昨日、日本ハムの斎藤祐樹投手が引退登板した。オリックス戦、7回に先発の上沢投手から継投、打者一人(福田周平選手)を相手に3-2と追い込んだものの、四球を与えて降板となった。プロでの11年間、生涯成績は15勝26敗、防御率4.34だった。
夏の甲子園での、田中将大投手との延長再試合での投げ合いの末の優勝、東京六大学時代の通算30勝など、学生野球での実績は輝かしいものだった。一方で、プロ野球では期待されたほどの実績を残すことはできなかった。
成績からすれば、もっと早く契約を打ち切られても不思議はなかった。厳しいプロの世界では、本来、若手選手にその枠を譲るべきとする考えもあるだろう。それでも、現役を継続させたのは、4球団による競合の末、この人気者の指名権を得て、そして、育てきれず、また、けがのケアもうまくいかなかった日ハムの球団また名将 栗山監督としての責任を全うしたということか。
これまで、日ハムはドラフトに強く、斎藤選手、エンゼルスの大谷選手、現巨人の中田翔選手、斎藤選手の早実の後輩である清宮選手などを獲得している。特に、大谷選手は斎藤選手が結果がでずに苦しむ中、投打に活躍し、現在はメジャーをも席捲する存在となった。
斉藤投手は、大谷選手の活躍を横目に、最後まで復活を期して自らのポジションを探し続けたことだろう。結局、そのポジションをつかむことができずに引退となった。
今年、8月、競技も年齢も違う一人の選手の涙、というより、号泣を見た。
東京オリンピック、男子サッカー3位決定戦でメキシコに敗れた際に、若干20歳の久保選手は、人目をはばからず、悔しさのあまり号泣した。この涙はこれからのサッカー人生に前向きになるために必要な涙だったろう。
一方、昨日の斎藤投手がベンチで流した一筋の涙は、与えられた境遇のなかで精一杯やり切ったことを物語っていたと感じた。対戦したライバルがメジャーで華々しく活躍し、同じチームに在籍した若者が、野球の母国全体を揺るがす選手となったことと比較し、悔しい気持ちももちろんよみがえったかもしれない。複雑な涙だ。
これからのために必要な涙、そして、これまでの競技人生を振り返り総括するような涙。
涙が乾いた後、それぞれにどんな人生が展開されるのだろう。実に興味深いものだ。
(2021.10.17の出来事)
10/17 日本の新型コロナ感染者数 429人(東京 40人 大阪 71人)