暖かくなり、ノミやマダニなどの寄生虫が
活発に活動を始める時期になりました
近年日本でも人の感染・死亡例が認められた、
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気は
マダニが媒介に関与しているということで、
ワンちゃんのマダニ予防に関するお問い合わせも増えています
おばら犬猫病院にも、お散歩中やお庭でマダニに咬まれてしまったワンちゃんが
何匹か来院しており、「マダニ」は思った以上に身近な存在なんだなぁと感じました
そこで今回は、
「マダニ」について少しご紹介したいと思います
<マダニの種類>
日本には40種類以上のマダニがいますが、
都市部で主に見られるのは「フタトゲチマダニ」というマダニです
吸血前は体長3mmほどですが、吸血をすると大きく膨らみ、
体重が100倍以上になります。
※室内で見られる「ダニ」は、マダニとは異なります。
<マダニの住む場所>
マダニは、
広い公園や河原などの草むらに潜み、
そばを通りがかった人や動物に飛び移れる機会を狙っています。
そして、ハラー氏器官と呼ばれる独特の感覚器官で、
動物の体温、振動、二酸化炭素などを感知し、動物の体表へ寄生します。
犬の場合、特に耳、胸部、内股部、おしり(肛門)の周りなど、
被毛の少ないところに寄生します。
※ネコちゃんは、グルーミングをすることや、
室内飼いが増えていることなどにより、マダニが寄生する機会は減っていますが、
ワンちゃん同様注意が必要です。
<マダニが犬に引き起こす病気>
○マダニが直接引き起こす病気
・貧血…マダニから大量に寄生・吸血された際に貧血を引き起こします。
・アレルギー性皮膚炎…マダニの唾液がアレルゲンとなり、強いかゆみなどを引き起こします。
・ダニ麻痺症…マダニは種類によって唾液中に毒性物質を産生するものがいます。
毒性物質が体内に注入されると、神経障害(弛緩性麻痺)を引き起こします。
○マダニが媒介(仲介)する病気
※
猫では、マダニにより
「ヘモバルトネラ症」に感染し、
貧血、発熱、元気消失などの症状がみられることがあります。
※人で死亡例が見られた
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」も、
ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染します。
主な症状は、発熱と血小板減少、消化器症状、白血球減少で、
重症化すると死亡することもあります
今のところ、動物でのSFTSの発症は、報告されていません
<マダニ対策>
マダニに寄生されないためには、
・草むらや藪などに入らない、
・散歩の後にはワンちゃんの体をよく観察する
・ブラッシングを行う
などにより、マダニの寄生をや住環境への侵入を防ぎます
また、
マダニ予防のお薬を定期的に使うことも効果的です
スポットタイプや錠剤タイプがあり、同時にノミの予防もできます。
☆もし、マダニに咬まれてしまったら…
無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまうことがあるので、
吸血中のマダニに気が付いた際は、病院へご相談ください