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法 水 道~The Road to NORIMIZU

映画・演劇についての戯言。ブログ引っ越しの際、一部文字化けや画像の不具合が出ております旨、ご了解ください。

M&O playsプロデュース『結びの庭』

2015-04-05 23:51:00 | 演劇道
M&O playsプロデュース『結びの庭』



【名古屋公演】
2015年4月4日(土)・5日(日)
ウインクあいち大ホール
全席指定:8,000円

作・演出:岩松了
照明:沢田祐二  美術:二村周作  音響:高塩顕  舞台監督:幸光順平
衣裳:戸田京子  ヘアメイク:大和田一美  演出助手:大堀光威
振付:U★G  アクション指導:前田悟  制作:近藤南美  宣伝美術:坂本志保
出演:
宮藤官九郎(弁護士・水島慎一郎)
麻生久美子(来宮瞳子のちに水島瞳子)
太賀(水島の秘書・近藤未來)
安藤玉恵(水島家の家政婦・丸尾操)
岩松了(末次民雄)

弁護士・水島慎一郎は、経済界の大物・来宮信介の一人娘、来宮瞳子と結婚して1年が経とうとしていた。二人のなれそめは、財閥の令嬢である瞳子に殺人の容疑がかかった事件の弁護を水島が担当した、5年前のことだった。水島の活躍もあって、瞳子の無罪が証明され、二人は結婚することになる。二人は歴史を感じさせる旧家の館で新婚生活を始めることになる。水島の秘書・近藤と、家政婦の丸尾は、ある憧れを持って二人に尽くすが、突然現れた末次という男によって不穏な過去の出来事が蒸し返される。穏やかに見えた生活が、少しずつ、その姿を変え、末次の出現によって事態は思わぬ方向へ転がり始める。覆い隠されていた真実が、やがて暴かれ、それぞれの裏切りと疑惑が大きく動き始めると、信頼は音を立てて崩れ、次の罪へと暴走を始める。はたして、その時、水島がとった行動とは、瞳子が語る真実とは———。【公式サイトより】

岩松了さん新作舞台。

岩松作品は『水の戯れ』を観たばかりだけど、やはりあまり友達にはなりたくない登場人物ばかりだな(笑)。とりわけ家政婦の丸尾に対して言葉尻を捉えたり難詰したりする瞳子はいかにもな岩松作品的キャラクター。
本作は前半こそ笑える部分も多いが、徐々にシリアスになってくる。そこからは特に岩松さんの人間に対する冷徹な眼差しというものが感じられる。
これまでの岩松作品の中では分かりやすい方だった。

出演舞台を初めて観た麻生久美子さんはいい意味で普段通り。普通、映像と舞台とでは演技の仕方が違ってくるものだけど、麻生さんは変わらない。不思議。
意外にも初・岩松作品という安藤玉恵さんも可愛らしかった。


野田地図『エッグ』

2015-04-04 23:22:00 | 演劇道
~シアターBRAVA!10周年記念シリーズ~
野田地図(NODA・MAP)第19回公演『エッグ』

egg



【大阪公演】
2015年3月26日(木)~4月8日(水)
シアターBRAVA!
全席指定:9,800円

作・演出:野田秀樹
音楽:椎名林檎  美術:堀尾幸男  照明:小川幾雄  衣裳:ひびのこづえ
音響・効果:高都幸男  振付:黒田育世  映像:奥秀太郎  美粧:柘植伊佐夫
舞台監督:瀬崎将孝  プロデューサー:鈴木弘之

出演:
妻夫木聡(阿倍比羅夫)
深津絵里(苺イチエ)
仲村トオル(粒来幸吉)
秋山菜津子(オーナー)
大倉孝二(平川)
藤井隆(お床山)
野田秀樹(劇場案内係/件p監督)
橋爪功(消田監督)
深井順子(○田フミヨ)
内田慈(女学生・×田)
大西智子(女学生・△田)
秋草瑠衣子(女学生・□田)
アンサンブル:板橋駿谷、大石貴也、川原田樹、菊沢将憲、久保田武人、近藤彩香、佐藤ばびぶべ、佐藤悠玄、下司尚実、白倉裕二、駐熏G樹、永田恵実、西田夏奈子、野口卓磨、益山貴司、的場祐太

とある改装中の劇場。劇場案内係に率いられて見学をしていた女学生の一人が寺山修司の未完の遺作『エッグ』の生原稿を見つける。劇場案内係は愛人でもある件p監督にその原稿を渡す。それは「エッグ」と呼ばれるスメ[ツのベテラン選手・粒来(つぶらい)と農家出身のルーキー・阿倍比羅夫、そして粒来に思いを寄せながらなぜか阿倍と結婚することになる歌手・苺イチエの物語だった。消野監督やオーナーらの指揮の下、オリンピック出場を目指す日本チームだったが、彼らが全員検査で女と判断され、失格となる。4年後、エッグは東京オリンピックで正式種目となる見込みだったが、日本チームが出場を決めた途端、オリンピックの中止が決定される。

2012年に初演された作品を早くも再演。
初演は東京のみだったが、今回はフランス、大阪、北九州公演もあり。

大まかな感想は初演に書いた通りだが、再演までの間に2020年の東京オリンピック開催が決定したり、寺山修司さんの未発表原稿が見つかったりと相変わらず時代の先を行っている野田さん。
そういった点だけではなく、この2年数ヶ月で日本にキナ臭い雰囲気が濃くなってきたこともあって、物語の時代背景が戦前の満州であることが明らかになるにつれ、劇場を覆う「鈍色の空」がもたらす重苦しさが増していたように感じられた。

メインキャストは初演そのまま。アンサンブルは3名が新たに追加(内田慈さんが今更アンサンブルとは)。全体の数は少なくなっているが、そんなことを感じさせなかった。


MONO『ぶた草の庭』

2015-03-15 21:01:00 | 演劇道
MONO 第42回公演
『ぶた草の庭』




【名古屋公演】
2015年3月14日(土)・15日(日)
愛知県件p劇場小ホール
指定席:3,800円  U-25チケット:2,000円

作・演出:土田英生
舞台美術:柴田隆弘  照明:吉本有輝子  音響:堂岡俊弘
衣裳:大野知英[iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA]  演出助手:磯村令子
舞台監督:青野守浩  イラスト:川崎タカオ
制作:垣脇純子、本郷麻衣、小山佳織、谷口静栄
出演:
水沼健(元保健局局員・山岸正己)
尾方宣久(同・坂木俊)
山本麻貴(患者・柳原裕香)
金替康博(同・南ノリト)
奥村泰彦(ガンジ人・高台浩宇)
土田英生(同・高台暁明)
高阪勝之(局員→患者・籾山オサム)
もたい陽子(ノリトの妻・南江里奈)
高橋明日香(浩宇の姪・高台美帆)
松原由希子(患者・川ロナオ)

原因不明の感染症ヨコガワ病が猛威をふるい、患者たちはある島の廃村に隔離される。当初は年寄りのみが亡くなっていたが、近頃では段々死者が若年化していた。元保健局員だった山岸が中心となっているコミュニティでは、後輩の坂木や唯一の女性患者・裕香らが新たにやってくる若い患者たちの話をしていた。その患者の中には南の妻・江里奈や結婚直後に旦那に逃げられた川口ナオ、そして浩宇(ひろたか)や暁明(としあき)と同じガンジ人(びと)の美帆らの姿があった。更に保健局員の籾山も感染して施設にやってくるが、その後は新たな担当も置かれず、食糧などはヘリコプターで運ばれるようになる。徐々に不穏な空気が流れ始め、山岸は孤立しはじめる。しばらくして暁明の病状が悪化して死亡。裕香も記憶を失い始め、山岸と思いを寄せ合っていたことも忘れてしまう。

MONO、1年ぶりの本公演。

記憶を失い、斑点が紫色になると死が近づく。ぶた草が効果があるらしいが、原因究明には至っていない。そのような謎の伝染病にかかった人たちが集まっているだけにいくらでもシリアスに出来そうなものだが、そこはやはりMONOらしく、軽やかな喜劇に仕立てていく。
とりわけすべての女性が自分に気があると勘違いする浩宇や、彼とどこにスイッチがあるのか分からないが「ハッ!」という鰍ッ声とともに取っ組み合いの喧嘩を始めたかと思うとすぐに仲直りする暁明のガンジ人コンビがたまらない。

ヨコガワ病やガンジ人はあくまでも架空の病気や民族であり、特定の事件をモデルにしているわけではないが、それでもこうした状況下で不幸な目に遭うのは常に弱者であり、国家は何ら責任を取ろうとしないという構図はこの日本という社会を如実に描き出している。土田さんは決して社会派の作家ではないが、山岸が「怒」と書かれた旗を振るために外に出て行くという最後の行動には強く訴えかけてくるものがあった。


柿喰う客『完熟リチャード三世』

2015-02-28 22:09:00 | 演劇道
柿喰う客 女体シェイクスピア007
『完熟リチャード三世』




【岐阜公演】
2015年2月28日(土)
大垣市スイトピアセンター 文化ホール
一般:2,500円  高校生以下:1,000円

原作:W.シェイクスピア  脚色・演出:中屋敷法仁
舞台美術:原田愛  照明:松本大介  音楽:JAMAPUR
音響:山本能久、加藤温  衣裳:高木阿友子  ヘアメイク:大宝みゆき
演出助手:入倉麻美  舞台監督:川除学、鳥養友美  宣伝美術:山下浩介
出演:
安藤聖(王エドワードの末弟・リチャード)
内田亜希子(リチャードの次兄・クラレンス公/先代王妃・アンの義母・マーガレット)
岡田あがさ(王妃エリザベスの兄・リヴァーズ卿/暗殺者/リチャードの腹心・ケイツビー/先王・ヘンリー六世)
七味まゆ味(リチャードの腹心・バッキンガム公/リチャードの母・公爵夫人)
葉丸あすか(侍従長・ヘイスティングズ卿/暗殺者/クラレンス公の息子/ティレル)
深谷由梨香(王エドワードの妃・エリザベス/王エドワードの長男・王子エドワード/ロンドン市長
八坂沙織(リチャードの長兄・王エドワード四世/先王の義娘・アン/王エドワードの次男・ヨーク公/先王一族の生き残り・リッチモンド伯)

イングランドの王権を争う激しい内乱は、ヨーク家が勝利をおさめ新王エドワード四世が即位したことで、国内に再び平和が訪れた。だが、醜い容姿に生まれ蔑まれてきた、王の末弟リチャードは、平穏な時代に生きる事を快しとせず、王位の簒奪を夢想する。「呪ってやる…この世の楽しみ、何もかも…!」その機は熟した、完全に。【公演フライヤーより】

女優のみで演じられる女体シェイクスピアシリーズ第7弾。

私がこのシリーズを観るのは001『悩殺ハムレット』、003『発情ジュリアス・シーザー』に続いて3回目。本当は全部観たいところなんだけどねぇ。

今回は007ということもあってか出演者は7名。
リチャード役の安藤聖さん以外は何役をも鰍ッ持ち。違う人物に変わる際、リチャードが丁寧に「新キャラです」と紹介。当然のことながらコスチュームプレイではなく、全員が黒いドレス(フライヤー参照)。
普通にやれば3時間以上はかかる作品をリチャードに焦点を当て、1時間半以内に凝縮。その分、他のキャラクターの心情が伝わりにくくなってしまった点は否めないが、これだけスピーディかつスタイリッシュに上演するのは現代的なのかも(みんな忙しいからねー)。

終演後、2階のロビーという珍しい場所でアフタートーク。
最初は中屋敷さんが一人で、途中から柿喰う客の副代表でもある七味さんも参加。
お二人は3月21日・22日に上演される『おおがき英雄物語』のため、しばらく大垣に滞在なのだとか。


STRAYDOG『悲しき天使』

2015-02-01 23:33:00 | 演劇道
"STRAYDOG" Produce公演
『悲しき天使』




【大阪公演】
2015年1月29日(木)~2月1日(日)
近鉄アート館
一般前売:4,500円  当日:5,000円
高校生以下前売:2,500円  当日:3,000円

作:山之内幸夫  演出:森岡利行
プロデューサー:中村裕実  舞台監督:橋戸勇之進
美術:加藤ちか  照明:原宏昌(ライトスタッフ)、大塚雅史
出演:
中村優(一美)
布施紀行(茂)
酒井健太郎(酒巻/山形)
塩山義高(兼松)
重松隆志(中沢)
寺田有希(友美)
三輪晴香(恵利)
仁科咲姫(春子)
藤井奈々(小百合)
河合亜由子(ステラ)
松浦康太(平代)
城間盛吾(武)
坂本龍之介(平野)
堀川絵美(お富)
櫛野愛里(久子)
中島舞香(ナツオ)
赤池あゆり(カオリ)
森川彩夏(ユメコ)
糸原美波(ミチル)
谷口愛佑美(アユミ)
松山旭博(恵利の父/看守)
宮武嵩将(天王寺)
上辻逸平(今宮)

大阪には今も遊廓が残っている。そぞろ人恋しい男たちに15分チョイの春を売る天使たちの過去は悲しい。彼女たちが求めるものは真実の愛であり、一人の男を独占したいという強い願いであった。ふとした弾みで無職の男・茂は新地太夫と呼ばれる美しい娼婦・一美と出会い、彼女と共に生きたいが為に女師としての人生を歩むこととなる。仕事は行き場のない彼女達の心の世話をし、共に暮らしてやること。それは一種のメンタルケアで、女の嫉妬に屈しない強い意志と愚痴を聞いてやる忍耐が要求された。その為、一人で数名の世話をするのは至難の業。やがて一美と新たに抱えた娼婦・恵利との愛の情念に迄Mされていく……。【公式サイトより】

映画監督としても活躍する森岡利行さん率いるSTRAYDOGのプロデュース公演。

のっけから辛口なことを書くけど、正直、学生劇団に毛が生えたようなものだった。
プロとの最大の違いはやはりテンメB笑いを取りに行こうとしてスベっていることも多く(客席からは笑いは起きていたのであくまで私にとっては)、アドリブっぽいところでは更にグズグズ。
ダンスシーンも今更ながら「ヘビーローテーション」をやられましてもなぁ。
終演後、パンフレットを買おうと思ったら売り切れ。チラシもないし、配役表すら配られない。この辺りもちょっと意識が低いのではなかろうか。

ま、個人的には寺田有希さん目当てだったので、他はどうでもいいッス(笑)。