昨日、卒業式の答辞と、写真をアップしたところ、300を越えるアクセスがあり、皆さんホームページを見て下さっているのだな・・・と思い、今日も更新しています。
今日は、卒業式も終わり、一段落。新学期の準備をするために、小高中学校へ行ってきました。
3月も末になるので、街に少しは変化があるかなーーと期待を胸に出かけたのですが、街の様子は全く変わっていませんでした。
相変わらず崩れ落ちたままの家、倒れた塀、陥没した道路、倒れたままの電柱、流されたままの自家用車・・・
インフラの整備なんて、今の様子では夢のまた夢だな・・・とがっかりして帰ってきました。
学校は相変わらずすくっと建っていました。3年生はここから巣立ちたかったろうな・・・と思いながら写真に納めてきました。
しかし、残念ながら、校舎を支える地盤が沈下し、校舎と土台の間には陥没があります。
体育館前駐車場の亀裂もそのままです。
教室には、避難した方々の布団がまだ、敷いたままです。
でも、後ろ向きにはなりません。4月には新入生30名が入学してくる予定です。
皆さんを、よりよい条件でむかい入れるために、私たちは全力で準備しますからね。
昨日の卒業式の答辞を皆さんにお届けします。
私は、教頭という立場上、事前にこの答辞を見せてもらいました。
この答辞を目にしただけで、涙があふれそうになりました。
昨日の長谷川聖南君は、この答辞をほとんど暗記をし、心を込めて語りました。
その全文を全国の皆様にお届けします。
春は空から、そして土から動く。耳をすませば、湧きあがる春の息吹、春のささやき、春の歓喜の声が聞こえる。
今ここに卒業の日を迎え、三年間を振り返る時、あまりに速い時の流れに戸惑いを覚え、また、小高中学校生として、卒業できる喜びを、今、胸にかみしめています。
一昨年前、私たちを襲った未曾有の大震災。まさしくあの日は、先輩方の晴れやかな卒業式が行われ、別れの涙も乾かないうちの出来事でした。誰が、今の状況を想像していたでしょうか。
私たちの何がいけなかったのだろう。何の天罰だろう。天を仰ぎ、何度自分に問いかけたかわかりません。
確かに手の中にあったものが、確かにそばにあったものが、一瞬にしてこぼれ落ちていきました。当たり前の日常がこんなに儚いものだったなど、知るよしも在りませんでした。
私たちのふるさと、私たちの生まれ育った家。私たちの母校。
そして、尊い多くの命。仲間。
行き場のない憤りと、やり場のない切なさは、一年たった今も決して消えません。
失ったものはあまりにも大きくて言葉になりません。
しかし、私たちは、今、ここに生きています。みんなと一緒に、今、卒業を迎えられます。そのことを幸せに思い、私たちは一歩ずつ進んで行かなくてはいけません。
生徒の人数は減り、小高中学校、本校舎での卒業式は叶いませんでしたが、それでも私たちには苦楽をともにしてきた仲間がいます。その仲間とかけがえのない多くの宝物を手に入れることができました。
時期は遅れましたが、半分諦めていた修学旅行にも行くことができました。仲間と過ごしたあの三日間。本当に楽しくて楽しくて笑顔が絶えることはありませんでした。
そして、数々の思い出あふれる群青祭。中学校最後の群青祭は、規模こそ小さいものでしたが、今まで以上に学校全体が一つになって取り組んだということを実感できるものでした。遠く離れた友達との二元中継や、昼食にいただいた美味しいハンバーガー。ご支援くださったたくさんの方々の温かいお心遣いと、それを実現させてくださった先生方に心から感謝いたします。
私たちはこんなにも大切な宝物を仲間と共にいつの間にか見つけていたからこそ、今日という日まで、頑張ってこられたのだと思います。一緒に泣いたり、笑ったりするのも今日が最後だと思うととても淋しくてなりません。今日を境に別々の道を歩き出しますが、私たちはこれからもずっと友達です。今まで本当にありがとう。
在校生のみなさん。これから悩み事も増えていくと思いますが、一人で悩まず相談することです。この学校には親身になって相談に乗ってくださる先生がたくさんいます。正面からあなたと向き合い、受け止めてくれます。私たちは今日、このすばらしい小高中学校をあなた達に託します。今よりももっとすてきな学校にしていってください。
そして、私たちを、時には厳しく、そして優しくご指導くださいました先生方。本当にお世話になりました。今日までにかけていただいた数々の温かいお言葉は私たちの心の支えとなりました。本当にありがとうございました。
また、いつも温かい心で見守り続けて下さったお父さん、お母さん。時には八つ当たりをしたり、迷惑をかけたりしたこともありました。私たちにはわからない苦労もあったことでしょう。しかし、どんな時でも私たちを陰で支えてくれました。こんなに成長した私たちの姿を見て下さい。言葉では言い表せないぐらい、感謝の気持ちで一杯です。
最後に、今、切実に噛み締めている思いがあります。「人は誰だって一人で生きていくことなんてできない」ということです。昨年の震災を受け、私たちは日本中の、いえ、世界中の人たちからの温かい励ましやご支援をいただきました。こんなにも人と人とのつながりを感じたことはありません。震災で失ったものは大きいけれど、でも、そのために気づいたものも大きいのです。だから、私たちも、周りへの感謝の思いを決して忘れず、一瞬一瞬を大切に、一生懸命に生きようと思います。私達の後ろには、支えてくれる人たちがいる。仲間がいる。だから、立ち止まっても、遠回りをしてでも、自分の道を探ししっかりと歩んでいきます。
ありがとう、三年生のみんな
ありがとう、在校生のみなさん
ありがとう、お父さん、お母さん
ありがとう、先生
ありがとう、小高中学校
ありがとう、私達を支えてくれた全ての方々
皆さんへの感謝の思いを胸に、私達は今、一歩を踏み出します。今、みんなと一緒に卒業します。
ご来賓の皆様を始め、先生方、保護者の皆様、本日は私たちの卒業を祝っていただき、本当にありがとうございました。私たちは、決して震災に負けません。これから多くのことを学び、経験を積んで、必ずふるさと小高の地を再び取り戻すための担い手となることを誓い、答辞の言葉とさせていただきます。
平成二十四年三月十三日
本日9時25分から第40回卒業証書授与式を行いました。
天気予報は見事に外れ、晴天の中での卒業式です。なんと強運な卒業生なのでしょう。
卒業式は、厳粛な中にも感動の式となりました。
校長式辞、教育委員会あいさつ、南相馬市長様からの祝辞、PTA会長様からの祝辞、どなたのお話の中にも、震災のことが触れられ、避けては通れない運命の中で、頑張った卒業生へのねぎらいのことば、そして、「未来の小高を頼むぞ」という励ましのことば・・・本当に胸を打たれ、涙を流す生徒が多々おりました。
今までの経験ですと、祝辞で涙を流すというのはまれに見ることですが、やはり今年の卒業式は特別な意味を持った式典だったのだと、深く思いました。
手前味噌になりますが、送辞と答辞も立派でした。その詳細については、明日のホームページでお知らせしたいと思います。
立派な卒業生を育てて下さった保護者の皆さん、厳しい環境の中で頑張った卒業生・・・本当におめでとうございました。
そして、先生方もめいっぱい頑張りました。特に、担任の小林先生、清信先生、主任の藍原先生にねぎらいのことばを贈りたいと思います。
本校の卒業式が、今日18:10以降NHKで放送されるそうです。
是非、ご覧下さい。
明日は、県立高校入試発表・・・強運な卒業生の合格発表に期待したいと思います。