琵琶湖の固有種「ビワマス」が産卵できる清流を取り戻す活動が、永源寺地区の愛知川で進められている。支流の渋川では、今季の産卵が終わったのを受けて仮設の簡易魚道の撤去作業が行われ、ボランティア64人が参加した。
この取り組みは、「愛知川漁業協同組合」が2021年から、「東近江三方よし基金」の助成を受けながら、市民に愛知川の自然に関心をもってもらおうとボランティアを募り、簡易魚道を毎年秋に設置し、春先に撤去しているもの。
簡易魚道ができるまでは、産卵のため琵琶湖から上ってきたビワマスは、渋川が愛知川に合流する地点から500m上流にある高さ2,5mのえん堤を越えられず、えん堤の手前直下に集中して産卵していた。このため、産卵場所が過密になってしまい、新しい雌雄のペアによって、別のペアの卵が掘り返される現象がみられた。
注釈:えん堤(えんてい)とは、土石流や洪水による災害を防ぐために河川や渓谷に設置される堤防。石やコンクリートなどで築かれる。
この状況を解消するため、えん堤を越えて上流への遡上(そじょう)を助ける「簡易魚道」を設置した。この結果、1,1km上流へ上れるようになり、産卵場が大きく広がり、えん堤上流で多くの稚魚が育つようになった。
愛知川漁業協同組合の村山邦博組合長は、「ビワマスが上る渋川の自然の魅力をみなさんに知ってもらうため、川好きのボランティアに働きかけて進めてきた。当初は、常設の魚道設置を滋賀県へ働きかける活動として4年間を区切りとしてきたが、関心が年々高まってきたため、今秋も簡易魚道を設置したい」と話していた。
<記事・写真: 滋賀報知新聞より>