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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『クリード チャンプを継ぐ男』

2016-01-10 19:57:00 | 映画道
『クリード チャンプを継ぐ男』
CREED

2015年アメリカ映画 133分
原案・脚本・監督:ライアン・クーグラー
製作:シルヴェスター・スタローン他
脚本:アーロン・コヴィントン
撮影:マリス・アルベルチ  美術:ハンナ・ビークラー
衣裳:エマ・ャbター、アントワネット・メッサン
編集:マイケル・P・ショーヴァー、クローディア・カステロ
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
出演:マイケル・B・ジョーダン(アドニス・ジョンソン)、シルヴェスター・スタローン(ロッキー・バルボア)、テッサ・トンプソン(ビアンカ)、フィリシア・ラシャド(アドニスの母メアリー・アン・クリード)、トニー・ベリュー(チャンプ、“プリティ”・リッキー・コンラン)、グレアム・マクタヴィッシュ(コンランのトレーナー、トミー・ホリデイ)、アンドレ・ウォード(ボクサー、ダニー・“スタントマン”・ウィラー)


  

アドニス・ジョンソンの父親は世界的に有名なボクシングのヘヴィー級チャンピオンだったアャ香Eクリードだが、彼が生まれる前に死んでしまったため、父のことを何も知らない。それでも、明らかにアドニスにはボクシングの才能が受け継がれていた。アドニスは、父がタフな無名のボクサー、ロッキー・バルボアと死闘を繰り広げた伝説の戦いの地フィラデルフィアへ向かう。フィラデルフィアに着いたアドニスは、ロッキーを捜し出し、トレーナーになるよう頼む。ロッキーは、ボクシングからは完全に手を引いたと断るが、かつての宿敵で、のちに親友となったアャ高ニ同じ強さと決意をアドニスの中に見出し、トレーナーを引き受ける。若いボクサーを鍛え始めるロッキーを味方につけたアドニスは、タイトル戦への切符を手に入れるが……。【「KINENOTE」より】

『ロッキー』シリーズのスピンオフ的作品。

うーん、ノスタルジー以外の何物でもない。
最後のフィラデルフィア美術館正面玄関の階段を若い頃のように駆け上がれないところはあえてロッキーの老いを描くことで、次世代へのバトンタッチを印象づけているのであろうが、そんなロッキーは見たくなかったというのが正直なところ。

まぁそれでもロッキーシリーズだからまだ観ることはできたが、それを抜きにして観た場合、ボクシング映画として平凡に過ぎるのではなかろうか。ボクシングシーンも変なエフェクト入ってるし。そもそもアドニスがロッキーにトレーナーを依頼する理由がよく分からないのよね。


★★


『完全なるチェックメイト』

2016-01-05 22:46:00 | 映画道
『完全なるチェックメイト』
PAWN SACRIFICE

2015年アメリカ映画 115分
監督・製作:エドワード・ズウィック
製作:トビー・マグワイア
原案・製作総指揮:スティーヴン・J・リヴェル、クリストファー・ウィルキンソン
原案・脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:ブラッドフォード・ヤング  編集:スティーヴン・ローゼンブラム
美術:イザベル・ゲイ  衣裳:レネー・エイプリル
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:トビー・マグワイア(ボビー・フィッシャー)、リーヴ・シュレイバー(ボリス・スパスキー)、マイケル・スタールバーグ(メ[ル・マーシャル)、ピーター・サースガード(神父ビル・ロンバーディ)、リリー・レーブ(姉ジョーン・フィッシャー)、ロビン・ワイガート(母レジーナ・フィッシャー)、シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック(10代のボビー・フィッシャー)、エイデン・ラヴカンプ(少年時代のボビー・フィッシャー)、ソフィー・ネリッセ(少女時代のジョーン・フィッシャー)、エヴリーヌ・ブロシュ(ボビーの童貞喪失の相手ドナ)、コンラッド・プラ(チェスクラブ会長カーマイン・ニグロ)、イリア・ヴォロック(KGBの男)、野村祐人[クレジットなし](キャスター)


   

1972年、アイスランドの首都レイキャビクでチェスの世界王者決定戦が開催される。チェスの最強国・ソ連が世界王者タイトルを保持し続け34年が経っていた。最強の王者であるソ連のボリス・スパスキーに挑むのは、アメリカの若きチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャー。彼はIQ187を記録する天才で15歳にして最年少グランドマスターになった反面とんでもない自信家であり、主張が通らなければゲームを放棄するようなエキセントリックな言動を見せていた。米ソ冷戦の真っただ中に行われたこの対戦は一種の代理戦争の様相を呈し、両国の威信がかけられた。注目が集まる中、対局一局目はスパスキーが完勝。残り二十三局、フィッシャーは絶対不利と見られたものの、極限状態の中で信じられないような戦略をうちたてる。

天才的チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーの歴史に残る一戦を映画化。

天才と狂気は紙一重とはよく言うが、ボビー・フィッシャーはまさにそれを地で行く人物。大抵の映画なら世界チャンピオンになって万万歳で終わりそうなものなのに、本作ではボビーがボリスに勝利を収めた後、車の中でおもちゃのチェス盤を取り出す姿を捉える。その表情は身も心もチェスに生贄として捧げてきた、いや捧げざるを得なかったボビーの悲哀が滲み出していた。
その後、彼がチャンピオンの座を手放し、世界放浪の暮らしを送っていたというのもむべなるかな。ボリス戦でもカメラの音がうるさいとか客席の咳(しわぶき)が気になったりとか、あんなに神経をすり減らしていては続けていくことなど出来なかったのであろう。
ユダヤ人でありながら、共産主義やユダヤ人を毛嫌いしていたというのも何とも哀れ。
蒲田にも一時期暮していたそうだけど、彼の目に日本はどう映ったんだろうなぁ。


★★★


『あの頃エッフェル塔の下で』

2016-01-05 22:06:00 | 映画道
『あの頃エッフェル塔の下で』
Trois souvenirs de ma jeunesse

2015年フランス映画 123分
脚本・監督:アルノー・デプレシャン
脚本:ジュリー・ペール
撮影:イリナ・ルブチャンスキー  編集:ロランス・ブリオー
美術:トマ・バクニ  衣裳:ナタリー・ラウール
音楽:グレゴワール・エッツェル
出演:カンタン・ドルメール(メ[ル・デダリュス)、ルー・ロワ=ルコリネ(エステル)、マチュー・アマルリック(現在のメ[ル・デダリュス)、ディナーラ・ドルカーロワ(イリーナ)、ピエール・アンドロー(メ[ルの友人コヴァルキ)、オリヴィエ・ラブルダン(メ[ルの父アベル・デダリュス)、リリー・タイエブ(妹デルフィーヌ・デダリュス)、ラファエル・コーエン(弟イヴァン・デダリュス)、テオ・フェルナンデーズ(メ[ルの友人ボブ)、クレマンス・ル・ギャル(ペネロペ)、メロディー・リシャール(メ[ルの愛人ジルベルト)、フランソワーズ・ルブラン(ローズ)、アンドレ・デュソリエ(取調官)、エリック・リュフ(現在のコヴァルキ)


   

外交官で人類学者のメ[ルは、長かった外国暮らしを終えて、フランスへ帰国する。ところが空港で、彼と同じパスメ[トを持つ“もう一人のメ[ル”がいるという奇妙なトラブルに巻き込まれる。偽のパスメ[トが忘れかけていた過去の記憶を呼び覚まし、メ[ルは人生を振り返りはじめる。幼い頃に亡くなった母、父との決裂、弟妹との絆。ソ連へのスリリングな旅、そしてエステルとの初恋。憧れのパリの大学に通うメ[ルと故郷に残ったエステルは、毎日手紙を書き綴った。変わらぬエステルへの想いに気づいたメ[ルは、数十年ぶりに彼女からの手紙を読み返し、ある真実に想い至るが──。【公式サイトより】

『そして僕は恋をする』から20年、アルノー・デプレシャン監督最新作。
マチュー・アマルリックさんが同じ役名で出演。

若き日のメ[ルとエステルの恋愛が中心となるが、くっついたり離れたり。
いやもう勝手にやっておくれやすという感じ。
これが淡い初恋の思い出とかならまだしもね…。
そもそも偽パスメ[トのくだりとか要るのかな。

エステルを演じたルー・ロワ=ルコリネさんの魅力が今ひとつ伝わってこず。
ちょっと顔も濃すぎるのよね。


★★1/2


『美術館を手玉にとった男』

2016-01-04 19:52:00 | 映画道
『美術館を手玉にとった男』
ART AND CRAFT

2014年アメリカ映画 89分
監督・製作:サム・カルマン、ジェニファー・グラウスマン
共同監督・編集:マーク・ベッカー
撮影:サム・カルマン  音楽:スティーヴン・ウルリッチ
出演:マーク・ランディス、マシュー・レイニンガー、アーロン・コーワン(シンシナティ大学DAAPギャラリーディレクター)、ロバート・ウィットマン(元FBI捜査官)、ジョン・ギャッパー(フィナンシャル・タイムズ記者)




2011年、アメリカの多くの美術館で展示されていた大量の絵画が、贋作であることが発覚した。贋作事件は遥か昔から繰り返し起きているが、この事件は極めて特殊だった。なぜなら、1人の男が精巧な贋作を100点以上制作し、美術マーケットで莫大な金額で売ることができるにも関わらず、それらを無償で寄贈していたからである。その男の名はマーク・ランディス。彼は30年以上に渡って、15世紀のイコンから、ピカソ、マグリット、ディズニーまで、幅広いスタイルの絵画を模倣し続けてきた。そして、“慈善活動”と称し、神父など様々な人物を装って、それらの贋作を美術館に寄贈してきたのだ。騙された美術館は全米20州、46館にも上った。それらの作品群が贋作であることを発見したのは、美術館職員のマシュー・レイニンガー。ニューヨークタイムズやフィナンシャルタイムズ、テレビなどのメディアが、この事件を大きく取り上げ、彼を追いかけた。FBIも捜査に乗り出すが、ランディスは金銭を一切受け取っていないため、罪に問われることはなかった。結局、贋作活動をやめさせようとするレイニンガーたちを無視して、ランディスは“慈善活動”を継続。しかし、レイニンガーの元同僚、アーロン・コーワンが思いついたひとつのアイデアによって、彼の運命は新たな局面を迎えることに……。贋作制作に執念を燃やすランディスと、彼を追うことに執念を燃やす人々、そして彼に騙された人々。彼ら自身や社会が持つ歪み、苦悩、良心が、ユーモラスかつ鋭い眼差しを持って描かれたドキュメンタリー。【「KINENOTE」より】

30年間で46の美術館を騙していた贋作画家を追ったドキュメンタリー。

普通、贋作というものは本物と偽って高く売りつけるものだが、本作の主人公マーク・ランディスは無償で提供するという変り種。果たしてその目的は…という点が気になるところではあったが、これといった理由はなかったような。結局のところ、統合失調症を患っているランディスの治療的行為なのかも。
最後、ランディスの作った贋作を集めて個展を開くというのが何ともアメリカらしいところではあるが、ランディスをずっと追っていたレイニンガーがもはや恋人を待つ乙女のようにそわそわしているのが可笑しい。ランディスが他の人たちと話しているのを見て、「しゃべり続けて話しかけるきっかけを作らせないつもりか?」と焼きもちを焼くあたりとか。
それにしても「オリジナルなんてものは存在しない」というランディスの言葉は色色と考えさせるものがある。ひょっとしたら、ランディスも自分の創作に行き詰ってこのような行為に走ったのだろうか。


★★1/2


『徘徊 ママリン87歳の夏』

2015-11-16 22:23:00 | 映画道
『徘徊』

2015年日本映画 77分
監督・撮影・編集・製作:田中幸夫
助監督:北川のん  照明:註X潤二  音効:吉田一郎、石川泰三
補撮・写真:酒井章子  題字・デザイン:東學
出演:酒井アサヨ、酒井章子



大阪市北浜。自宅のあるマンションでギャラリーを営む酒井章子は、認知症の症状が進んだ母・酒井アサヨと平成20年から同居を始めた。アサヨは昼夜問わず徘徊。過去4年間でアサヨは1388回家出し、徘徊時間は1730時間、徘徊距離は1844kmにもなった。しかし章子はアサヨを閉じ込めたり隠したりせず、落ち着いているときは母娘一緒に居酒屋やバーに出向くことも。アサヨとユーモアでしのぎながら母を見守る章子を通し、認知症や老いに向き合っていく。

大阪に暮らす認知症を抱えた女性とその娘を追ったドキュメンタリー。

まったくもってノーマークだったが、予告篇を見てこれほど笑えた作品も久し振り。
認知症を扱っていながら、こんなに笑えていいのだろうかという気もしないでもないが、やはりこの酒井親子のやりとりはどんな名脚本家が束になってかかっても敵わないほどのユーモアが溢れている。
普通、認知症の親を介護していると聞いたら、誰しも大変そうと思うことだろう。もちろん、章子さんも大変は大変なのだけど、これぐらいのユーモアを持っていなければとてもじゃないが付き合っていられない、挙句の果てには介護疲れなんてことになってしまう。
章子さんがこうやって認知症を患った母と付き合ってこれたのも、インタビューで答えていた「覚悟」のおかげであろう。自分が生まれてから物の分別がつくようになる10歳ぐらいまでは母親に育ててもらった、だから10年ぐらいは覚悟を決めて介護しよう、と。

私事ながら、先日、祖母がこの映画でのアサヨさんと同じ87歳で亡くなった。
祖母は認知症にはならなかったが、なってでももう少し長く生きて欲しかったと家族や親戚なら誰しも思うことではなかろうか。章子さんも「しゃあないなあ」と言いながら、アサヨさんとの残り少ない生活を楽しんでいるのが感じられた。


★★★1/2