どさ

詩を投稿しはじめました。
そのうち、紀行文も予定しています。
落ち着きに欠けたものが多くなりますがそれしかありません。

たなあ(遠雷)

2022-05-20 14:15:01 | 

遠雷

それが今日のはじまり

遠い雲が真横にたたずみ

押しだされたひかりが 鈍く

後ろへ渡った

 

水槽の天を逆さまに

下から俯瞰する銀の鏡面

低い鼓に震えるように

鏡の色を帯びた

魚の背

ゆらゆら

 

窓枠 雷光 写真立て

水槽 置き場所 選択肢

前と後 と 後ろ前

 

音と光のずれ幅は

到達する距離にしたがい

音の再生と電波の強弱は

到達する場にしたがい

それが受信機の決まり

それがボリュームの決まり

それが予報によれば

今日はお昼前から雨

雨は朝まで続くでしょう

 

(かあかあ、鳥 )

 

    ・

あなたのかたちを逆さまに

自らを奇妙にたたみ

雲が風景へ降りていく

五月雨を集めてはやし

もそもそ眠る

すると そのぶん呼吸の幅は

欠けるあたりを補おうと

予報めいた配置に執着し

あれこれ置きなおすなど

手探りのことなど

下から俯瞰する

今なおのことなど

 

窓枠 鈍光 写真立て

水槽 置き場所 選択肢

前と後 と 後ろ前

あなた たなあ

言ってたなあ

写真の向こうに距離はない

その程度の永遠なら

わたしは別に悲しくないと

あなた たなあ

言ってたなあ

 

五月雨を集めてはやし

もそもそ眠る

雲の中の逝く鳥

かあかあ

か~か~

あ~

ぁぁ ぅぅ

 

ひとつずつ置いていくと

呼吸のひとつがまた外ずれ

それが水の天をまた映し

こころが再生とゆれる境

ゆらゆら背をみせ

ガガ 鳥 軌跡

また飛ぶ

 

今日はお昼前から雨、ガガ

雨は朝までガガ続くでしょう

雲は逆さまにガガなりますのでガガガ

急な雨とガ落雷にガガご注意ください

ご注意ください

 ガガ 鳥

 

   ・

予報によって

今は雨

瀟瀟と 雨

銀色の銀色の

それはそれは細々しい雨

 

 

かあかぁかあ

復活なれど

汝 触れるべからず

かあかあかぁ

汝 我に触れず

 


かわいい かわいい 魚屋さん

2022-05-20 14:15:01 | 

魚 長方形にも楕円にも似る形

今日は形のまま煮る

 

熱で変わったから

もとのままには

目はない

ありのままには

鱗はない

肉はない

命はない

だから骨まで

じきにない

 

すると、目と思った

この形は

見ていると思うが

見ていない

 

それが

毎日似たものを喰う

目を喰う

鱗を喰う

肉を喰う

骨を喰う

 

毎日喰う

毎日夕餉は夕暮れに

おろおろしたように

定め置かれ

喰うを行うと

喰らうを感じ喰いながら 目の場所は

日没を映しそれが観る

単なる 単じみた

白い内側

見よう見よう

さあ見よう

身体

鱗 肉

部署 骨格

内臓(煮えてる)

液体(ぜらちん)

煮汁 膜状に覆う

何か

ああ何か

「何かない?肴は」

頭蓋いっぱい

広がる白い

白い 白い

魚たちの

白い目

積み重なると

白い身

すんごい虚ろ

ひかりにさえ変われるわ

 

すると、目と思った

この形は

日日をやったら

引き延ばすわ

もう非対象や有りようや

長方形も楕円もどろどろも

ゲル状の身体もて これ魚

われ さかな

光が当たる

にぶき光通りたまう

いや 通してなりませぬ

いや どうしても通るんだよ

いや いや

どうしても煮るんだよ

どんより味がしみる

いやだ いやだ いやだ

それでも煮る 観る

まる むる める

ねる にる どろ

どろ どろ 虚ろな目の重層

川底 海底 社会の底から

こんばんは

さかなです

みんな魚の口

非線形に回る目

鰓動きます 鱗そります

煮汁の泡でくたくた動きます

人生の底まで そこ

そこそこ喰って

そろそろ寝るよ

寝るのだから

意識の識外の

底にさっき横たわって

鍋に横たわって

記号がつつかれ喰われ

白っぽい筋状の肉が

くっついて離れない

それをつつきまわす

おぞましさ

 

かわいい かわいい

魚屋さん

こんちはおさかないかがです?

今日は喰う

かわいい 魚 屋 さん

おぞましいのは

なんだ

そして ようやく

そうだ今日は形まま煮た