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中学受験が終わってものんびりできない。「ハーバード大学と東京大学の二兎を追え」スタート

2011-07-11 | 医科歯科ニュース
国際的リーダーが求められる資質を磨く
縮小する一方の日本市場だけで食っていけるか?
福原 正大


 「子供の中学受験がようやく終わって、4月から私立中学の1年生になったんだ。これでようやくホッとできるね」

 「できない、できない! うちの子は中学2年生だけど、大学受験のために塾に行かせようと思っている。今から勉強をさせ、旧帝国大学を目指させようと考えているよ」

 「すごいね。わが家の子供にも早慶、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)には行ってほしいとは思っているけど」

 子供の教育について、上記のような話を居酒屋で友人とすることはないでしょうか?

 こんな時、隣の席から
 「米国の一流大学は目指さないの?」
 と口を挟むとどうなるでしょうか?

 おそらく、
 「考えていないよ」
 ということでおしまいでしょう。

 では、こう続けたらどうなるでしょうか?
 「ハーバード大学のサンデル教授の授業や、スタンフォード大学の授業をテレビで見た。あれはすごかった。僕が受けた、日本の大学の退屈な授業とは違ったよ。先生が黒板に向かってひたすら書き続ける授業ではない。議論が中心で面白いね」

 さらに、こう続けたらどうでしょう?
 「楽天では英語が公用語になった。社食のメニューも英語表記。子供たちが30代の働き盛りになるころには、日本人以外の従業員がもっと増えて、ほとんどの企業で英語が公用語になっているのではないの?」

 将来を生きる子供たちは、今の日本の高等教育で通用するのかな?


日本の市場は縮小、成長するのは中国・インド

 時代は大きく変わりつつあります。日本の少子高齢化は急速に進んでいます。日本の市場は今後小さくなることが予想されます。中国やインドの台頭が著しいのはご承知の通り。国際社会における日本のプレゼンスは小さくなる一方です。このような環境下、これからの子供たちは「日本を含めた世界の素晴らしい大学で勉強し、世界で活躍する国際的な日本人」を目指す必要があるのではないでしょうか?

 本コラムでは「国際的な日本人を目指す」時代に必要な教育に興味を持っている親御さまや教育に携わっている方に向けて、東大とハーバード大の両方に合格するためには、どうすればよいのか、をお伝えしていきます。

 「東大」と「ハーバード大」と言ったのは、良い教育をする大学の象徴としてです。この点を最初にお断りしておきたいと思います。「京大」と「イエール大」でも、もちろんかまいません。東大以外にも良い教育をする日本の大学があるのはご存じの通り。そして、ハーバード大を含むアイビーリーグの大学、スタンフォード大学やMIT(マサチューセッツ工科大学)、リベラルアーツの大学はどれも特徴を持った素晴らしい一流大学です。

 また、このコラムでは、ハーバードをはじめとするアメリカの大学への入試対策を取り上げていきます。日本と教育システムが似ており、進学しやすいからです。欧州やアジアにも良い大学はありますが、アメリカの大学を中心に話を進めます。


なぜ東大とハーバード大の二兎を追うのか?

 「国際的な日本人を目指す」ために、なぜ、東大とハーバードの二兎を追うことが役立つのでしょうか?

 もちろん、お子さまの合格自慢をするためではありません。早い段階から双方を目指した学習をすることが、新しい時代に合った国際的な日本人への近道だからです。二兎を追う理由を説明する前に、新しい時代にあった国際的な日本人は、どのような能力を持っているべきなのか考えてみましょう。

 国際文化会館理事長の明石康、日本国際交流センター理事長の山本正、元国連大使の大島賢三の3氏を発起人とする提言「グローバル人材育成に関する提言――オール・ジャパンで戦略的に対応せよ」は次の資質を挙げています。「論理的思考」「強い個人」「教養」「多様な人と新しい価値をつくる能力」「問題設定・解決力」「情報収集・分析力」「外国語でのコミュニケーション能力」「異文化理解・活用力」です。

 筆者も、これからの時代にふさわしい国際的な日本人像を明確に描き、それが備えているべき資質を定義する議論の一部に参加しました。

一方、米国では、これからの時代に必要な人材をどのように考えているのでしょうか?米国を代表する大学院で定義した21世紀に必要なリーダーシップ像を、リサ・ジアナンジェリさんはこう答えてくれました。同氏は、スタンフォード大学ビジネススクール(GSB)でディレクターを務めています。

 「答のない問題に対して、自らのよって立つ意見の前提を意識したうえで、論理的な解決方法を見つける能力(Critical Analytical Thinking)を持っていること。自らを深く見つめ、強みや弱み、存在意義を理解すること(Personal Leadership)。創造性や多様性が持つ価値を理解し、実践的な制約の中で新しい考えを生み、応用できる能力(Innovative Thinking)。この3つの力が必要だとGSBは考えています」

 実は、東大とハーバード大の二兎を追っていると、日米双方が考える国際的リーダーが持つべき資質を身につけることができるのです。

 東京大学を目指す過程では、広範な科目を深く勉強する必要があるため、教養の基礎と論理的思考を身につけることができます。ハーバード大学を目指す過程、特にエッセイを書く過程(詳しくはこの連載でお伝えします)で、自らを深く知り、問題設定・解決力、情報収集・分析力、コミュニケーション力を学んでいくことになります。そして、留学生に課される英語試験「TOEFL iBT」対策の中で、外国語でのコミュニケーション能力をつけるとともに、異文化理解・活用力を学ぶことができます。そして米国大学の共通入試であるSAT(Scholastic Assessment Test)で高得点を取るためには、徹底的なCritical Analytical Thinkingが必要なのです。

 いかがでしょうか? お子さまが二兎を追うことで、これからの時代に適した力を育成できるのです。具体的な二兎の追い方は、今後このコラムでお伝えします。


多くの企業が海外で通用する人材を求めている

 お子さまが二兎を追うことを決め、ハーバード大と東大の両方に合格し、ハーバード大学に行きたいと言われたらどうしますか? 多くの親御さまが、これまで考えたこともないことではないでしょうか。ハーバードを含めた米国の一流大学に入学・卒業することに意味があるのかを見ていきましょう。

 「米国一流大学を目指す」ことを考えた時に、皆さんの多くが抱く不安は何でしょう?

 「米国一流大学を卒業しても、就職先がないのでは? 日本企業の幹部人事を見ていると、結局、東大・早慶などの国内一流大学を出ていることが昇進のカギになっているように思える」

 こうした不安に対して、住友金属工業との世紀の大合併をこの2月に決断した新日本製鉄の宗岡正二社長のコメントが答になるのではないでしょうか。宗岡氏は「合併の理由は?」という最初の質問に対して、「両社共通の課題として、グローバル化を担う人材が不足している」と答えました。

 経済産業省の「グローバル人材育成委員会」が実施した企業への調査結果によれば、74.1%もの企業が「海外展開において人材が不足している」ことを今後の課題として挙げています。

 皆さんのお子さまが企業で活躍するようになるのはこれから10~30年先。その時代には、日本の人口は減少し国内のマーケットは小さくなっているでしょう。ゴールドマンサックスが2007年3月28日に発表したレポートは、2050年の日本のGDP(名目、米ドルベース)はインドネシアにも抜かれて世界の8番目になっていると予想しています。

 これまでの「東大や早慶で学び日本の大手企業に勤めて、国内で出世を目指す」という成功方程式が機能しない可能性が高まっています。一方で、グローバル人材を目指して、米国の一流大学で学び、世界を舞台に、日本企業の海外拠点や外資系企業で活躍することが新しい成功方程式となるかもしれません。


「国連」「サンフランシスコジャイアンツ」「ゴールドマンサックス」

 では、米国の一流大学を卒業した人たちの就職状況はどうなっているのでしょうか? 日本の高校生が米国の一流大学に進学するのを手伝うボランティア団体「アメリカ学部卒業生ネットワーク」(USCANJ)を立ち上げた山本嘉孝さんにお話を聞きました。山本さん自身もハーバード大学を卒業しています。

 「米国の一流大学を卒業した多くの方と触れ合う機会があります。彼らが選んだ進路や、就いている仕事の多様性にいつも驚かされます。皆さんに共通していることは、『自分の道は自分の手で切り拓く』ということが徹底的していることです」。

 グルー・バンクロフト基金――日本の高校を卒業し米国一流大学へ進学する学生に対して50年以上にわたって奨学金を支給している――のホームページには、米国の一流大学に進学した学生が卒業後どのように活躍しているかの情報が載っています。外務省、NHKといった国内機関のほか、国連、サンフランシスコジャイアンツ、ゴールドマンサックス、など、非常に多様で、素晴らしいキャリアを送っていることがお分かりいただけるでしょう。

 お伝えしたいことは、米国の一流大学に進学しても、お子さまの就職の可能性を低くすることはない、ということです。もちろん、お子さまが米国の一流大学の進学も考えた上で、日本の一流大学を選ぶのであれば、それは素晴らしいことだと思います。