”スローライフ滋賀” 

桑酒とみりん粕、「桑酒じぇらーと」 約490年続く長浜・山路酒造

 あまたある蔵元の中でも「山路酒造」(長浜市木之本町)の「桑酒」は一風変わった味わい。



 透き通った琥珀(こはく)色のリキュールで、とろりとした口当たり。蜂蜜に似た優しい甘みが広がり、ハーブのような香りもある。
アルコール度数は14.5度。ロックや炭酸割りのほか、ファン考案のカクテル「桑酒モヒート」、レモンと一緒に温める「ホット桑酒」など楽しみ方は多彩で、菓子作りや料理でも活躍する。女将の山路祐子さんは「桑酒はラム酒代わりに」と話す。

 独特の甘みを生むのは、蒸した滋賀県産もち米を清酒醸造でも使う麹(こうじ)と混ぜ、焼酎に漬けてつくるみりん。
東近江市産のクワの葉を漬け込んでエキスを抽出した別の焼酎と合わせ、1年ほどの熟成で味を引き出す。「みりんを絞った後の『みりん粕(かす)』は自然な甘みでコクを出してくれます」と山路さん。



 桑酒の独特の甘みがバターとマッチした「桑酒マドレーヌ」や、みりん粕を焼いてチーズのような風味をまとった「みりん粕の塩クッキー」など、店頭には5種の焼き菓子も並ぶ。
山路さんのブログをきっかけに知り合った奈良県のパティシエに2011年から作ってもらっている。


 近江八幡市の業者と開発した「桑酒じぇらーと」を今月、新発売
みりん粕のコクを生かしたミルク味で、桑酒の甘みと香りが感じられる。山路さんは「精製された砂糖では出せない優しい味」と胸を張る。
8月22日まで長浜市内の道の駅で開かれる「長浜・食のマルシェ」にも出品する。

 卵焼きやゴーヤーチャンプルー、魚や鶏肉のかす漬けなど山路さんは普段の料理でもみりん粕を多用する。だが、みりん風調味料の普及などでみりん粕は姿を消しつつある。山路さんは「発酵食に関心が高い人を除けば60代以下はほとんど知らないかも」と話す。

 漬物づくりが一般的だった頃は、奈良漬のためにみりん粕を求める客も多かったが、近年はめっきり減った。「インターネットのレシピも、代わりにざらめを使うものばかり」と山路さん。
みりん粕の味わいを知ってもらおうと、2年前からは自家製の奈良漬も販売し始め、今年も22日ごろから売り出す。
 「桑酒やみりん粕があるのはご先祖が伝えてきてくれたから。伝統を生かしつつ、ワクワクするものを発信し、お客さんに楽しんでもらいたい」と力を込める。

山路酒造
長浜市木之本町木之本990
0749-82-3037
1532年(享禄5年)創業。現存する酒蔵の中では、滋賀県内で最も古く、日本でも4~5番目に古い歴史を持つ。
北国街道木之本宿にあり、桑酒は旅人の疲れを癒やしてきた。文豪・島崎藤村も愛飲したことで知られ、今も根強いファンが空の一升瓶を手に遠方から訪れる。

<中日新聞より>

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