“坂の上の雲”

登っていく坂の上の青い天に、もし一朶の白い雲が
輝いていてもいなくても、また坂を登っていきます。

12/07/15『オソウシ温泉:鹿乃湯荘』

2012-07-15 | 日記

特集オソウシ温泉!


オソウシだよぉ~ん

 

 

新得町屈足(くったり)オソウシのオソウシ温泉にこの日は泊まりました。

この僕がまた温泉を語る・・・

そもそも温泉ファンでもないのに薀蓄を語って泉質を云々するのは憚られます。

しか~し、この温泉は最高です

 

湯は秘湯のまま、今回のトムラウシ山行メンバーだけでその良さを共有しておればよい話で

はありますが、せっかく訪れたわけですから、希少で価値ある情報はやはり語りたい。

 

全国で、アトピーで悩んでいる方は是非この無骨ブログの特集を見てください

残念ながら、ちょっとぐらい温泉好きで、冷やかしの方は、この行で離脱していただいてけっこう

で~す。

それとが嫌いな人にはお勧めいたしません。



7月15日(日)、 

トムラウシ山から下山の4時30分、さすがに12時間の疲れがどっと出て、すぐにでもお湯に浸かって

“ビール”と叫びたいところです。

しかし、まずは「田んぼアルバイト」で泥々に汚れた靴や装備を前泊のトムラウシ温泉東大雪荘

できれいに洗ってから、この日泊まる「オソウシ温泉」に向かわねばなりません。

 

ここで館主に電話で確認しました。

「ただ今5時、これからそちらに向かいますがどれぐらい掛かりますか?」

「そうですね、東大雪荘からだと1時間以上はかかりますね。食事は到着時間に合わせますので

どうぞごゆっくりと・・」

はて?距離にして30kmぐらいで1時間もかかるかなぁ?と思いつつ、説明を聞く、、

「新得町に向かって降りてくる途中にある赤く大きな橋(東大雪橋)を過ぎてすぐ左に入り口があり

ますので、そこを曲がって6kmほど道なりに進んでください。」

 

ふむ、6km、大した距離ではないではないか、早く温泉、そしてビールが飲みたいと心の中で

ツィートして一路「オソウシ温泉」に移動します。

 

赤い橋はとても立派なので見間違える人はいないでしょう。しかし、それを過ぎて左・左・・・

おっ?!これか?

 

Kennyさん

「看板がありましたよ」

「えっ、そんなのありましたか?かなり目立たないですねぇ」「おまけにこの道、、、林道ですね・・・」

登山に林道は付きものですが、温泉行きの道でまたまた6kmのアルバイトはいささか疲れます。

注:よく使う「アルバイト」とは、予想“外”に時間と体力を使うことを言います。
   因みに、アルバイトは、すればするほど根気と体力がついて人生が楽しくなります。 

 

道なりにまーっ直ぐ来ました。

そしてありました鄙びた温泉『オソウシ温泉鹿乃湯荘』なかなか立派というか、イメージ通りの

鄙びた感の漂う温泉宿です

 

帯広、新得町側から右折する道路は2011、9月の豪雨以降今も通行

 

 

待ってましたとばかりに館主ががっちりとした体躯のワンコと一緒に出迎えてくれました。

本日は、貸切です!どうぞごゆっくりと・・・」

バウッバウっハーハーハー、(よそもの、良く来た!)

 

そっかぁ、貸切は良かったぁ~!

満室になってもあまり意味をなしそうにない券売機は館主自らお金を挿入

一同は皆、足早に温泉に入り込み、乾いた喉にビールを流し込もうと必死です。

 

温泉で

「皆さん、この温泉は、なにかヌルヌルとしますね」

「はぁ、海っぺたの温泉にはよくヌルヌルとしたお湯が売りの温泉がありますが、ここは山の中、

トムラウシ温泉とはまったく泉質が違いそうですねぇ」

 

本日、貸切の男湯です。

 

などと言いながら、泉質の話は後刻館主にゆっくり聞くとして、まずは硫黄泉強アルカリ泉かけ

流しとやらのお湯に嬉々として浸かるメンバー面々、この日のトムラウシ山登山の疲れがが一気に

癒される瞬間です。

あぁ気持ちイイぃ

 

夕食

お酒は、持ち込み自由ということで昨晩に引き続きアイスボックスに残っているありったけの

ビールを飯台に広げ、その日の登山談義、苦しかった登り下りの話題に花が咲きますチングルマ

 

料理はまだまだこれから・・の図

 

さて、その日の夕食は一言で家庭料理、それも良い意味で館主と奥さん二人で用意してくれる

山の家庭料理なので、他の旅館やホテルでは味わえない独自の味付けです。

美味しいしボリュームもあり、大満足です。 

 

女性のブログではないので料理を細々と紹介しませんが、男のブログとしてはこの温泉旅館の

何を・・・・と言って、経営理念をご紹介致しましょう。

道楽でやっている!

失礼、これは経営理念などではなく、雇われ館主さんが口にした最も心ひかれるフレーズを僕が

勝手に理念と解釈しました。

 

つまーり、道楽でもないとこのような料金以上の料理など出せるはずもなく・・・

北海道内の何処かで上がったという根ホッケは、釣りホッケです。

釣ってきた魚は原価がゼロでしょうと言うなかれ、店で仕入れるよりずっと高くつくのです。

その根ホッケを源泉であらってすぐに冷凍にする。干すより旨味が増して美味しいという仕組みを

聞いて一同納得

 

むむっ、そしてお米が旨い!

これも強アルカリpH10.0の源泉で炊いているので絶品、甘みのある“おぼろづき”

ご飯になるという物語・・・参りましたね。

 

長野県あたりにはpH11なんていうアルカリ泉もあるようですが・・・とにかく道内では珍しいんです

 

さて、翌朝も温泉三昧です。

 

露天の源泉かけ流し風呂は混浴です。貸切なので女性用にも客が居ないことをいいことにいろいろ

と探索します。(居ないより居た方が良い-が正しい)

源泉浴槽(24~26℃)にまず入り、まったりとします。

 

 すだれの奥が女風呂ですが、内風呂は男風呂より狭いようです。

 

流々と掛け流しているため浴槽に淀みがなく、底まで綺麗です。

それから、ぬる目の浴槽(39~40℃)で・・・

僕がこれだけ長く温泉に時間を費やすのは生まれて初めてではないのか?

低い温度でも体が馴染めば、お湯に同化していく感じがわかります。

冬は厳しいものがあるかなぁ、などと考えながら・・・

おっ

何やら壁にへばり付いているのはもしかして? 

はぁ、これは幼少のみぎり、山里には沢山見られた“ミヤマクワガタ”ではないですか。

 

微動だにせず張り付いたまま動こうとしないクワガタ君

大人になってもかっこいいものはかっこいいぃ 

そうした秘湯感に浸りつつ、朝食時、館主に根掘り葉掘り訪ねたのはKennyさん、

 

その昔、ここはアイヌが見つけた温泉で、その後開拓の歴史の中で工作機械工場が近くにできたため

湯治場として冬場を中心に続けられることになりました。

 

その他、熱心に新得町の開拓の歴史をお勉強するKennyさん
  (新得町は、山形県からの移住者が開墾した土地らしい)

続けられてはいるが、歴代経営が思うようにいかない。

道楽というのは大事なことで、こんな素晴らしい温泉も採算が合わなければとうに無くなっていてもおか

しくないものを、ある企業のオーナー社長さんが「無くしたくない」という思いから続けている、続けられて

いるらしいのです。(館主は道楽オーナーさんに雇われている真面目なサラリーマンです)

 


 

その昔、鹿が湯治に訪れた・・・

と言うよりも、今も朝には鹿が源泉を飲みに通っているらしい。

動物は、体に良いことを自然から取り入れるのだと言いますが、この旅館の番兵隊長“わたなべ

健太郎”(秋田犬)君2歳半も、ときどき源泉を飲んでいるらしい。

当然、人間だって飲めます

飲めますが、保健所は細かいことに煩いので“飲用”とは書いていません。

お味は、ほんのり茹で卵の香がします。

 番兵してます!バゥ!


源泉に最初に浸かるとヌルヌルするのは、角質化した肌が更新されていくからだとのこと。

な~るほどぉ、昨晩から今朝にかけての長風呂後は、そう言われてみるともうヌルヌルはもう無くなっ

て体が絞まった感じがしますねぇ

風呂上りは肌がかなりスベスベしてるではありませんか。

恐るべしPh10.0、この数値はよくわかりませんが、北海道中の温泉の中で最も強アルカリ泉なんだとか。

近く雑誌で紹介されるそうです。

効能はウィキペディアに書かれている通りだけれど、特に良いのはアトピーなんですねぇ。

全身、顔まで酷いアトピーに覆われた本州からの湯治客さんは、

約3ヶ月、週4日の温泉療養ですっかり肌が良くなり、見違えるよう

になって帰っていったという話を直接誠実そうな館主から聞きました。

この時点で僕はもう信者です。

そして、この話を近くで悩んでいるであろうアトピーの人に伝えたくなくてはなりません。

 

さらに話は続きます。

この温泉の源泉は、お伝えのように28℃(浴槽内24~26℃)と低温であるため、沸かすた

めの熱源にものすごくお金がかかるのです。

そりゃそうです。5人貸切だろうと一人の日帰り客に対してであろうと、常にお湯は温めておかな

ければなりませんね。

 

ボイラーだけではありません、

館主ご夫婦二人だけで冬は林道数キロの除雪もやらねばならぬのです。

はぁ、この話を聞いている間にも、

たま~に通りかかったライダーが一人、バイクを鳴らして訪れてきましたが、すかさず反応した

“わたなべ健太郎”某が近くで吠えまくったので、ライダーはメットを脱ぐこともできずにそのまま逃げ

去って行きました。残念。

 

こんなことで良いのだろうか。

良いのです。

ここが秘湯の秘湯たる所以、近づき難いからこそ秘湯なのです(笑)


ここで、話は脱線して、人見知りをする“わたなべ健太郎”君の豪傑振りを一言、

 

この体で鹿を1頭しとめます。(恥ずかしがってガラス越しにこちらを“チラ見”しているところがカワイイ)

 

春先、鹿の足が雪面にズボズボと抜かって俊敏さが発揮できない時期とみるや、その鹿を追って

行き、まずは前足をへし折り、次に首に噛みつく

よろよろと弱った頃に、館主が「殺生してはいかん」とたしなめると、絶対服従の健太郎君はコクリ

としていったん鹿から離れるのですが、

館主が、こりゃあ鹿はもうダメだぁ、安楽死させた方が・・と考え「行け!」と促すと、健太郎君は再び

鹿に襲い掛かり、最後はムシャムシャと食べてしまったそうです。

ぞぉ~オソウシイィ

狩猟犬「秋田犬」としての血がいったん騒ぐと怖いなぁと思うと、ニコニコと喜んでいる頭を撫でて

やるのにもツバを飲んでしまいますが、やってはいけないと飼い主に言われたことには絶対忠誠

というところが偉いですね。

 

最初はカメラを向けるとプイと後ろを見せていた健太郎君も翌日の朝食時には尻尾を振って、

食堂の外で愛想を振りまいているではありませんか。

目が語っている、あんたはもう仲間だよ

  

さらに、健太郎君はある日、館主に喜んでもらおうと“狸”を採ってきてそこに置くと、ここでも「殺生を

するな」と叱られるんですねぇ、するとどうでしょう、すっかりイジけてしまい、それから以降しばらく

の間、館主に顔を背けるんだとか・・・

健気です

 


 ~

ああ、話がすっかり番犬の話になってしまいましたが、秘湯はそうした赤字経営を道楽として

続けている人が居て維持されているというお話しです。

だから続けてもらうためにこうしてブログで紹介しないといけない。

 

そういうことで、今日宿泊した5人はそれぞれ決起してオソウシ温泉『鹿乃湯荘』の宣伝をしようと

誓い合ったのです。

オソルベシ。オソウシ温泉、道民なら一度は訪れるべし

次にまた訪れるかどうかわかりませんが、全国の温泉ファンに親しんでもらいたいですね。

因みに、犬嫌いの人は事前に電話で館主に伝えておくのがよろしいでしょう。

健太郎君は人見知りです。

 

帰りに、Kennyさんの要望で炊飯用の源泉を汲んでくれる館主(やっぱりイイ人です)

 

雑誌でとりあげられたらもう貸切など贅沢にこの温泉に浸かれることもないでしょう。

そういう意味でも、ご縁のある山旅になりました。

 

 


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2 コメント

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Unknown (ギン)
2019-05-12 22:33:33
今日行ってきました。
かなりの秘境ですが良い温泉でワンコも可愛かったです
7年前のこの記事で2歳半ってことは今は9歳くらいかな
流石にもう狩りはやってないでしょうが元気でした
返信する
Unknown (oborozuki89)
2019-05-13 12:41:51
ギンさんこんにちは。Toshiです。
オソウシ温泉まだ営業を続けられていましたか、そしてあの秋田犬のワンコも元気にしていたのですね、良かったです。
よい温泉だけど温度が低いのでかなりの赤字を抱えながら何とか持ちこたえていると言っていましたから、もっとPRしてあげたいところですが、やはり遠いぃ。
今年はトムラウシ山に登るプランとセットでまた行ってみようかなぁ~♪
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