Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「ラ・ラ・ランド」ざっくり感想。

2017-03-13 21:03:12 | 映画

※若干ネタバレがあります。ご注意ください。







3月4日に、地元のシネコンで映画「ラ・ラ・ランド」を見てきました。今年のアカデミー賞の監督賞、主演女優賞、その他諸々を受賞しまくった話題作なので、田舎のシネコンでも公開期間は長いだろうと踏んではいたのですが、何があるかわからないので早めに見に行こうと思ったわけです。でも、せっかく早めに見たのに、感想を書くのは1週間も後になってしまいました。理由は簡単。何と書いたらいいのかわからなかったからです。ミュージカル映画といえども、監督があの「セッション」の人だから、きっと一筋縄ではいかないとは予想していたのです。でも、きっとミュージカル映画だし、主人公2人が恋に落ちてすったもんだするらしいし、「セッション」よりはとっつきやすくてカタルシスが得られる映画なんだろうなと、勝手に期待していたのです。

なのになぜでしょう。最後まで見終わったら狐につままれたような顔になってしまいました。
前評判でも、主役の2人の歌とダンスについてはあまり触れられていなかったので、そのへんについては推して知るべしだと思ってはいたのですが、あれだけ宣伝でミュージカルミュージカル言ってたのに、見終わってみたらミュージカルパートはメインディッシュじゃなくて前菜レベル、下手するとお通し程度のインパクトしかなかったんじゃないかという気がします。いや、だからと言ってこの映画がつまらなかったわけではないのですが。自分の想像していた、今までに見て面白いと思ったミュージカル映画や音楽映画とかなり違ったので、戸惑ってしまったのです。でもこの戸惑いは、同じ監督の「セッション」を見た時にも感じたので、この監督の映画の受け止め方として、間違ってないのかもしれません。感想は人それぞれですけど。

宣伝では、女優を目指すミア(エマ・ストーン)と、ジャズピアニストをめざすセブ(ライアン・ゴスリング)の恋模様が映画の主題みたいにされていましたが、実際見たら別に恋愛至上主義の映画ではないし、うっかりカップルで見に行ったら気まずくなりそうな結末でした。この映画における主人公二人の恋愛のを否定する気はありませんが、もうちょっとひねった宣伝はできなかったのかともやもやはしました。

もちろん、ミアとセブが、お互いにとって大切な存在だったのはわかるし、一方で映画の最後に出てきたifの世界が正解というわけではなくて夢まぼろしだということもわかります。あのifの世界は、現実にはありえないほど都合がよすぎるし。2人がともに手を携えて、夢を叶えていくifの世界は、まるでジョージ秋山の「銭ゲバ」の最終回みたいで、最後にどんな最悪なオチが来るんだろうとビクビクしながら見てしまいました。なので、最初に書いた「狐につままれたような顔」というのは、最悪なオチを回避できたことからくる虚脱感もあると思います。最後の最後に現実を突き付けてくるところは同じですけど。そこで終わってしまうのか、人生が続いていくのかが違うだけで。

主題だと思っていた恋愛が割とドライに描かれていたのに対して、予想外にロマンチックというか運命的な存在だったのが、ミアの叔母さんでした。ミアが女優を目指しているのは、女優だった叔母さんの影響から。最初は口から出まかせで叔母さんをだしにしてるのかなと思ってたのですが、中盤、ミアが叔母さんの思い出を歌で語る重要な場面で、ミアはホントに叔母さんに影響を受けていたことがわかって、うーんと唸らされました。もしかすると、ミアにとっては、女優になるべく自分の背中を押してくれた恋人のセブよりも、女優だった叔母さんのほうが大切な存在なんじゃないかと。作中、ミアは最初から最後までずっと、緑色の石のついたペンダントネックレスをつけていました。いつもつけてる割にはそのペンダントの由来についての説明がなくて、見終わってからふと“あれは叔母さんの形見なんじゃないか”と勝手に思ったのですが、どうでしょう。本当のところはわからないけれど、ミアの過去と現在と、たぶん未来もずっと彼女に寄り添い続けるのはこのネックレスなんだなと思うと、チャゼル監督の視点がわかるような気がしました。いや、実際のところはどうか知らんけど。

「セッション」でアカデミー賞助演男優賞を獲得したJ.K.シモンズは、今作でもセブがピアニストを務めるレストランのマネージャー、ビル役で登場。「セッション」での鬼教官ぶりの印象が強いので、セブがビルの指示通りの曲を弾かなかったときは、見ているこっちがヒヤヒヤしました。さすがに、「セッション」の時のように怒鳴りつけることはありませんでしたが。彼も成長したんですねぇ(←違うだろ)

これから春休みに入るので、話題の映画が次々公開されるわけですが、残念ながら私の見たい韓国映画「アシュラ」と「コクソン」と「お嬢さん」は、香川県の映画館での上映がありません。多分、都市部での上映が終わってからホールソレイユに来るとは思うのですが。その前に「トリプルX」を見なきゃ!急がないとレイトショーのみになっちゃう!!


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