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<湖国で跳ねる>GI認証の「近江日野産日野菜」 (6)深山口日野菜原種組合(滋賀県日野町)<中日新聞より>

 「近江日野産日野菜
2022年10月、「滋賀県日野町産の日野菜」が地理的表示(GI)保護制度の対象に追加された。


↑写真:日野町HPより

 室町時代に発見されたとされる伝統野菜の原種は、地元農家が長年にわたり守ってきた。
深山口日野菜原種組合」は生産者に種を提供し、古くから町に伝わる種の形質を守るために力を注ぐ。

↑写真:滋賀報知新聞より(栽培中の日野菜を紹介する冨田さん:滋賀県日野町深山口)

 「日野菜」は春と秋に栽培されるが、種を採ることを目的に栽培する組合では9月ごろ畑に原種を撒く。11月には育った根や茎などの状態を見て、病気やこぶがない良いものを選抜し、苗を別の畑に植え替える。それらを翌年5月に刈り、乾燥させてから種を採り、6月以降にJAグリーン近江日野菜生産部会や町民だけに販売する。

 栽培過程では、日野菜が同じアブラナ科の植物と交雑して特徴を失わないよう注意が必要だ。黄色の花が咲いていると、アブラナ科の植物であることを警戒して抜く「雑菜引き」という文化も残る。冨田幸組合長らは「日野菜の花が咲いてきたら、雑菜も咲く。そのとき、見つけたら刈り取る」という。


↑写真:滋賀報知新聞より(日野菜の種を示す寺澤さん:滋賀県日野町三十坪)

 「深山口日野菜原種組合」は2005年、地域で当時最後の1人だった日野菜の種の生産者が病気になったことで、種の存続の危機に瀕して設立された。地元の有志12人が集まって始まり、現在は10人が協力。約26アールの畑で毎年約50kgの種を生産する。
 組合は設立後、日野町で伝わる「日野菜」の調査を専門家に依頼。すると、「日野菜」は長い年月の中で、少しずつ別の植物との交雑が進んでいることが明らかになった。「日野菜」の形質を元に戻して保つため、「日野菜」を広めようと「日野菜愛承会」を主宰する寺澤清穂さんに、原種の元になる原々種の管理を依頼した。

 現在、寺澤さんの元では3〜5年に1度、ハウス内で「日野菜」を栽培し、より厳密な状態で苗を選んで育て、採種している。栽培の過程では、苗の赤紫色の発色や病気の有無を確認しつつ、葉や根の形、茎の色などで多様な特徴が残る種を採れるように心がける。
 「伝統野菜の多様な遺伝子は、人類の財産。遺伝資源を逃さないようにしている」そう言って精力的に活動する寺澤さんだが、自身も高齢の身になった。今後は「日野菜の遺伝子を次世代にどう伝えたら良いかを模索し、最後の命を燃やしたい」と意気込む。

<中日新聞より>


日野菜
 カブの1種の伝統野菜。細長い根の上部から茎にかけて、赤紫色をしている。同じアブラナ科の植物と交雑しやすい。
室町時代に日野町辺りを支配した武将の蒲生貞秀が約550年前、日野町鎌掛地区で発見したとされる。
 2022年10月、地域の風土や伝統などと結びついた農産物として、全国的に流通する日野菜と区別して「近江日野産日野菜」として地理的表示(GI)保護制度の対象に追加された。

 滋賀県では、近江牛(2017)、伊吹そば(2019)、滋賀の地酒(2022)に次いで、「近江日野産日野菜」が4例目となっている。

<中日新聞より>
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