ナチュラルにふぉとする

写真、コミュニケーション、英語、外国のこと…

前田土佐守家の幕末明治の写真

2007-10-06 10:59:44 | 古写真・写真史・保存

ヨーロッパで発明された写真術が日本に伝わったのは、幕末の頃。
「前田家土佐守家にのこる幕末明治の写真」展は、新しい写真術と前田家の関係を示すおもしろい展示でした。
卯辰山に研究所を設け、藩で写真技術(化学)の研究に力を入れていたようです。
明治初頭の金沢の写真師による肖像写真が残っていることもすばらしい。
桐の箱入りのアンブロタイプの状態もとてもよかった。

よくを言えば、オリジナルから引き伸ばしたプリントのそばに、オリジナルも一緒に展示するとか、その情報をもっときちんと紹介してくれるとかしてもらえると、写真ファンとしはありがたかったかな。

あと、展示の枚数がとても少なかったけど、あれだけではないと想像。全部で何点あり、なぜ、今回のポートレートものだったか、キューレイトのコンセプトをきちんと説明してほしかった。

明治4年の断髪令が出た後に撮影したと推定される写真には、散髪に刀をさした前田直信と息子のポートレイトがあります。「直信さん、髷はおとせても、刀ははすぜなかったんですか?」お話聞けるといいのにな。

保存の箱

2007-09-28 19:05:15 | 古写真・写真史・保存


モノクロのネガは、中性の紙の箱に保存しています。
なかのフォルダも中性紙。ネガホルダーもアーカイブ用。
すべてアメリカで購入しました。

写真の保存に詳しい方の話では、日本では限られたルートで上記のものが買えるそうですが、
一般的ではないとのことでした。

アメリカでは、美術館や図書館など、写真だけでなく様々な資料はこういうもので保存しています。
専門店があり、通販でだれでも購入できます。

余談ですが、額装につかう材料も中性のもので写真をいためないようにマットにつけます。
日本での私の少ない経験では、プロの美術屋さんが額装しましたが、
写真の裏面をテープ貼りにされて、
その写真はもう、ギャラリーには出せないものになってしまいました。
美術作品として大切に扱う土壌が育つことを願ってやみません。

今日は、箱のなかに入れている乾燥剤を交換しました。
個人宅では、なかなかいい環境で保存できませんが
できるだけの努力をしています。
写真を撮り始めてもう20年以上になりますが、
今のところネガにカビはありません。




写真が伝える金沢の昔

2007-09-14 11:39:36 | 古写真・写真史・保存

金沢くらしの博物館。明治32年に県立金沢第二中学校校舎として建てられた木造洋館です。


金沢くらしの博物館で特別展「思い出の金沢~一枚の写真から」をみてきました。

一番古いもので、「明治7年」とありました。お侍の格好をした肖像写真。維新後もすぐには、武士であった自分をかえられなかったのでしょうか?頭のなかで、ひとりごとをつぶやきながら、一枚一枚の写真を楽しみました。

北國新聞社の写真記者であった松原茂さんの昭和20~30年代の写真は、一枚のなかに物語性があり、時代の雰囲気を感じます。私のお気に入りは、「婦人運動会」できもの+げた姿で、元気よく走っている女性たちの写真。きもの好きなので、きもの関係のものには、特に反応してしまいますが、「そんなかっこうで走れたの?」という驚きとともに、自由闊達な彼女らの表情が素敵でした。

一通り、ひとりで見終わった頃に、館長さんと遭遇。「金沢の坂」のテレビで、ご一緒させていただいたので、ご挨拶したところ、ご親切にも、彼の思い出の写真とそれにまつわるエピソードを話してくれました。不思議と、写真にあるその時、その時代に、タイムワープした感覚になり、歴史を身近に感じました。ことばの力。生の歴史の力でしょか。

ふだんから、古い写真を見ていて思うのは、金沢は時代とともにすごく変化してきているということです。戦前の武蔵の繁華街なんて、洋風の建築がちょこちょあって、すごくモダンだった。今よりも当時の町並みの方が私は好きです。私的には、洋館の市役所を壊して、今の箱型のビルになってしまったのも悲しい。

この博物館の館長室に、展示されなかったたくさんの写真が、ダンボール箱に入れたまま置かれたまでした。
これからどうなるんでしょうと、憂いを抱くのは私だけなのですかね。

写真の保存について、西洋に比べると、ハード・ソフトともに日本ははるかに、遅れています。
ダンボールは古くなると過酸化物を出すので、長期保存にはいけません。中性の箱で、湿度60%以下、室温20度。よい保存場所があたえらるといいのですが。