地域枠卒業者の地域定着については、卒業大学の都道府県にとどまっても、県庁所在地周辺か、あるいはへき地等に勤務しているかという問題がある。この点に関連し、「地域医療の見える化」に着手していることを明らかにしたのが、日本病院共済会代表取締役社長の山本修三氏。GPS機能を用いて、地域別、専門科別に医師がどんな地域にいるか分析した結果を次回会議に提示する予定だとした。

 
日本医師会副会長の中川俊男氏(右)は、「医師養成についての日本医師会の提案」(第2版)を説明。

 「総合医は、スーパードクターではない」

 総合医をめぐる議論は、「総合医とは何か」、その定義が委員の間で分かれていたため、かみ合わない議論が続いた。

 文科省は、地方公共団体からの要望例を紹介し、「地域医療において、総合的な診療能力を持つ医師(総合医)の必要性を指摘する声が上がっている」と説明。半数程度の大学が、「プライマリ・ケアについて独立した科目として授業と実施している」とした。

 ほぼ全診療科の患者を診るスペシャリストとしての「総合医」を想定してコメントしたと思われるのが、国立社会保障・人口問題研究所所長の西村周三氏。「総合医の養成で、医師不足がある程度、緩和されるとの期待があるのではないか。高齢者が増える中で、専門医という深みを取るか、あるいは様々な病気を複合的に見る医師を増やすかという選択肢があるが、個人的には後者の方がいいと考えている」(西村氏)。中村氏も、「プライマリ・ケアができれば、地域で総合医としてやっていけるわけではない。総合医を機能させるためには、そのための資格や報酬体系が必要」と述べた。

 これに対し、「裾野が広い知識や経験を持つ医師」を想定してコメントしたと思われるのが、片峰氏。「専門医と総合医は対立する概念ではない。医学部の学生は、総合医的な素養も学びながら、将来の専門科もにらみ、“二足のわらじ”を履く。卒業後、ある一定の年限は専門医として学ばないと、きちんとした医師が育たない。その後に専門医になるか、あるいはプライマリ・ケアをやるかなどの選択になってくる」(片峰氏)。

 他にも同じようなスタンスの発言が見られた。「産婦人科はすべてを診ないと務まらない。提供する医療は、病院、あるいは地域(の診療所など)かなど、医師が仕事をする場所によって違うだけではないか」(東京都立多摩総合医療センター産婦人科部長の桑江千鶴子氏)、「総合医は、自分のテリトリー以外も十分に分かる専門医、という切り口でいいのではないか。医学教育は必ず専門医から入る。専門医かつ総合医的な視点を持つ医学教育をやっていくべき」(独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄氏)。

 座長の安西氏が想定していたのは、スペシャリストとしての「総合医」。「大学教授に総合医がいないと、医学生は総合医としてのキャリアパスが描けないのではないか。総合医としてトレーニングできる場があるのか」と質問。これに対し、中川氏は、一部の大学に総合診療部があり、教授がいることを説明。さらに、「総合医として、何もかも診るスーパードクターをイメージしているのではないか。総合医とスーパードクターは違う」ともつけ加えた。

 「女性医師問題は、地域枠と同じくらいの重みあり」

 女性医師に関連して発言したのが、浜口氏で、「女性医師の問題は、地域枠と同じくらいの重みがある。今の医学部の3、4割は女性。産婦人科では、20代は約70%、30代は約50%が女性だが、卒後年数が経つと次第に外科的なことをやらなくなる傾向がある。(出産、育児期などの)数年間のサポートが劇的な変化を生む」と指摘。桑江氏も、「産婦人科では、他科に先駆けて女性医師問題に取り組んできた。今までは妊娠したらダメと言われたが、それが少しずつ変わってきた。高齢社会になり、在宅医療をはじめ、女性医師が活躍できる分野は多い」などとし、女性医師を活用できる体制が必要だとした。

 そのほか、第7回会議では、中川氏は、2011年4月にまとめた「医師養成についての日本医師会の提案」の第2版を説明。2011年1月の第1版に、様々な医療関係団体の意見を聞き、修正したとし、「医師の養成改善と医師偏在の解消の第1歩になればと考えている」と説明。本提案では、卒前・卒後一貫教育の観点から、医学部4年終了時に、共用試験(CBTとOSCE)を実施、6年終了時の国家試験は、上級OSCEとし、参加型の臨床実習の成果を見る内容にすべきとしている。さらに、医師の偏在解消のため、初期研修では、「都道府県ごとに医師研修機構、それを束ねる全国医師研修機構連絡協議会を設置し、研修希望者数と募集定員数をおおむね一致させる」ことなどを提言している。

 1月の提言からの主たる変更点は、「初期臨床研修は、原則として出身大学のある都道府県で実施」としていたのをやめた点(『日医、医師養成制度の改革案発表、「医学教養」導入など提案』を参照)。「反対意見が多く、自由に研修先を選ぶことが重要ではないかということで修正した。研修希望者数と募集定員数をおおむね一致させることがポイントであり、これが医師偏在解消の第一歩になる」(中川氏)。また初期研修で導入されている医師臨床研修マッチングシステムとの兼ね合いについては、「(既に研修医を多く確保している病院との)既得権益との戦いになるが、これを何とか突破する必要がある。医療界の合意を取り付けることはかなりハードルは高いが、やっていかなければならない」と中川氏は説明した。

 さらに、片峰氏は、「保健医療分野における長崎大学の国際戦略―熱帯医学を中心に―」と題し、熱帯医学ではアフリカ、ベトナム、被曝医療ではベラルーシに拠点を持ち、展開している現状を紹介した。片峰氏は、「国際医療では学位が重要であり、ロンドン大学やハーバード大学など、ブランドがある海外の大学に、志を持つ人が流れている」と訴え、自前の人材育成・教育システムを導入し、確立する必要性を訴えた。


天然と同じ働きの歯再生 マウス幹細胞から成功 理科大、移植し機能も確認

2011-07-13 | 医科歯科ニュース
天然と同じ働きの歯再生 マウス幹細胞から成功 理科大、移植し機能も確認
2011年7月13日 提供:共同通信社




 マウスの幹細胞から作った歯のもとになる「種(たね)」を、完成された歯になるまで育ててから口内に移植し、かんだり痛みを伝えたりといった天然の歯と同じ働きを持たせることに、東京理科大の辻孝(つじ・たかし)教授(再生医工学)と大島正充(おおしま・まさみつ)助教らのチームが成功した。米科学誌プロスワンに12日発表した。

 人への応用に課題は残るが、チームは「新しい歯科再生治療の考え方を示せた」としている。

 チームは、マウスの胎児にあり、歯のもとになる「歯胚(しはい)」に含まれる上皮細胞と間葉細胞を集めて作った歯の種を、マウスの腎臓に移植。

 50日後には、物がかめる程度の硬さがある再生歯と、歯を支えるあごの「歯槽骨(しそうこつ)」、その間でクッションのように働く「歯根膜(しこんまく)」を含んだ塊に育った。1本だけでなく、4本の歯から成る塊を作ることもできた。

 これを取り出し、マウスの歯を抜いた部分に移植すると、再生された歯槽骨が次第に周囲の骨と一体化。歯と歯根膜、歯槽骨が固定された上、血管や神経も周囲から入り込み、移植した歯に加えた刺激が脳に伝わるようになった。

 人に応用するには、種の材料となる細胞を胎児以外から調達する方法や、体に負担をかけない培養の仕方、移植できる程度に育つ期間の短縮方法を、さらに研究する必要があるとしている。

 チームには東北大、東京医科歯科大、オーガンテクノロジーズ社(東京)も参加した。


「放射能排出に効果」  未承認薬販売の容疑

2011-07-13 | 医科歯科ニュース
「放射能排出に効果」  未承認薬販売の容疑
2011年7月13日 提供:読売新聞




 人体から放射能を排出するとうたい、国内未承認の医薬品を販売したとして、県警は12日、所沢市中富南、会社員宮西啓明容疑者(33)を薬事法違反(承認前医薬品広告、無許可販売)容疑で逮捕した。

 発表によると、宮西容疑者は3月15日から6月にかけ、インターネットのホームページで、厚生労働相の承認を受けていない医薬品「スピルリナCA1800」(1800錠入り、1本1万4280円)を「人体の放射能を排出するのに効果的」と宣伝し、販売業の許可を得ず、草加市や福島市などの41-21歳の男女計4人に計5万7120円で販売した疑い。「効果があると思っていた」と供述しているという。

 計120件の注文を受け、260本(計約340万円)を売り上げた疑いがあり、ホームページでは「チェルノブイリ事故の放射能障害にも効果的だった」「白ロシア共和国保健省の放射能医療研究所が結論づけた」ともうたっていた。

 県警によると、宮西容疑者が扱っていた商品は、海中の藻を使った健康食品という。