緊急事態宣言が未だ継続中のノラにゃんこ。
右足にケガをしながらもやって来て
神妙な顔つきでネコ食堂の開店を待っていた。
ノラくん、大丈夫？
「あ、オバサン。ボク、またやられてしまいました…」
「面目ない…あ、イタタタタ…」
可哀そうに…右足がずいぶん痛そうだね。
「ハイ、とても痛くて…力が入らないんです。」
でも、その足でよくここまで来たね！
「だって、ご飯を食べて強くならないと…」
そうだね。体力つけないとね！
「だからボク、痛くても頑張って来たんです！」
じゃあ、しっかり食べてね。ハイ、どうぞ！
「いただきま～す！」
「まずは牛乳から…あ～、美味しい…」
それにしても…ノラくん、体中が汚れちゃってるね。
「そうなんです。ボク、いっぱ～い戦ったんです。」
そうなんだぁ～、頑張ったんだね。
「でも、負けちゃった…。ボク、悔しいです！」
そっかぁ～、悔しいね。
「ボク、もっと強くなりたいです！」
そうだね、強くならないとね。
「もっと栄養つけて、傷も早く治したいです！」
そうそう、免疫力は大事だからね。
「だから、あのぅ…牛乳のお替わり、もらえませんか？」(笑)
なぁ～んだ、カリカリを食べないと思ったら…
牛乳がもっと欲しかったんだね！(笑)
牛乳のお替わりをした後
カリカリもキレイに平らげたノラにゃんこは
いつものように寛ぐこともなく
「ごちそうさま。ボク、もう帰ります。」と
右足をかばいながらゆっくりと歩いて帰って行った。
その痛々しい後ろ姿を見送りながら
ホントに大丈夫なのか、心配でたまらない私たち。
「でも、何もしてやることはできんしなぁ～」
「ノラが自力でこの危機を乗り越えるしかないよね…」と
ため息交じりの重苦しい雰囲気の会話が続く中
唯一の救いは、食欲があること。
ノラが言うように、栄養つけて免疫力UPするしか
あの傷を癒し、緊急事態を生き抜く方法は
今のところ無いのかも知れない。
新型コロナの特効薬やワクチンがまだ無い中
自己防衛で闘うしかない私たち人類と同じように…。
そんなことを話しながら庭仕事に精を出していて
しばらくして、ふと見ると
お向かいさんの草むらにノラの姿があった。
どうやら帰らずに近くに居たようだ。
不自由な足で歩くのは無理なのかも知れない。
そこなら、お腹が空いたらすぐにネコ食堂に来れるし
ゆっくり休んで、傷も養生できるし
ノラくん、なかなか良い考えだね。やるじゃん！(笑)
この日は、サクランボの収穫に追われながら
時々ノラにゃんこの様子を見ていた。
昼頃に見かけたのは…何と
私の寝室のミニログのデッキに置いた
ソファーの上で丸くなって寝ている姿だった。
ここに居るのを見たのは初めてだったので驚いたが
なるほど…ここも近くて良いかもね。
私たちも、ノラが近くに居ると安心だしね。
でも、ずーっと寝たままで
昼が過ぎても一向に動く気配がない。
いつもならご飯を食べに来るのに…大丈夫かな…と
ちょっと心配になってきた。
そこで、ここに昼食をデリバリーすることにした。
今日だけ特別のサービスだ！(笑)
すると、やっとこさ起きてきて
いつもと違うことに戸惑いを見せながらも…
ノラの大好きなオジサンに見守られて
ようやくご飯を食べ始めた。
「オジサン、ご飯を持って来てくれたんですね！」
「ボク、嬉しいです！ありがとうございます。」
そう思ったかどうか、不明だが…(笑)
デリバリーの甲斐あって完食してくれたので
やれやれ…とホッと胸をなでおろした。
その後もしばらくここに居たが
いつの間にかまたどこかに行ってしまった。
次に見たのは、またお向かいの草むら…。
枯草のソファーに座ってこっちを見ていた。
この日は一日中、我が家の近くに居て
ひたすら傷の養生に努めているようだった。
ノラくん、大丈夫？
「はい、ボク…こうやって体を休めて、頑張るので…」
…で？
「栄養補給の方、よろしくお願いします！」(笑)
はい、わかったよ！
デリバリーでもテイクアウトでも
何でもしてあげるので、そっちは任せて！(笑)
だって、私たちが傷だらけのノ～ラにしてあげられることって
それぐらいしかないもんね！
