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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『イニシエーション・ラブ』

2015-05-31 23:27:00 | 映画道
『Initiation Love』

2015年日本映画 110分
監督:堤幸彦
脚本:井上テテ
原作:乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(原書房/文春文庫刊)
音楽:ガブリエル・ロベルト
出演:松田翔太(鈴木タッくん〈Side-B〉)、前田敦子(成岡繭子)、木村文乃(石丸美弥子)、森田甘路(鈴木タッくん〈Side-A〉)、三浦貴大(海藤)、前野朋哉(梵ちゃん)、山西惇(桑島課長)、片岡鶴太郎[特別出演](石丸広輝)、手塚理美[特別出演](石丸詩穂)、木梨憲武[友情出演](静岡支店・渡辺部長)、森岡龍(望月大輔)、矢野聖人(大石)、藤原季節(北原)、吉谷彩子(大輔の恋人・松本優子)、松浦雅(優子の友人・青島ナツコ)、八重樫琴美(同・渡辺和美)、大西礼芳(美弥子の後輩・松島ジュンコ)、佐藤玲(同・日比まどか)、池上幸平(美弥子の元彼・天童)、村岡希美(ホテル受付)


  

〈Side-A〉バブル最盛期を迎えた1980年代後半の静岡。奥手な大学生・鈴木は、友人に誘われ合コンに参加することになる。気乗りではなかったが、そこで歯科助手のマユと出会い、鈴木はなんとか彼女に釣り合う男性になろうとヘアスタイルやファッションを変えていく。ぎこちないながら距離を縮める二人。〈Side-B〉就職した鈴木は仕事の都合で上京することになり、静岡に残ったマユと遠距離恋愛に。鈴木は週末に東京と静岡を往復していたが、洗練された同僚の美弥子の出現により鈴木の心は揺らいでいく。そんなある日、マユの妊娠が発覚し、鈴木は苦渋の決断を迫られる。【「KINENOTE」より】

乾くるみさんのベストセラー小説をまさかの映画化。

先に原作を読んだ人なら、誰でも一体どうやってこの小説を映像化するのだろうと思ったことだろうが、なるほどこういう手で来ましたか。原作では小説ならではのトリックを用いていたが、本作は言わば映像のお約束事を逆手に取ったトリックと言える。もちろん、原作を読んでいればそれがトリックということには気づくわけだが、それでも充分に楽しむことが出来た。
むしろクリスマス・イブのラストは映画版の方がよかったとも言える。作中でも言及されている『男女7人秋物語』の主題歌であった森川由加里さんの「SHOW ME」までかかっちゃうし(笑)。

〈Side-A〉は前田敦子さんの可愛らしさが全開。
やはり堤監督、女優を撮ることに関しては文句なくうまい。


★★★


『私の少女』

2015-05-31 20:59:00 | 映画道
『私の少女』
도희야

2014年韓国映画 119分
脚本・監督:チョン・ジュリ
製作:イ・チャンドン、イ・ジュンドン
撮影:キム・ヒョンソク  美術:ユン・サンユン  音楽:チャン・ヨンギュ
出演:ペ・ドゥナ(イ・ヨンナム)、キム・セロン(ソン・ドヒ)、ソン・セビョク(パク・ヨンハ)、キム・ジング(ヨンハの母ジョムスン)、ムン・ソングン[特別出演](署長ナム・ギョンデ)、チャン・ヒジン[特別出演](ヨンナムの元恋人ウンジョン)、キム・ミンジェ[特別出演](ジュノ)、ソン・ジョンハク(オム班長)、ナ・ジョンミン(キム巡査)、コン・ミョン(クォン・ウイギョン)、キム・ジョング(チェ社長)、パク・ジヌ(刑事係長)、アルビンドゥ・アロック(労働者パキム)、ロビン(同サルラム)、パルン(同ホアン)


   

小さな海辺の村。ソウルから所長として赴任してきた若き女性警官のヨンナムは、初日に14歳の少女ドヒと出会う。ドヒは実の母親が蒸発し、血のつながりのない継父ヨンハと、その母親である祖母と暮らしていて、日常的に暴力を受けている。無数の傷跡がドヒの過酷な日々を痛々しく語っていた。村人たちは老人ばかりの集落で、若くして力を持つヨンハの横柄な態度を容認し、ドヒに対する暴力ですら見てみぬふりをしている。そんな状況にひとり立ち向うヨンナムは、ドヒにとって暴力や学校のいじめから守ってくれる唯一の信頼できる大人だった。また孤立していたヨンナムも、少女の存在に癒されてゆく。夜中、ヨンナムの家にドヒが泣きながら訪ねてくる。同時に「老人の遺体がみつかった」と署から電話が入る。海辺に駆けつけると、崖からドヒの祖母が落ちて死亡していた。「パパとおばあさんが追いかけてきて落ちた」とドヒは涙ながらに説明する。しばらくするとヨンハが現場に到着し、「クソガキのせいだ」とドヒに殴りかかる。エスカレートしてゆくヨンハの暴力から守るために、ヨンナムはドヒを一時的に自宅に引き取り面唐ンることにする。子供らしい無邪気な笑顔がドヒにも戻ってきた。しかし、次第にヨンナムと離れることを過剰に恐れ、彼女のすべてに執着しはじめるドヒ。あまりに過剰な反応にヨンナムは少し戸惑いを憶えはじめる。ある日、偶然にもヨンハは衝突を繰り返していたヨンナムの過去の秘密を知り、社会的に破滅へと彼女を追い込んでゆく。ヨンナムを守るため、すべてをかけてドヒは危険な選択をするが…。【公式サイトより】

カンヌ国際映画祭ある視点部門にも出品されたチョン・ジュリ監督デビュー作。

イ・チャンドン監督が製作でペ・ドゥナさん&キム・セロンさんW主演となれば、まず間違いないだろうとは思っていたけど、デビュー作でここまで完成されているとは。
幼児虐待、不法労働、同性愛と扱っているテーマは重厚で描写もリアルだが、どこかャGティック。ヨンナムが赴任初日、田舎道でドヒと出会うシーンからして、ドラマの始まりを感じさせるが、恐らくヨンナムはドヒに自分自身を見出したのであろう。
物語の構造上、ヨンナムがドヒを庇護するという関係だが、居場所のない者同士、お互いが欠かせない存在となっていく。だからこそ、ドヒはヨンハを陥れ、ヨンナムをそれを責めることなく受け容れる。
こうした「赦し」はイ・チャンドン監督作品にも通じるものであるが、エンディング曲を聴きながら一つの文学作品を読み終えたような余韻に浸ることができた。


★★★1/2


『新宿スワン』

2015-05-30 23:45:00 | 映画道
『新宿スワン』

2015年日本映画 139分
監督:園子温
脚本:鈴木おさむ、水島力也
原作:和久井健 『新宿スワン』(講談社『ヤングマガジン』刊)
撮影:山本英夫  美術:磯見俊裕  編集:叶{秀一
音楽:大坪直樹
主題歌:MAN WITH A MISSION「Dive」 挿入歌:UVERworld「Collide」
出演:綾野剛(白鳥龍彦)、山田孝之(南秀吉)、伊勢谷友介(バースト幹部・真虎)、沢尻エリカ(アゲハ)、金子ノブアキ(ハーレムNo.2・葉山豊)、深水元基(バースト幹部・関玄介)、山田優(ママ・涼子)、豊原功補(バースト社長・山城神)、吉田国セ郎(天野会長)、村上淳(バースト本部長・時政)、真野恵里菜(栄子)、丸高愛実(関の女・梨子)、久保田悠来(龍彦の同期・洋介)、安田顕(ハーレム社長・松方孝)、今野杏南(風俗嬢)、森田彩華(キャバ嬢)、エリイ[Chim↑Pom]、尾畑美依奈(龍彦がスカウトした女)


  
親にもツキにも見放され、帰る電車賃もない白鳥龍彦は、野心を抱えて新宿へ。チンピラたちに絡まれ大乱闘になったところを助けてくれた真虎に、スカウトをやらないかと誘われる。それは幸せ請負人。いい女を探してクラブにホステスを紹介する仕事だ。「俺がスカウトした女の子には必ず幸せだって言わせます!」男と女の欲望が交差するこの街で、龍彦は一端のスカウトマンになることを誓う。真虎が所属するスカウト会社・バーストの一員となり仕事に励む龍彦は、借金を肩代わりしている店長に痛めつけられながら働かされる、切ない目をした風俗嬢アゲハと運命的に出会う。店長を殴り唐オアゲハを店から連れ出したが、彼女には元の店に戻らなければならない秘密があった。そしてその裏には、新宿でバーストとしのぎを削るライバル会社・ハーレムで頭角を現していたスカウトマン、南秀吉の影があった。秀吉は、ハーレム幹部・葉山豊と共謀して多額の裏金を元にバーストを潰して“新宿のテッペン”を狙っており、秀吉の暗躍はやがて歌舞伎町の全スカウトマンを巻き込むバトルへと発展する。歌舞伎町に精通するクラブのママ・涼子から秀吉との因縁を明かされた龍彦は、すべてを終わらせるために、孤立無援の闘いに挑もうとする。【公式サイトより】

和久井健さんの同名コミックを園子温監督が実写映画化。

この映画の宣伝で綾野剛さんをあちこちのテレビで見かけたが、なぜだか園子温監督作品であることをほとんど言わないことが気になっていた。実際、本篇もいつもの"A SONO SION'S FILM"の表示はなく、「あ、これは完全に雇われ仕事だな」と了解。
暴力と性、それだけを取り上げれば園子温監督的要素はあるものの、そこはいたって表面的。もともとこの手の水商売を舞台にしたドラマや映画で面白いと思ったことはなかったので(全国統一とか戦国武将か君はとツッコミたくなる)、園子温監督をもってしてもそれを覆すことはできなかった。
綾野剛さんをはじめとして、キャスト陣はなかなかよかったけどね(特に秀吉にボウリングでいたぶられる深水元基さん)。

ま、この後、公開される『ラブ&ピース』と『みんな!エスパーだよ!』に期待するとしまわすわ。


★★

『四年間』

2015-05-24 23:46:00 | 映画道
『四年間』
FYRA ÅR TILL

2010年スウェーデン映画 83分
監督:トーヴァ・マグヌソン
脚本:ヴィルヘルム・ベルマン  撮影:トロッレ・ダヴィッドソン
出演:ビョーン・シェルマン(ダヴィッド・ホルスト)、エリック・エリクソン(マッティン)、トーヴァ・マグヌソン(フィーア)、アンドレ・ウィックストレム(ヨルゲン)、ステン・リュングレン(マッティンの父ヨーゼフ)、インゲル・ヘイマン(ダーヴィドの母イングリッド)、ヨーコブ・ノルデンソン(父エドヴァルド)、リカルド・ウルフセテル(マッティンの元恋人ヒューゴ)、リスベス・ヨハンソン(ホルスト家の隣人バルブロ)


   

スウェーデンで最も人気のある政治家の一人、政党党首のダヴィッド・ホルストはハンサムでユーモアに溢れ、次期首相候補として呼び声も高い。ところが、圧勝と思われた選挙で屈辱的な敗北を味わうことに。そのうえ突然、「男性」に恋してしまうダヴィッド。しかも相手は選挙で勝利した党の期待の新人だった!【公式サイトより】

〈大須にじいろ映画祭2015〉上映作品。

先般もルクセンブルクの首相の同性婚が報じられたが、世界の政治家の中には同性愛を公表している人も少なからずいる(もちろん日本にも)。ヨーロッパなどは比較的そのあたりもオープンだと思われるが、依然として拒否反応があるのも事実。
ましてや本作の場合、その相手が敵対する政党の議員となれば尚更公にはできないであろう。秘書を務める妻(演じるのは本作の監督)がいながら、本当の自分に気づいて戸惑う党首の姿が面白おかしく描かれる。政治ネタが分かりづらいところもあったが、日本とはまったく違う政治家のあり方が興味深かった。

上映後には北欧映画専門家の渡辺芳子さんのトーク。駐日スウェーデン(だったかな)大使も同性婚をしているそうなのだけど、日本での公式行事では二人揃って出席できないそうな。その辺はまだまだよねぇ。


★★★


『白河夜船』

2015-05-24 22:18:00 | 映画道
『白河夜船』

2015年日本映画 91分
脚本・監督・撮影監督:若木信吾
原作:よしもとばなな(現・吉本ばなな)『白河夜船』(新潮文庫刊)
脚本:鈴木櫂
照明:山本浩資  美術:古積弘二  装飾:鈴村高正  録音:山本タカアキ
衣装:宮本まさ江  ヘアメイク:橋本申二  編集:菊井貴繁
出演:安藤サクラ(寺子)、井浦新(岩永)、谷村美月(しおり)、高橋義明(しおりの昔の恋人)、紅甘(公園で出会う少女)、伊沢磨紀(しおりの母親)、柱勛サ(岩永の妻)


   

恋人の岩永と不倫関係を続ける寺子は、仕事もせず毎日家で岩永からの電話を待つだけの日々を送っている。岩永の妻は、交通事故にあって以来ずっと植物人間状態にあった。岩永との関係は進展することもなく穏やかに続いていたが、寺子にとって最愛の親友しおりが死んでしまったことだけは彼に言えずにいた。大学時代に一緒に住んでいたしおりとはどんなことでも話せる仲で、岩永との関係についていつも親身に相談に乗ってくれたのも彼女であった。しおりは男たちにただ添い寝をする“添い寝屋”という奇妙な仕事をしており、まるで天職のようにその仕事に夢中になっていた。そんなしおりが自ら死を選んでしまったことに寺子はショックを受けるが、なぜか岩永に言い出せずにいた。しおりと過ごした日々を思い返しているうちに、寺子の眠りは徐々に深くなる。どんなに深い眠りのなかでも岩永からの電話だけは聞き分けられるのが自慢だったが、ついに彼からの電話にも気付かなくなってしまう。まるで何かに取り憑かれたように眠り続ける寺子。やがて彼女は、夢と現実の境目すら曖昧になっていく……。【「KINENOTE」より】

吉本ばななさん(今年再改名してたのね)が26年前に発表した短篇を映画化。

『かぞくのくに』の安藤サクラさんと井浦新さんにくわえ、谷村美月さんが出演とくれば見逃すわけにも行かなかったが、うーむ……。いかんせん退屈すぎた。
監督は写真家とのことだけど、やはり静止しているのと動いているのとでは違うんだよねぇ。そもそも写真には動く芝居をつける必要もないし。
谷村美月さんはよかったけど、安藤サクラさんと親友には見えないよな(笑)。