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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

PARCO PRODUCE『いやおうなしに』

2015-01-27 23:13:00 | 演劇道
PARCO PRODUCE【歌謡ファンク喜劇】
『いやおうなしに』




【名古屋公演】
2015年1月27日(火)・28日(水)
愛知県件p劇場大ホール
S席:9,500円  A席:8,500円

作:福原充則  演出:河原雅彦
音楽:Only Love Hurts(面影ラッキーホール)
音楽監督:和田俊輔  振付:振付稼業air:man
美術:石原敬  照明:高見和義  音響:大木祐介  映像:ムーチョ村松
衣裳:高木阿友子  ヘアメイク:西川直子  アクション:安田桃太郎
歌唱指導:水野里香  演出助手:松倉良子  舞台監督:齋藤英明、幸光順平

出演:
古田新太(真壁太一/新聞配達員/娘/球児/パチンコ店店長)
小泉今日子(真壁奈美子/ホステス)

高畑充希(真壁芳奈/チアリーダー/ラッパー/ホステス/赤ちゃん)
三宅弘城(堂崎万歳/司会者/球児)
高田聖子(堂崎一穂/チアリーダー/ラッパ=^女子高生/球児)
山中崇(野球部顧問・富田林三郎太/不良/球児/息子)

政岡泰志(球児/工員/不良/女/客引き/学生/母親/土工/ホームレス/ヤクザ/刑事)
駒木根隆介(球児/工員/不良/男/土工/釈迦/ヤクザ)
三浦俊輔(球児/室伏/不良/義母/客引き/学生/老人/警察官)
高山のえみ(フィリピンパブ・アイリーン/アシスタント/球児/サラリーマン)

田ロトモロヲ(藤岡大輝/義父/球児)

コーラス:西村史子、照屋薫、田中まゆ果、入山和代

夏の日のある日。神奈川県海老名市……らしき町の先にある小さな工業団地に、モツ煮込み丼専門店が開店。店主・真壁太一と、その妻・奈美子は開店準備をしている。高校生の娘・芳奈は野球部のマネージャー。幸せそうな家族だ。最初のお客様が入ってきた。その瞬間、太一が固まった。高校球児時代のキャプテン、藤岡だ。試合直前に事件を起こした太一のせいで、甲子園出場が取り消されたという過去があり、藤岡は太一を恨んでいた。その事件はレイプされた奈美子のために太一が起こしたものだった。その後、2人は結婚して男の子を育てるが、35歳にして家を出て行方不明になっていた。一方、太一の店でパートとして働く堂崎一穂には元ボクサーの夫・万歳がいたが、夫婦には幼い頃に亡くなった娘がいた。【パンフレットに加筆】

Only Love Hurts(面影ラッキーホール)の楽曲をモチーフにした歌謡ファンク喜劇。

舞台の幕には後ろから見た女性の脚があしらわれ、客入れ時にはO.L.H.の楽曲が鳴り続ける。何とはなしにクラブとかキャバレーとかそういう場所が舞台になるかと思いきや、脚が、もとい幕が開いて現れるのは海老名市にあるらしいワンコインのモツ煮込み丼専門店。
開店して初めての客・藤岡が現れてから、「俺のせいで甲子園に行けなかった」「好きな男の名前腕にコンパスの針でかいた」「あんなに反対してたお義父さんにビールつがれて」と怒濤の三連発ですっかり心は鷲摑み。
登場人物たちは言わば底辺の人々。作品自体は下品で下劣かも知れないが(カーテンコールでスタンディングするお客さんに古田さんが「そんなことをしたら品性が疑われます」と座らせる一幕も)、その根底には愛情を上手く伝えることもできず、傷つけ傷つけられながらも、底辺から這い上がろうとする人人の生きる力に溢れている。
猥雑さこそ命。

O.L.H.については名前ぐらいしか知らなかったが、なるほど、こういう歌を手がけているのね。タイトルからしてドラマ性を感じさせ、歌詞が表示される電子掲示板?にタイトルが出るだけで笑いが起きていた。
それらの楽曲を例えば小泉今日子さんが歌うのだから堪らない。そこはもう完全に80年代の歌番組の世界。古田新太さん&高田聖子さんの新感線コンビもうまいし、高畑充希さんも期待通り。ばちかぶりの田口トモロヲさんの歌や『サイタマノラッパー』のIKKUこと駒木根隆介さんのラップ調の曲が聴けたのもよかった。

高畑充希さんはビッチな女子高生という役どころで、マネージャーをしている野球部員たちに順番でヤらせるような娘。当然、台詞も際どいものが多く、部員の股間からマイクを取り出して歌い出したり、ダッチワイフに扮して口を開けたまま踊ったりと、『ごちそうさん』で彼女を知った人は口をあんぐりさせること間違いなし。そうそう、『ごちそうさん』で共演していた山中崇さんとも絡みがあるでよ(笑)。

2015年が始まったばかりでもう年間ベスト1候補が出てきたなぁ。





avecビーズ『トワイライト アット タイム~この黄昏よ~』

2015-01-18 21:50:00 | 演劇道
avecビーズ évolution 11
『トワイライト アット タイム~この黄昏よ~』

twilight at time




2015年1月15日(木)~18日(日)
損保ジャパン日本興亜人形劇場ひまわりホール
前売:2,800円  当日:3,000円

作:北村想  演出:小林正和
舞台美術:松本ひろし(ステージクラフト三舞)
舞台監督:中村公彦(イリスパンシブルティ)
照明:石原福雄(FRACTAL)、平野行俊(劇座)
作曲・音響:ノノヤママナコ(マナコプロジェクト)
挿入歌:西本さゆり(Ett)  歌唱指導:折野純子
衣装:大池かおり  宣伝美術:下東英夫  イラスト:あおきひろえ

出演:
小林正和[ファーム・コバヤシ](院長・郡山藤兵衛)
金原祐三子(元女優・小湊景子)
中島由紀子(同・阿毬塔子)
ヒート猛[スクイジーズ](元演出家・団四十郎)
たなかちさ(車椅子の女性・美嵜鈴江)
こつじまさのり[人形劇団むすび座](元待機役者・柳研吾)
スズキナコ(元少女歌劇団・間丘新菜)
火田詮子(同・鴻ヒナ)

元演劇人が集まる特別養老施設。マジックアワーの時間帯、パティオで小湊と阿毬が話していると、阿毬の元夫で演出家の団四十郎が入所してくる。小湊と阿毬が食事に行くのと入れ替わるように車椅子に乗った美嵜鈴江と元待機役者の柳研吾がやってくる。元少女歌劇団の名コンビ、鴻ヒナと間丘新菜の寸劇を楽しんだり、『かもめ』のスピンオフを考えたりしていた入居者たちだったが、施設の閉鎖が通知される。団は運営資金を集めるためにワークショップを提案するが、それぞれ旅立ちの時を迎える。


本文作成中。

燐光群『8分間』

2014-12-12 21:09:00 | 演劇道
燐光群
『8分間』




【名古屋公演】
2014年12月12日(金)・13日(土)
愛知県件p劇場小ホール
一般前売:3,300円 ペア前売:6,000円 当日:3,600円 

作・演出:坂手洋二
照明:苧ム功(龍前正夫舞台照明研究所)  音響:島猛(ステージオフィス)
美術:じょん万次郎  衣裳:大野典子  音楽:太田惠資  振付:矢内原美邦
舞台監督:多和田仁、三津久  テクニカルアドバイザー:森下紀彦
演出助手:城田美樹  文件侮閨F清水弥生、久保志乃ぶ  美術助手:福田陽子
衣裳補佐:ぴんくぱんだー・卯月  イラスト:三田晴代

出演:
杉山英之(彼)
大島葉子(彼女・アパレル関係)
岡本舞(黒眼鏡の女)
荻野貴継(劇団員ヤン)
松岡洋子(同シノミヤ)
円城寺あや(女・作家タチバナサヨコ)
大西孝洋(男) 
長谷川千紗(若い女)
さとうこうじ(課長・痴漢の容疑)
猪熊恒和(店長)
田中結佳(ヒトミ・痴漢被害)
鴨川てんし(紳士・乗客)
東谷英人(白いジャンパーの男)
川中健次郎(乗務員)
根兵さやか(少女)
秋定史枝(店長の妻サユリ)
樋尾麻衣子(その友人チサト)
武山尚史(駅員)
川崎理沙(カワサキ・通行人)
桐畑理佳(通行人)
齋藤宏晃(通行人)
昼間。駅のプラットフォーム。
階段を駆けてきたが目の前で車輌の扉が閉まる。
間一髪、間に合わなかった。
8分間。これから8分間。
次の鈍行を待つ。
この時間帯、鈍行の間隔は、いつも8分間。
8分間を待つ。
ふだんと変わらぬ暮らしの中の一コマのはずだった。【公式サイトより】


昨年7月、JR南浦和駅で発生した事故から着想を得た燐光群最新作。

舞台はリアルなホームのセット。
女性が車両と線路の間に挟まり、それを助けようと周りの人が協力する。
その途中、「彼」が線路に飛び込み自殺しようとする男を助けようと駆け出した途端、時間は8分前に逆戻り。また同じように女性が挟まり、周りが助け…と出来事が繰り返される。
それを繰り返すうち、「彼」は女性をうまく助け、なおかつ自殺も食い止めようとするが…。

やがて物語は2011年3月11日の出来事だと明らかになる。
自殺をしようとしていたのは「彼」自身だった。
あの日、地震で電車が止まった瞬間、ひょっとしたら自殺をしようとしかけていた人もいたかも知れない(飛び込み自殺に限らず)。それがあのような大きな災害が発生し、それどころではなくなってしまったという人もいたかも知れないし、逆にもっとショックを受けてPTSDにかかってしまった人もいたかも知れない。
たった8分間の出来事でも、それが人の生死を左右しうる。
一本先の電車に乗っていたら事故に遭わなかったのに。あるいは逆に乗り遅れていたから事故に遭わずに助かった。まさに運命のいたずらとしか呼べないような、ちょっとしたボタンの鰍ッ違いが人生には往々にして起こりえる。
いささか仏教じみてくるが、自分はこの世に生かされているのだなあという思いを強くした。

今回は群像劇ということで、キャストのアンサンブルが小気味いい。
実際の事故現場だったら、ここまで理路整然と動けはしないだろうけど、そこはまあ演劇の嘘ということで。ホームの向こう側の線路からこちらを見ている絵が何だか微笑ましかった。


PARCO Production『紫式部ダイアリー』

2014-12-06 23:22:00 | 演劇道
PARCO Production
『紫式部ダイアリー』

THE AUTHORESSES



【名古屋公演】
2014年12月4日(木)~7日(日)
名鉄ホール
全席指定:10,000円

作・演出:三谷幸喜
美術:堀尾幸男  衣装:ワダエミ  照明:服部基  音響:井上正弘
演出助手:大江祥彦  舞台監督:藤崎遊  制作:藤井綾子
出演:
長澤まさみ(紫式部)
斉藤由貴(清少納言)
吉田ボイス(バーテンダー)

とある女流新人文学賞の選考会。審査員は二人。『源氏物語』で、一躍注目を集め、若手女流作家として飛ぶ鳥を落とす勢いの紫式部。そして『枕草子』が大ベストセラーとなり、エッセイストとして確固たる地位を築いた清少納言。現在は、数々の文学賞の審査員を務め、文壇での発言力も強い。賞の対象となっているのは、和泉式部の『和泉式部日記』。紫式部は、この新しい形の作品を激賛し、清少納言は、薄っぺらいエセ文学と切り捨てる。早速、議論は白熱。清少納言にとって『和泉式部日記』を認めることは、紫式部本人を認めることになり、また紫式部にとっても、それは同様。共に絶対に負けられない戦いであった。かくして選考会は、『和泉式部日記』を巡る文学論から、いつしか、紫式部と清少納言の、作家としての、そして女としての、人生を賭けたプライドのぶつかり合いが始まろうとしていた・・・。【公式サイトより】

三谷幸喜さん最新作は紫式部と清少納言、2人の女流作家の対決。

本文作成中。


『友達』

2014-12-03 23:39:00 | 演劇道
公益社団法人日本劇団協議会『友達』



2014年11月28日(金)~12月4日(木)
愛知県件p劇場小ホール
前売・当日:3,000円

作:安部公房  演出:平塚直隆
舞台美術:池田ともゆき  衣裳:中矢恵子  照明:花植厚美
音響:ノノヤママナコ  大道具:岡田保  小道具:西杢比野茉実
舞台監督:柴田頼克  演出助手:寺島久美子、小林美恵子
アシスタント・プロデューサー:祖川詩織、山内庸平  宣伝美術:楚勉
プロデューサー:森宗頁侏ゴ曄
夜の都会。奇妙な8人家族が「友達のブルース」を歌いながら、愛と友情を届けるために一人ぼっちの孤独な人間を探し、ある一人暮しの男のアパートを訪ねる。 彼らは拒む男の意向を無視して部屋に無理やり闖入した。男は不法侵入だと警察に電話をするが、管理人や警官らにも信じてもらえず、一家に居座られる。出て行ってくれと頼む男に対して一家は、様々な屁理屈で応酬し、多数決の「民主的な」ルールを押し付ける。彼らは、男の婚約者もうまく言いくるめてしまい、婚約者の依頼で元週刊誌のトップ屋がやって来るが…。男はそのまま一家と同居を続けなければならなくなる。半月が経ったある晩、長女と男が一緒に寝て何か相談しているところを、次女が発見する。男が長女に誘われ逃亡しようとしていたことを、次女は他の家族を呼び報告し、男は弁解もむなしく、罰として玄関の靴箱の檻に入れられた。食事係りの次女は、憔悴している男に牛乳をすすめ、男がそれを飲む干すのを見届けると、檻の錠前の鍵をあげると男に言った。男は喜んでそれを受け取ろうとするが、突然ふるえが激しくなり、恐浮ノひきつれて動かなくなった。次女は男の死の間際に、「さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にすぎなかったのに……」とつぶやき、檻にそっと毛布をかけすすり泣く。次男は次女に、「なんだ、おまえ、またやってしまったのか!」と言うが、「しょうがねえなあ……」と、平気で引越し準備にかかった。父が、「故人は常にわれらが良き友でありました」と哀悼を述べ、一家はハンカチを振ってアパートから出て行進し、笑い声を響かせながら去って行く。【パンフレットより】

安部公房さんの代表作を平塚直隆さんが演出。

この作品を観るのは初めてだが、不条理劇という点から言っても、安部公房さんと平塚直隆さんの相性はいいように思われた。なにせ8人の家族が突然、家に押し入って居座ってしまうという設定からして不条理そのものだが、出て行ってもらうためにあれこれと交渉したり、婚約者に言い訳をしたりする主人公の男にとっては悪夢以外の何物でもない。
最終的には悲劇を迎えるが、果たしてこの家族の目的は何なのか、どこから来てどこへ向かうのか、そもそもこの8人は本当の家族なのか、それらは一切謎のままであり、なんとも不気味な印象だけを残して舞台は幕を閉じる。
今はネットで簡単に「友達」になれてしまう時代だが、顔が見えないからと言って、この劇の8人家族のようなことを平気でしている輩もいるよなぁ。まさに現実が不条理になりつつあるということか。

なお、上記のあらすじは「パンフレットより」としてあるが、その実、ほとんどWikipediaの記事のパクリであったことを付言しておく。