解体危機を迎えていた滋賀県日野町大窪の「旧野口写真館」がこのほど、地元有志の尽力により「地域交流施設」として復活を遂げた。
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↑写真:滋賀報知新聞より ↑野口清輝初代と2代目(EKUBO Studio-HPより)
「旧野口写真館」は、滋賀県における芸術写真のパイオニアとして全国的にも知られた「野口清輝」(1898年―1982年)の創作拠点だった場所。
1916年(大正5年)に初代野口清輝が「野口写真舘」を創業した。大工見習い後、愛知県の松谷写真館に弟子入り。修行から帰郷し創業したと伝わっている。
旧野口写真館は、窓まわりにはアールデコ調のジグザグ模様が装飾され、バルコニーにはライオンのレリーフが刻まれるなど、1930年代のモダニズム文化を象徴する西洋建築になっており、日野町中心部のシンボル的建造物として町民に長く親しまれてきた。
しかし、清輝の死後は空き家となり、2012年頃に日野町商工会により「人と情報の交流館『むべの木の館』」として活用された以降は使われることもなく、2019年夏には解体話が持ち上がった。
まちのシンボルであり重要な歴史資産がなくなることへの危機感から、「何とか残して活用していけないか」と地元有志が立ち上がり、所有者や隣接地との協議を重ね、今年2月からボランティアで内部の清掃や整理、修理を開始。地元住民が集うコミュニティ施設として8月から運営を開始した。
旧野口写真館の保全と運営を担う旧野口写真館保存会の長則男代表は「写真館は地域住民の思い出が残る場所。残すだけでなく次も作っていく、思い出をつないでいくプロジェクトとして立ち上げた。コロナが終息したらイベントなども開催したい」と話していた。
旧野口写真館
場所: 滋賀県日野町大窪582
有志による開館日: 毎週日曜日の10:00時~20:00など
(新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令に伴い、9月12日までは臨時休業が決まっている)。
展示:
・同館1階では清輝氏が使用していたカメラなどを展示しており、今後、修理中の2階に置いてある資料も整理して展示に加え、功績を紹介する場をつくる予定という。
・同館奥の和室スペース、キッチン、カウンターなどを備えた建物はシェアスペース「Studio582」として貸し出しを受け付けている。
・出店情報などはインスタグラム(@noguchi_photo_studio582)から見ることができる。
利用に関する問い合わせ: 旧野口写真館保存会 長 則夫代表
(TEL 080―3121―6259)
<滋賀報知新聞より>