『あん』
2015年日本・フランス・ドイツ映画 113分
脚本・監督・編集:河瀬直美
原作:ドリアン助川『あん』(ャvラ社刊)
主題歌:秦基博「水彩の月」
撮影:穐山茂樹 照明:太田康裕 録音:森英司 美術:部谷京子
編集:ティナ・バス
出演:樹木希林(吉井徳江)、永瀬正敏(千太郎)、内田伽羅(ワカナ)、市原悦子(佳子)、浅田美代子(どら春のオーナー)、水野美紀(ワカナの母)、太賀(ワカナの先輩・陽平)、兼松若人(オーナーの甥・若人)、駐煌C羽(中学生)、高橋咲樹(同)、村田優吏愛(同)

縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎のもとに、ある日、求人募集の張り紙を見た徳江がやってくる。彼女の勢いにのまれどら焼きの粒あん作りを任せたところ、あんの味が評判となりあっという間に店は大繁盛。つぶれたどら焼きをもらいにくる女子中学生・ワカナもだんだんと徳江に馴染んでいく。しかしかつて徳江がハンセン病患者だったことが広まり、客が一気に離れていった。この状況に徳江は店を去り、千太郎やワカナの前から消えてしまう。それぞれの思いを胸に、二人は徳江を探す……。【「KINENOTE」より】
ドリアン助川さんの同名小説を河瀬直美監督が映画化。
これまでどちらかと言うと、我が道を往くという感じの河瀬監督だったが、本作はドリアン助川さんの原作があるということもあってか、非常に判りやすく、なおかつ物語の持つ力を感じさせる仕上がりとなっている(前作が酷かっただけに尚更ね)。
そして、それはもう何と言っても樹木希林さんに負うところが大。
これまでも数々の名演技を見せてくれた樹木さんだが、本作は間違いなく彼女の代表作の1本となる。今年の各映画賞の主演女優賞はもう決まったようなものではないか。
上映後の舞台挨拶で河瀬監督が話していたけど、徳江が千太郎に「おいしいときは笑うのよ」というシーン、あれは永瀬さんが泣いているのを見て監督が「泣きたいときには笑うのよ」と言ってくれとカメラが回っている最中にメモを渡したところ、あのような台詞になったのだとか(カメラマンも泣いていたらしい)。
それはとりもなおさず樹木さんが徳江になりきっているからこそ出来た演技であろう。
また、中学生たちに語る「何やってもいいのよ、自由なんだから」という言葉には若い頃から隔離され、まさに鳥籠の中の鳥のような生活を送ってきた徳江ならではの重みが感じられた(その後、ワカナから預かったインコを解き放つのも象徴的)。
対する永瀬正敏さんも非常によかった。
働いていた酒場で喧嘩の仲裁に入ったところが相手に障害を負わせてしまったという過去を持ち、甘いものは苦手なのにどら焼き屋をやっている千太郎。戸惑いながらも徳江を受け容れていく姿に好感。
上述通り、この日は舞台挨拶があり、河瀬監督の他、永瀬正敏さん、ドリアン助川さん、秦基博さんが来場。写真撮影も許可の他、挨拶後にはサイン会も。
★★★
2015年日本・フランス・ドイツ映画 113分
脚本・監督・編集:河瀬直美
原作:ドリアン助川『あん』(ャvラ社刊)
主題歌:秦基博「水彩の月」
撮影:穐山茂樹 照明:太田康裕 録音:森英司 美術:部谷京子
編集:ティナ・バス
出演:樹木希林(吉井徳江)、永瀬正敏(千太郎)、内田伽羅(ワカナ)、市原悦子(佳子)、浅田美代子(どら春のオーナー)、水野美紀(ワカナの母)、太賀(ワカナの先輩・陽平)、兼松若人(オーナーの甥・若人)、駐煌C羽(中学生)、高橋咲樹(同)、村田優吏愛(同)



縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎のもとに、ある日、求人募集の張り紙を見た徳江がやってくる。彼女の勢いにのまれどら焼きの粒あん作りを任せたところ、あんの味が評判となりあっという間に店は大繁盛。つぶれたどら焼きをもらいにくる女子中学生・ワカナもだんだんと徳江に馴染んでいく。しかしかつて徳江がハンセン病患者だったことが広まり、客が一気に離れていった。この状況に徳江は店を去り、千太郎やワカナの前から消えてしまう。それぞれの思いを胸に、二人は徳江を探す……。【「KINENOTE」より】
ドリアン助川さんの同名小説を河瀬直美監督が映画化。
これまでどちらかと言うと、我が道を往くという感じの河瀬監督だったが、本作はドリアン助川さんの原作があるということもあってか、非常に判りやすく、なおかつ物語の持つ力を感じさせる仕上がりとなっている(前作が酷かっただけに尚更ね)。
そして、それはもう何と言っても樹木希林さんに負うところが大。
これまでも数々の名演技を見せてくれた樹木さんだが、本作は間違いなく彼女の代表作の1本となる。今年の各映画賞の主演女優賞はもう決まったようなものではないか。
上映後の舞台挨拶で河瀬監督が話していたけど、徳江が千太郎に「おいしいときは笑うのよ」というシーン、あれは永瀬さんが泣いているのを見て監督が「泣きたいときには笑うのよ」と言ってくれとカメラが回っている最中にメモを渡したところ、あのような台詞になったのだとか(カメラマンも泣いていたらしい)。
それはとりもなおさず樹木さんが徳江になりきっているからこそ出来た演技であろう。
また、中学生たちに語る「何やってもいいのよ、自由なんだから」という言葉には若い頃から隔離され、まさに鳥籠の中の鳥のような生活を送ってきた徳江ならではの重みが感じられた(その後、ワカナから預かったインコを解き放つのも象徴的)。
対する永瀬正敏さんも非常によかった。
働いていた酒場で喧嘩の仲裁に入ったところが相手に障害を負わせてしまったという過去を持ち、甘いものは苦手なのにどら焼き屋をやっている千太郎。戸惑いながらも徳江を受け容れていく姿に好感。
上述通り、この日は舞台挨拶があり、河瀬監督の他、永瀬正敏さん、ドリアン助川さん、秦基博さんが来場。写真撮影も許可の他、挨拶後にはサイン会も。
★★★