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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

『奇跡の2000マイル』

2015-07-23 22:12:00 | 映画道
『奇跡の2000マイル』
Tracks

2013年オーストラリア映画 112分
監督:ジョン・カラン
脚本:マリオン・ネルソン
原作:ロビン・デイヴィッドソン『ロビンが跳ねた』(冬樹社刊)
撮影:マンディ・ウォーカー  編集:アレクサンドル・デ・フランチェスキ
美術:メリンダ・ドーリング  衣裳:マリオット・カー
音楽:ガース・スティーヴンソン
出演:ミア・ワシコウスカ(ロビン・デイヴィッドソン)、アダム・ドライヴァー(リック・スモーラン)、ローリー・ミンツマ(ミスター・エディ)、ライナー・ボック(クルト・ャZル)、ブレンダン・マクリーン(ピーター)、ジェシカ・トーヴィー(ジェニー)、エマ・ブース(マーグ)


  

砂埃が舞うオーストラリア中央部の町アリス・スプリングズ。うまくいかない人生に変化を求め、家族や友だちから離れて、たったひとり都会からこの町にやってきた24歳の女性ロビン。彼女がこの地を訪れた目的は、とてつもなく広大な西部の砂漠地帯を踏破し、インド洋を目指す冒険の旅に出ること。町のパブで働きながら、牧場でラクダの調教を学び、旅の準備を整えたロビンは、荷物持ちとなる4頭のラクダと、いつも心の支えになってくれる愛犬を引き連れて、いよいよ町を出発。圧涛Iな大自然のなかを、自らの足でしっかりと大地を踏みしめて一歩ずつ前進していく。やがてこの波乱に満ちた旅の道程で、ロビンは一生の宝物になるような出会いと経験を重ねていくのだった…。【公式サイトより】

1977年、オーストラリアの砂漠を横断したロビン・デイヴィッドソンさんの回顧録を基に映画化。題材的にも邦題的にも『わたしに会うまでの1600キロ』とかぶってしまったなぁ。

砂漠をひたすら横断する、というただそれだけの映画なのでやや単調。
そもそも彼女が何のために旅に出たのか、動機が伝わってこないのよなぁ。
うーん。


★1/2


『セシウムと少女』

2015-07-18 22:52:00 | 映画道
『セシウムと少女』

2015年日本映画 108分
原案・脚本・監督・プロデューサー:才谷遼
撮影:加藤雄大  照明:山川英明  録音:山形浩
美術:寺尾淳  編集:川島章正
アニメーション:真賀里文子、久里洋二、鈴木伸一
主題歌:知久寿焼「セシウムと少女」
出演:白波瀬海来(ミミ)、長森雅人(らーさん・雷神)、飯田孝男(ふーさん・風神)、川津祐介(うみさん・海神)、山谷初男(たーさん・田の神)、なんきん(ミッキー・券\の神)、内田量子(あーちゃん・阿修羅)、山崎恵史(大ちゃん・大国主命)、中川弘子、金野美穂(15・16・17の静)、花ヶ前浩一(北原白秋)、水嶋カンナ[Project Nyx](ミミの母)、三浦伸子(ミミの叔母)
ナレーター:原マスミ


   

ミミちゃんは17歳の高校生。両親と3人、中央線阿佐ヶ谷で暮らしている。抜群の記憶力で成績はいつもトップクラス。優等生としては申し分ないが、かなり浮いた存在として、居心地が良くない日々を過ごしている。心のはじっこでいつも思う、“私の本来の場所、本当の自分”とは――――。ある日の下校時、巨大送電線の下で雷に打たれるミミちゃん。その場に居合わせた雷神のらーさんをきっかけに出会う、風神(ふーさん)・阿修羅(あーちゃん)・大黒天(大ちゃん)・海神(うみさん)・田の神(たーさん)・券\の神(ミッキー)と、摩訶不思議でちょっぴりくたびれた神様たち。特別養護老人ホームで暮らし、大事にしていた九官鳥を失ってしまった静おばあちゃん。“神様的手段”を使って1940年代の阿佐谷にタイムスリップし、歌う九官鳥“ハクシ”を探す旅に出るミミちゃんと神様たち。16歳の静と、その憧れの詩人・北原白秋との出会いが、内に籠りがちな少女のアイデンティティに揺さぶりをかけていく。ミミちゃんの運命が変わった“あの日”。東日本大震災の3日後、東京にセシウムの雨が降り注いで以来、食事をするとチクチクと痛む舌の異変。いつしか、舌の痛みの原因を突き止めようと、神様たちとの冒険がセシウムのホットスャbトと放射能をめぐるものへと変わっていって―――――。【公式サイトより】

ラピュタ阿佐ヶ谷の館主・才谷遼さんの監督デビュー作。

タイトルに興味を惹かれたものの、どんな内容かは何も知らず、監督の素性も知らないまま鑑賞したが、これほどまでにャbプで意表を突いたものだとは想像もしなかった。ストーリー自体も先の展開が読めずに楽しめた。なんせ七福神は出てくるわ、1940年代に飛んで若き日の祖母や北原白秋が出てくるわ。中では銭湯での歌&ダンスのシーンとそれに続く浅草観光シーンがよかった。
多種多様なアニメーションも使われ、自主映画とは思えないほど金と労力がかかっているなと感じる。よっぽど儲かってるのね、ラピュタ阿佐ヶ谷(笑)。

知久寿焼さんの同名主題歌が沁みる。
♪10万年経ったらぼくら もすこし賢くなってるのかな
 10万年経ってもまだ 恥ずかしいままなのかな


★★★


『ロード・オブ・ツリメラ』

2015-07-15 23:45:00 | 映画道
『ロード・オブ・ツリメラ』

2014年日本映画 72分
脚本・監督・撮影・編集:塩出太志
撮影・助監督:田村専一  助監督:吉田真由香、宮原周平
音楽:ツリメラ、STELF、長澤成啓、稲葉瑠奈
出演:赤澤ムック(桃子)、岡田あがさ(留璃子)、葛木英(藍子)、仁後亜由美(キャプテン)、大中淳史、岡本裕輝、松本高士、馬場泰光、長山浩巳、牛丸亮、泉水美和子、後藤直樹、長岡明美、広正裕子、村田啓治、萩原正道、星野祐樹、ほりかわひろき、富永茜、市原叶晤、よこえとも子、ちえり、木村知貴、矢島康美


  

つり目のアイドルグループ「ツリメラ」は解散し、仲間の死をきっかけにメンバー達の平凡な日常は徐々に歯車が噛み合わなくなっていく。メンバーの桃子はマザコンでベジタリアンの彼氏の母とうまくいかず、ティッシュ配りのバイトをしている留璃子はティッシュを捨てているところをバイトの先輩に見つかり、藍子は気付いたら借金にまみれていた。3人ともこのままじゃダメな事は心のどこかで知っている。今を変えるために、過去を清算するのだ!【公式サイトより】

演劇界で活躍する赤澤ムックさん、岡田あがささん、葛木英さんによるユニット・ツリメラを主演に迎えた作品。

赤澤ムックさん目当てで観に行ったが、今ひとつどういうことをやりたいのかが判らなかった。役柄上でもツリメラのメンバーということなら、役名も喧シのままでよかったような気がするし、その方が虚実綯い交ぜとなった内容に出来たと思うのだが。

この日は監督と松本高士さんによる舞台挨拶があったが、客は十数名。
うーむ、正直言ってツリメラの知名度がなさすぎるよなぁ…。


★1/2


『バケモノの子』

2015-07-13 23:06:00 | 映画道
『バケモノの子』
The Boy and The Beast

2015年日本映画 
原作・脚本・監督:細田守
作画監督:山下高明、西田達三  美術監督:大森崇、高松洋平、西川洋一
美術設定:上條安里  色彩設計:三笠修  衣裳:伊賀大介  編集:西山茂
脚本協力:奥寺佐渡子
音楽:高木正勝  主題歌:Mr.Children「Starting Over」
声の出演:役所広司(熊徹)、宮崎あおい(少年期の九太/蓮)、染谷将太(青年期の九太/蓮)、広瀬すず(楓)、大泉洋(多々良)、リリー・フランキー(百秋坊)、津川雅彦(宗師)、山路和弘(猪王山)、黒木華(少年期の一郎彦)、宮野真守(青年期の一郎彦)、大野百花(少年期の二郎丸)、山口勝平(青年期の二郎丸)、諸星すみれ(チコ)、長塚圭史(九太の父)、麻生久美子(九太の母)、清水一彰


   

この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。人間界【渋谷】とバケモノ界【渋天街(じゅうてんがい)】。交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。ある日、バケモノ・熊徹に出会った少年・蓮は強さを求め、バケモノの世界へ行くことを決意した。少年は熊徹の弟子となり、九太という新しい名前を授けられる。当初はことあるごとに、ぶつかり合う2人だったが、奇妙な共同生活と修行の日々を重ねることで互いに成長し、いつしか、まるで本当の親子のような絆が芽生え始める。少年が逞しい青年となったある日。偶然にも、【渋天街】から【渋谷】へ戻った九太は、高校生の少女・楓と出会う。新しい世界や価値観を教えてくれる楓との出会いによって、九太は自身が本当に生きるべき世界を模索し始めるのだった。そんな時、人間とバケモノの2つの世界を巻き込んだ大事件が勃発する。みんなを救うために、自分にできることは何なのか? 熊徹と九太、そして楓。それぞれに決断のときが訪れる―【公式サイトより】

細田守監督最新作。

前作同様、親と子がテーマ。
後半、成長した九太が現実の渋谷に戻って実の父親と再会し、はたまた楓から勉強を教えてもらうにつれて終盤の展開への期待が高まっていったのだが、ちょっと想定外のまとめ方に。九太にはもう少し実の親と育ての親、渋谷と渋天街との間で揺れ動いて欲しかったよなぁ。
あと、メルヴィルの『白鯨』がモチーフの一つとして使われていたけど(画面に映されていたのは阿部知二訳)、一郎彦の怨念(?)の形が鯨というのは偶然なのか必然なのか。いずれにしても、『白鯨』ではエイハブ船長はモービー・ディック(=心の闇)に引きずり込まれちゃうんだけどね。

それにしても宮崎あおいさんは声優としても巧いなぁ。
2日連続となった広瀬すずさんはまんまだったけど。
役所広司さんもさすがの技量。


★★1/2


『グローリー 明日への行進』

2015-07-08 23:23:00 | 映画道
『グローリー 明日への行進』
SELMA

2014年アメリカ映画 128分
監督・製作総指揮:エヴァ・デュヴァネイ
脚本:メ[ル・ウェブ  製作:オプラ・ウィンフリーほか
撮影:ブラッドフォード・ヤング  編集:スペンサー・アヴァリック
美術:マーク・フリードバーグ  衣裳:ルース・E・カーター
音楽:ジェイソン・モラン
出演:デイヴィッド・オイェロウォ(マーティン・ルーサー・キング・Jr.)、トム・ウィルキンソン(リンドン・B・ジョンソン大統領)、カーメン・イジョゴ(妻コレッタ・スコット・キング)、ジョヴァンニ・リビシ(リー・ホワイト)、アレッサンドロ・ニヴォラ(ジョン・ドアー)、キューバ・グッディング・Jr(弁護士フレッド・グレイ)、ロレイン・トゥーサント(アメリア・ボイントン)、テッサ・トンプソン(ダイアン・ナッシュ)、キース・スタンフィールド(被害者ジミー・リー・ジャクソン)、ティム・ロス(ジョージ・ウォレス州知事)、オプラ・ウィンフリー(ジミーの母アニー・リー・クーパー)、アンドレ・ホランド、ルーベン・サンチャゴ=ハドソン、コールマン・ドミンゴ、オマー・J・ドージー、コモン、ディラン・ベイカー、ケント・フォールコン、ニーシー・ナッシュ、コリー・レイノルズ、ウェンデル・ピアース


  

1965年3月7日、前年にノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キングJr.牧師の指導のもと、差別により黒人の有権者登録が妨害されていることに抗議する600名ものデモ隊がアラバマ州セルマを出発。しかしこれを白人知事を筆頭に警官隊が暴力を振るい鎮圧。彼らが進んだ距離はわずか6ブロックだった。この事件のショッキングな模様は『血の日曜日』として全米で報じられ、公民権運動への賛同者を集めていく。抗議デモには日に日に参加者が増え、ついに2万5000人にまで到達。やがて彼らの声は大統領や世界を動かし、歴史を変えていく。【「KINENOTE」より】

本年度アカデミー賞主題歌賞受賞作。

ちょうど50年前の出来事ではあるが、なぜか至るところで現在の日本やアメリカの状況がオーバーラップしてしまった。アメリカという国が自由と平等を謳っておきながら、差別が蔓延していることは今更指摘するまでもないが、たかだか50年しか経っていないのだから、人間の本質なんてものは変わりはしないよなぁとも思う。
また、投票権法の成立を求めて行進する人々の姿は、現在安保関連法案の阻止を訴えて国会前に集まる人々と繋がる。「こけの一念岩をも通す」ではないけれど、最後まで諦めずに訴え続けることで何かが動くはずだと信じたい。
もう一つ、アラバマ州知事ジョージ・ウォレスの黒人に対する言い草は在特会のそれとそっくり。いわく、「黒人たちはすぐにつけあがる。ろくに働きもせず、あれやこれやと要求する」。貧乏白人が黒人を差別するという構図も通じるものがあるし、悲しいことながら、人間というのは差別せずにはいられない生き物なのだなぁ。

とあれこれ想起しながら観ていたが、最後には勇気をもらえる作品だった。
それにしてもこの邦題は頂けない。『グローリー』と言えば真っ先にデンゼル・ワシントンさんがアカデミー助演男優賞を受賞した作品が思い浮かぶわけであり、人種差別を扱っていて実話を基にしているという点も共通してしまっている。主題歌のタイトルが「グローリー」だからと言って邦題まで合わせなくても、例えば『栄光のセルマ』などの方がよっぽどしっくり来たのではないだろうか。
あと、デイヴィッド・オイェロウォさんの見てくれがもう少しよかったらなぁ(ちょっとキング牧師というには頼りない)。


★★★