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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『Sweet Eighteen』

2015-05-23 21:55:00 | 映画道
『Sweet Eighteen』
甜蜜18岁

2012年中国映画 85分
脚本・監督:何文超(ヘー・ウェンチャオ)
出演:周文奕[チョウ・ウェンイー](何娜/カナ)、祁琪[キキ](夏虹)、滕飛[トウヒ](カナの恋人・李聰/リ・コン)、鄭爽[ジェン・シュアン](カナの母・張蘭/チョン・ラン)、劉前程(母の恋人・林果)


  

18歳になる少女何那カナは母張蘭チョウ・ランと二人で湘江の小さい町で住んでいる。何那は李聰リ・コンという少年と付き合ってはいるが、恋に夢中になる母の気持ちが理解できなかった。ある日、彼女はバーで仕事をしている夏虹シャアホンという出会う。夏虹に惹かれていく何那はやっと恋の痛みを知るのだった。【公式サイトより】

名古屋初のLGBT系映画祭〈大須にじいろ映画祭2015〉オープニング上映作品。
監督のご厚意で無料にて上映。

LGBT系ということではあったが、同性愛とまでは行かないような少女の憧れにも似た感情が描かれる。
ヒロインのカナは18歳の誕生日、母親の恋人が肩にカモメのタトゥーを入れた女性とキスをしている現場を目撃する。その後、母親が唐黷ト入院。カナは恋人の行方を探すべくキスをしていた女性・夏虹を問い詰める。カナには1つ年上の恋人がいたが、夏虹との共同生活を送るうちに惹かれていき、自分で太ももにカモメの絵を刻み込む。
やがて別れの時が来るが、カナにとって夏虹はまさにその名の通り、夏の虹のように鮮やかに目の前に現れて、いつの間にか姿を消した存在だったのかも知れない。それでもその記憶はカモメとともに脳裏に刻まれている。
母親の看病のために北京の美術大学への進学を諦め、母校の教師となったヒロインが、バスの中で同級生から誕生日を祝ってもらう姿を見ているシーンが切ない。
監督は妊娠中とのことで来場はされなかったが、自身の経験に基づく部分もあるのか聞いてみたかったな。


★★★


『ソロモンの偽証 後篇・裁判』

2015-05-22 21:10:00 | 映画道
宮部みゆき ソロモンの偽証 後篇・裁判』


2015年日本映画 146分
監督:成島出
脚本:真辺克彦  原作:宮部みゆき『ソロモンの偽証』(新潮文庫刊)
音楽:安川午朗
撮影:藤澤順一(J.S.C.)、向後光徳(Bキャメ)  照明:金沢正夫  美術:西村貴志
録音:藤本賢一  編集:三條知生  装飾:湯澤幸夫  スクリプター:森直子
衣裳:宮本茉莉  ヘアメイク:田中マリ子  音響効果:岡瀬晶彦
音楽プロデューサー:津島玄一  宣伝プロデューサー:古森由夏
助監督:谷口正行、猪腰弘之  製作担当:大熊敏之
出演:藤野涼子(藤野涼子)、板垣瑞生(柏木の友人・神原和彦)、石井杏奈(三宅樹理)、清水尋也(大出俊次)、富田望生(浅井松子)、前田航基(野田健一)、望月歩(柏木卓也)、西畑澪花(涼子の友人・倉田まり子)、若林時英(同・向坂行夫)、西村成忠(判事・井上康夫)、加藤幹夫(大出の取り巻き・橋田祐太郎)、石川新太(同・井口充)、佐々木蔵之介(涼子の父・刑事・藤野剛)、夏川結衣(涼子の母・藤野邦子)、永作博美(樹理の母・音楽ライター・三宅未来)、小日向文世(津崎正男校長)、松重豊(北尾教諭)、黒木華(担任・森内恵美子教諭)、田畑智子(刑事・佐々木礼子)、池谷のぶえ(松子の母・浅井敏江)、塚地武雅(松子の父・米屋・浅井洋平)、田中壮太郎(テレビ局記者・茂木悦男)、市川実和子(森内の隣人・垣内美奈絵)、江口のりこ(大出の母・大出佐知子)、高川裕也(大出の父・大出勝)、安藤玉恵(高木学年主任)、木下ほうか(楠山教諭)、宮川一朗太(柏木の父・柏木則之)、中西美帆(尾崎養護教諭)、井上肇(岡野校長代理)、浜田学(垣内の夫)、安澤千草(柏木の母)、嶋田久作(探偵・河野良介)、六車勇登(陪審員長・駐c和利)、石田飛雄馬(陪審員・佐々木吾郎)、鈴木きらり(同・萩尾一美)、羽下直希(同・小山田修)、森田想(同・蒲田教子)、塩{実優(同・溝口弥生)、加藤実祐紀(同・勝木恵子)、宮野薫(同・原田仁志)、大井絵梨花(同・山埜かなめ)、大西航平(廷吏・山崎普吾)、薗田仁南(書記・奈良若菜)、升澤理子(橘未散)、松浦寿來(富田優花)、佐久間妃南子(石田菜緒)、鈴木逸豊(平田陸夫)、西田心(福本君江)、菊地時音(近藤太一)、岩田華怜(河原沙織)、宮武祭(林田まい子)、平祐奈(水川冴子)、谷井優貴(吉沢元喜)、藤秀多、三宅ゆきの、本間樹璃、平山美穂、小島雅恵、浅野風香、田中麻衣、岸野蒼、伊藤綾乃、丸茂法、河原美結、小関千夏、杉本神伊、丸茂拳打、辰野英二、小野瀬匠実、青海純輝、志野リュウ、北島美香、押場大和、遥、赤池高行、西沢智治、浜田大介、保科光志、岩瀬和樹、原香緒里、櫻井和明、伊達直斗、齋賀正和、村井美和、かわはらゆな、黒田浩史、小澤美和、石川ともみ、荻原明子、佐藤文吾、有木伸夫、長尾卓磨、桑原和也、酒井貴裕、札内幸太、新井敬太、下山重幸、尾野真千子(中原涼子)、余貴美子(上野素子校長)


 
1990年。記録的な大雪が降ったクリスマスの朝、ある中学校の校庭で2年生の男子生徒・柏木卓也が遺体となって発見される。転落死したと見られ学校と警察は自殺と断定するが、彼は殺されたという目撃者を名乗る者からの告発状が届き、波紋を呼ぶ。マスコミの報道が熱を帯び混乱が深まる中、犠牲者が一人、また一人と増えていった。生徒の一人・藤野涼子は保身ばかりを考える大人たちに見切りをつけ、死の真相をつきとめようと動きはじめる……。【「KINENOTE」より】

宮部みゆきさんのベストセラーを映画化。

とりあえず前篇は校内裁判が開かれる前までということで、作品全体の評価は難しいところであるが、提示パートとしては充分に興味を惹きつけている。果たして柏木卓也は自殺だったのか、他殺だったのか。大出俊次を犯人とする告発状は彼らからいじめを受けていた樹理と松子の仕業のようだが、だからと言って本当に大出が事件と無関係とも言い切れまい。
それより気になるのは、担任の森内。あそこまで柏木卓也に怯えているというのは、過去に彼と何かがあったとしか思えない。松子の交通事故死も単なる事故なのか仕組まれたものなのか。
…とあれこれ気になる点だらけ。早く後篇を観てすっきりしたい(笑)。

オーディションで見事ヒロインを勝ち取り、役名をそのまま喧シとした藤野涼子さんをはじめ、やはり最近のこの世代はうまい子が多いねぇ。板垣瑞生くんもかなりの美形で、数年もすれば人気が出るのではないか。
先日のNHK『LIVE! LOVE! SING!』でも主演していた石井杏奈さんは「えっ、こんな子E-girlsにいたっけ?」という感じだが、本作ではニキビ面にコンプレックスを抱く女子中学生を好演。その友人・松子役の富田望生さんもよかったが、その両親役が塚地武雅さんと池谷のぶえさんで出てきた瞬間に笑ってしまった。


★★★


『Mommy マミー』

2015-05-18 23:42:00 | 映画道
『Mommy マミー』
Mommy

2014年カナダ映画 139分
脚本・監督・製作・編集・衣裳:グザヴィエ・ドラン
撮影:アンドレ・トュルパン  音楽:ノイア
美術:コロンブ・ラビ  衣裳:フランソワ・バルボ
出演:アンヌ・ドルヴァル(ダイアン・“ダイ”・デュプレ)、スザンヌ・クレマン(カイラ)、アントワーヌ・オリヴィエ・ピロン(スティーヴ・デュプレ)、パトリック・ユアール(弁護士メ[ル)、アレクサンドル・ゴイエット(パトリック)、グザヴィエ・ドラン[クレジットなし]


  

とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのはS-14法案だった。発達障害児の親が経済的困窮や身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障した法律である。ダイアン・デュプレの運命は、この法案によって大きく左右されることになる……。喜怒哀楽が激しく、おしゃべりで、いつもケバケバしいファッションに身を包んでいるダイアン・デュプレは、聡恤wとしてギリギリの生計を立てながら15歳になる息子スティーヴと暮らすシングルマザー。スティーヴはADHD(多動性障害)を抱え、性格は攻撃的。常に情緒不安定で、他人を罵ったりケンカをふっかけたり、女性とみれば誰かれ構わず親密にタッチしまうクセが抜けないまま大人になりつつある。だが平静なときは、極めて知的でそしていたって素直などこにでもいる純朴な少年であることが、母親を困惑させていた。スティーヴは矯正施設から退所してきたばかりで、ダイアンは自宅でこの問題だらけの息子の面唐ンることになったのだ。そんな二人が楽しくも困難な生活を送る中、スティーヴと意気投合した隣家のカイラは彼の家庭教師を買って出る。カイラは引きこもり気味で神経衰弱の気がある休職中の高校教師。精神的なストレスからか吃音に苦しむカイラだったが、純粋なハートを持ったスティーヴと友情を育み、カイラ自身の心も快方に向かうように見えたのだが……。【「KINENOTE」より】

カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作。

ちょいとばかり前半はだるかったが、後半で盛り返した。
時には最愛の息子を突き放す。これもまた母の愛。
グザヴィエ・ドラン監督は『マイ・マザー』という作品も撮っていたけど、よっぽどのマザコンなのかしらん…。

ちなみに本作は1対1の画面比で上映されているが、中盤、スティーヴがオアシスの「Wonderwall」を聴きながら通常のビスタサイズになるあたりは母子の世界の広がりを感じさせるものだった(後で元に戻ってしまうけど)。


★★1/2


『ゼロの未来』

2015-05-18 22:33:00 | 映画道
『ゼロの未来』
THE ZERO THEOREM

2013年イギリス・ルーマニア・フランス映画 107分
監督・製作総指揮:テリー・ギリアム
脚本:パット・ルーシン  共同製作:クリストフ・ヴァルツ
撮影:ニコラ・ペコリーニ  編集:ミック・オーズリー
美術:デイヴィッド・ウォーレン  衣裳:カルロ・ャbジョーリ
音楽:ジョージ・フェントン
出演:クリストフ・ヴァルツ(コーエン・レス)、デイヴィッド・シューリス(ジョビー)、メラニー・ティエリー(ベインズリー)、ルーカス・ヘッジズ(ボブ)、マット・デイモン(マネージメント)、ティルダ・スウィントン(シュリンク=ロム博士)、サンジーヴ・バスカー(医師1)、ピーター・ストーメア(医師2)、ベン・ウィショー(医師3)、エミル・ホスティナ(やせのクローン)、パヴリック・ネメス(ぽっちゃりのクローン)、グウェンドリン・クリスティー(街の広告)、ルパート・フレンド(同)、レイ・クーパー(同)、リリー・コール(同)


  

未来の世界。天才プログラマーのコーエン・レスは、コンピューターで世界を支配する大企業、マンコム社で「エンティティ解析」という高度なデータ解析の仕事に就きながら、人生の意味を教えてくれる一本の電話がかかってくる瞬間を待ちわびていた。マンコム社の代表取締役であるマネージメントへの面会を求めていたコーエンは、ある日、上司のジョビーが開催したパーティにいやいやながら出席する。そこでようやくマネージメントに会うことができた彼は、会社に出勤せず、在宅勤務をしたいと要求する。そのほうが仕事がはかどり、人生の目的を教えてくれる電話を逃すリスクを回避することができると考えていたからだ。マネージメントはこの申し出を渋々認め、コーエンは自身が住む荒廃した教会にこもって仕事を始める。彼の新たな任務は「ゼロ」という謎の数式を解読する、ハードかつ困難な作業だった。コーエンは何か月もかけてこの仕事に集中するが、一向に答えは見つからず、待望の電話がかかってくる気配もない。ストレスが遂にピークに達し、彼は仕事で使用していた大切なスーパーコンピューターを壊してしまう。そんなとき、以前ジョビーのパーティーで出会ったミステリアスで魅力的な女性、ベインズリーが不意に彼の元を訪れる。陽気で優しく彼を理解してくれるベインズリーに、人間嫌いのコーエンは次第に心を開き始める。さらに数日後、壊れたコンピューターの修理をしにマネージメントの息子ボブが現れ、「ゼロ」に隠された驚くべき秘密をコーエンに明かす……【公式サイトより】

テリー・ギリアム監督最新作(といっても製作は2年前だが…)。

近未来の街並みは猥雑で混沌としていて、今以上に多くの情報が飛び交っている。
「ゼロの定理」を解明するという極秘任務が『イミテーション・ゲーム』を彷彿とさせるが、本作の主人公コーエンは非常に孤独な存在である。そんな彼がベインズリーやボブとの出会いを通して変化していく。
設定こそ未来ではあるが、人間の本質的な部分を描いているような気もする。

クリストフ・ヴァルツさんは安定の快演。
メラニー・ティエリーさんも魅力的だった。


★★1/2


『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

2015-05-16 23:52:00 | 映画道
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)

2014年アメリカ映画 120分
脚本・監督・製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本:ニコラス・ヒアコボーネ、アレグザンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー
撮影:エマニュエル・ルベツキ  音楽:アントニオ・サンチェス
美術:ケヴィン・トンプソン  衣裳:アルバート・ウォルスキー
編集:ダグラス・クライズ、スティーヴン・ミリオン
出演:マイケル・キートン(リーガン・トムソン)、ザック・ガリフィナーキス(弁護士・プロデューサー・ジェイク)、エドワード・ノートン(マイク・シャイナー)、アンドレア・ライズブロー(リーガンの恋人ローラ・オーバーン)、エイミー・ライアン(リーガンの元妻シルヴィア)、エマ・ストーン(リーガンの娘サム)、ナオミ・ワッツ(マイクの恋人レズリー・トールマン)、リンジー・ダンカン(評論家タビサ・ディッキンソン)、メリット・ウェヴァー(舞台監督アニー)、ジェレミー・シャモス(ラルフ)、ビル・キャンプ(クレイジーマン)


  

映画シリーズ終了から20年、今も世界中で愛されているスーパーヒーロー“バードマン”。だが、バードマン役でスターになったリーガンは、その後のヒット作に恵まれず、私生活でも結婚に失敗し、失意の日々を送っていた。再起を決意したリーガンは、レイモンド・カーヴァーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出と主演も兼ねてブロードウェイの舞台に立とうとしていた。ところが、代役として現れた実力派俳優のマイクに脅かされ、アシスタントに付けた娘のサムとは溝が深まるばかり。しかも決別したはずの“バードマン”が現れ、彼を責め立てる。果たしてリーガンは、再び成功を手にし、家族との絆を取り戻すことができるのか?【公式サイトより】

アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞受賞作品。

素晴らしい!!
ここ最近のアカデミー作品賞受賞作の中でも段トツの面白さ。
計算し尽くされた脚本と演出、卓抜した撮影技術、ドラムのリズム、実に見事。
特にほとんどワンカットであるかのような撮影は一体どうやって撮ったのか、普段、あまり舞台裏には興味ないけど、この作品ばかりはメイキングを見てみたくなった。

ちなみに撮影が行われたセント・ジェームズ劇場は私が唯一ブロードウェイ・ミュージカルを観たことがある劇場なのであった(作品は『ザ・プロデューサーズ』)。


★★★★