あらすじ:バブル全盛期を舞台にした、たっくんとまゆの青春ラブストーリー。
※ここから先は微妙にネタバレがあります。ご注意ください。
最近、読みなれている作家さんの本ばかりよんでいるので「今まで読んだことのない作家の本を読んでみよう」と思って、この本を手に取りました。
ネットでの評判とかオビの推薦文(ふかわりょうだけど…)とか裏表紙の解説とかを読んで、
「これは一見恋愛小説に見せて、最後にあっと驚く大どんでん返しがあるのだな」
と警戒しながら読んだのですが…
まず読み終わって最初に感じたこと、それは
「バブルは遠くなりにけり」
…です。当時小学生だったので、出てくる単語のほとんどがチンプンカンプンでした。
そしてしばらく経ってから思ったのが、
「たっくんはバカだなぁ。でもマユはもっとバカだなぁ」
最初は「マユ…恐ろしい子!」って思ったけど、振り返ってみるとマユも気の毒な子だな、と(詳細は後ほど)。
前半、たっくんが合コンで出会った年下のマユに振り回され、それでも独自の(?)理論で自分を納得させてめでたく恋人同士になって聖夜を迎えるまでは、たっくんのバカさかげんにイライライライラして、読んでて気分が悪くなりました。胸がむかむかするのをガマンしながら、心の中で「バカ!いいかげん気がつけよ!」と何度毒づいたことか。第一、チューとエッチを一度にまとめていいのは30過ぎてからなんだよ!(『マンハッタン・ラブストーリー』より)そこですぐに気がつけよ!…ったく、これだから童〇は…。
というわけで前半はイライラむかむかしながら読みましたが、後半は…なんというか、意図的にそう書いてるんだろうけれども、あまりのトレンディ・ドラマ的展開に読んでるこっちが恥ずかしくなりました。前半は思春期の息子の日記を読んだような気まずさがありましたが、後半は思春期の息子が書いたポエムみたいで、読みながら自分の歯が浮きすぎて大気圏を突破するんじゃないかと心配してしまいました。トレンディ・ドラマのパロディだと思って読めばいいんでしょうけど、書いてる作者はどうだったんでしょうねぇ。背中やお尻がムズムズしたりしなかったのかしら。
ところで、最初に「私はバブルを知らない」と書きましたが、バブルは知らなくともその後の“バブル崩壊後の就職氷河期”については私もよく知っています。なので昼行燈みたいにぼんやりしたたっくんが富士通から内定もらっていると知った時は「なんでお前が!」と突っ込みを入れてしまいました。そりゃ、たっくんは理系だから、女のことはよくわからなくても技術者としては将来有望なのかもしれませんけどね。就職してから数年後、バブル崩壊の波にのまれたたっくんがどうなるのか…考えるだけで胸がわくわくします(おい)。
さて、この小説に仕掛けられた「トリック」について。この小説は裏表紙の解説に「最後から二行目で、まったく違う物語になる」とあるのですが、少なくとも私には、最後まで読んでも“まったく違う”物語にはなりませんでした…。なぜなら物語が始まってすぐの段階からマユの態度には“なんか変”な違和感があったし、読み進めるうちにその違和感はどんどん膨らんで、最後の二行を読んで「やっぱりね」とストンと納得できたから。そして仕掛けがわかってすっきりした以上、それまで延々と繰り広げられていた”たっくん”の痛い妄想はもう読みたくなかったです。もし、最後の二行までがもっと面白かったなら、もう一度読む気になったかも。
「イニシエーション・ラブ」を読んだ後、ネタバレ解説サイトをいくつか覗きましたが、舞台が静岡なので地元の方にはご当地小説としても楽しめたそうです。私も静岡在住の友人がいるので、彼女にこの本を読んでもらって感想が聞きたいです。でもバブル当時の話だから、彼女も読んでてピンとこないかも…?
最後に、「マユも気の毒な子」と思う理由ですが、文庫本の解説でA面(小説の前半、Side-A)を聞いているときには、B面(小説の後半、Side-B)も一緒に回っているのだ(←ネタバレなので反転)とあるのですが、マユを見てると私にはA面が終わったらB面になり、B面が終わればまたA面に戻る(←これもネタバレになるので反転)ように思えるので。いわゆるオートリバース(←またまた反転)というやつです。つまりある意味、“たっくん”とマユは永遠なわけですね。あと、気の毒に思ったもうひとつの理由は婚前交渉(久しぶりに聞いたわ)があったことがバレるのが嫌だからという理由で、子供を堕ろしてしまったことですかね。21世紀の今ならまた違う結果になったんだろうけど…近いようで遠いんだなぁと、バブルの頃と現代との時の隔たりを感じました。明智抄の「若人の倫理」(←知ってる人いるかしら)みたいなノリだったら、まだカラッと笑えたんだけど。
人間って金あると何も考えなくなるのねw
そんなバブルを昼行灯で過ごした連中が若者に説教垂れてるのが可笑しくて仕方がないのだ、最近。
旦那、バブル入社組なりw
なんか、つまんないコメントしちゃったな、俺。
おうおうおう。
>バブルの時ってほんとみんな阿呆だったと思うわ。
人間って金あると何も考えなくなるのねw
まあ、いい言い方をすれば余裕があったんだろうな。たとえ根拠のない余裕でも。
>旦那、バブル入社組なりw
そうか、その世代なのか!
じゃあ、今日から君の旦那はたっくんだ!(←こらこら)
わざわざ本屋で立ち読みしなくても、図書館で座って読むほうが体が楽だぞ~
いまどき、中学生でもしないぜ!みたいな。
でも、田舎な静岡だったら有りかもしれません。
>ご当地小説
そうですね。まったくその通りです。
ええ、海水浴は静波海岸ですね。
友人(著者と知り合いらしい)が
「(著者が)男の人なのに、女に嫌われそうな性格悪い女の子、書くの上手いな~」
と思ったらしいですが、
わたしは、「こんな女の子は珍しくないよな~」と思いました。
あと、最初から勘ぐって読んだので、なんとなく最後は読めたです。
ネタバレシーンでも特にゾっとはせず、ってカンジでした。
この作品によく出てきたマックは今、スタバで、時代を感じますです。
こんばんは~
>でも、田舎な静岡だったら有りかもしれません。
いやいや~、私の地元に比べれば静岡は大都会ですよぅ。
私の地元じゃ、周りの友人に内緒でつきあうなんて絶対無理ですもの。
>わたしは、「こんな女の子は珍しくないよな~」と思いました。
そうそう。私も「こういう子いるいる~」って思いながら読みました。
性格悪いとまでは思わなかったけど、バブル期らしく物欲の強い子だな、と。
>ネタバレシーンでも特にゾっとはせず、ってカンジでした。
私もゾッとはしなかったですね。
そこにいたるまでの小説の世界があまりにうさんくさかったので。
>この作品によく出てきたマックは今、スタバで、時代を感じますです。
マックがスタバに…時代ですねぇ。
そういやこの小説に出てくる小道具は、最近では見かけないものばかりですね。
平成生まれがこの小説を読んだら、どんな感想を持つのかしら…
…
そんな女の子は珍しくもないよな。
この著者って10歳以上も俺らより上なのね。
>ネタバレblogを読んでしもた。
おお~やってもうたか~
>そんな女の子は珍しくもないよな。
珍しくないな。
自覚のない昼行燈が一番ひっかかりやすいタイプだ。
>この著者って10歳以上も俺らより上なのね。
んだ。登場人物と同世代だな。
バブル世代が読むとノスタルジックで面白いのかもね。