今、国賓として来日されているブータン国王夫妻の話。
先日、福島県相馬市の小学校でワンチュク国王が
ブータンの国旗の象徴である龍の話をされた。
子どもたちに向かって、国王はこう質問された。
「みなさんは龍を見たことがありますか?」…と。
王様の問いに子どもたちが戸惑っていると
「私は、龍を見たことがあります」
その一言で子どもたちの中からどよめきが上がった。
続けて国王は次のように子どもたちに語られた。
「龍は一人ひとりの心のなかにいます。
私たちは『人格』という名の龍を持っています。
龍は私たちみんなの心の中に居て、「経験」を食べて成長します。
だから、私たちは日増しに強くなるのです。
そして、感情をコントロールして生きていく事が大切です。
どうか自分の龍を大きく素晴らしく育てていって欲しい。」
この国王と子どもたちのやり取りをテレビで見ていて
何と素晴らしい話をされることか…と、私は感動した。
さすが、国民の幸福度世界一の国の王様だけある。
経済の豊かさではなく心の豊かさを幸せの指標に据え
独自の国づくりを目指しているブータンという国のあり方は
今、先進諸国を覆っている経済優先社会の閉塞感に
風穴を開ける一陣の爽やかな風のように感じられる。
古来から我が国にも「足るを知る」という言葉があった。
今回のブータン国王夫妻の来日は、私たち日本人が
忘れかけていた大切なことを思い出させてくれたように思う。