”スローライフ滋賀” 

クラフトビール戦国時代 滋賀県内5年間で7銘柄誕生

 全国的にここ数年、クラフトビールの醸造場が増えている。滋賀県内でも過去5年以内に7銘柄が生まれ、第3次ブームと言える状態。これだけ増えれば、戦国時代の様相を呈する。各社は独自性を出そうと、奮闘を続ける。 

 昨年5月に営業を始めた彦根市の「彦根麦酒」は、荒神山近くに醸造所を構える。地元産の麦やホップにこだわり、敷地内で麦を栽培。「なじみやすく、飲みやすい」を目指し、リピーターの確保に力を注ぐ。
 今年秋には、特産の彦根梨を使ったビールの販売も予定する。営業ディレクターの豊村美久さんは「造り手の技術を高めつつ、びっくりするようなビールを造っていきたい」と話す。当面の課題は「認知度の向上」だ。

 湖西に目を向けると、高島市の「びわ湖ブルワリー」がある。大阪で印刷会社を経営していた牧野幸日さんが、昨年9月に営業を始めた。かつて住み、美しい風景を忘れられない今津で製造免許を取得した。
 特産のアドベリーを使ったビールや、香り高いペールエールなど6種類を扱い、醸造所にはレストランを併設する。「ビールは人に活力を与えてくれる。京阪神にも近い今津から、ビールの魅力を多くの人に伝えたい」と話す。

 来年には多賀町に「くにうみブルーイング」が登場する。運営するのは彦根市旭町のサロンバー「シスル」のオーナーバーテンダー、宮下純さん。近江鉄道多賀大社前駅に出店予定で、参道沿いで気軽に味わえるようにする。
 宮下さんは、数々のカクテルコンペティションを受賞した。50歳を前に新たな挑戦として、カクテルではなく、出身地での醸造を選んだ。「ビールは幅広い世代を呼び込む力がある。故郷で形に残ることをしていきたい」と力を込める。

 造り手がそれぞれの思いを込め、登場した数々のビール。売り手は、どう見ているのか。
 ビール審査の資格を持ち、滋賀県内のクラフトビール事情に詳しい彦根市佐和町の「さざなみ酒店」店主の安斎和真さんによると、県内でのブームは3世代に分けられる。
 第1次は1994年の酒税法改正がきっかけ。2000klだった年間最低製造量が、69klに大きく引き下げられた。小規模で参入しやすくなり、県内でも生産業者が増えた。現在まで続くのは、全国でも先駆けの「長浜浪漫ビール」など数軒にとどまる。
 第2次は2010代。海外産が飲食店に並ぶようになり、クラフトビールという名前が定着した。そして今は第3次。地域活性化や農業の多角化の観点から、マイクロ・ナノ・ブルワリーと呼ばれる、小さな醸造所が増えている。
 「器具や材料をそろえれば、ビールは街中で造ることができる。参入しやすいことが増えている要因」と安斎さん。各地の味を楽しめる状態を続けるために「飲み手が増えているわけではないので、造り手は質の高さや地域密着など、独自性を意識しないと」と指摘した。

滋賀県内の主なクラフトビール会社(順不同。★は過去5年以内に登場)

長浜浪漫ビール(長浜市)
https://www.romanbeer.com/

びわこいいみちビール(甲賀市)
http://www.beerfesta.com/beer/%E3%81%B3%E3%82%8F%E3%81%93%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB/

近江麦酒(大津市)
https://omibeer.jp/

ヒノブルーイング(日野町)
https://hinobrewing.jp/

二兎醸造(近江八幡市)
https://www.tworabbitsbrewing.com/pages/rabbit-hutch

ダイヤモンドブルワリー(近江八幡市)
https://diamondbrewery.online/

彦根麦酒(彦根市)
https://hikonebrewing.jp/

びわ湖ブルワリー(高島市)
https://biwako-beer.com/

くにうみブルーイング(多賀町・2023年予定)

<中日新聞より> 
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