モロッコの旅８日目の続きを…。
ホテルでしばらく休憩したあと再び
夕方５時頃に訪れたジャマ・エル・フナ広場には
すでに大勢の人たちが繰り出していた。
広場のあちこちで大道芸やゲームを楽しむ人々や
いろんな物売りやテントの食べ物屋台が立ち並び
まるでお祭りを思わせるような賑わいだ。
その中でひときわ人目を引いているのが
笛や太鼓を鳴らしヘビを自在に操るヘビ使いだ。
路上に這っているたくさんのヘビを
怖いもの見たさで遠巻きに見守る見物人たち。
そのまた遠くから
ドキドキしながら見ている私。
テレビの旅番組で見たことのあるヘビ使いと
同じような光景がそこにあった。
一方テントの屋台に目を向けると
モウモウと煙を上げて肉を焼く店の前で食事をしたり
立ち止まったりしている様々な人種の人たちや
焼き上がった大きな塊の肉を並べて
お客さんが来るのを待っている店の人や
テーブル席で美味しそうに食べている家族連れなど
まさに夕飯時ならではの活気に満ちていた。
広場で大勢の人だかりを覗いてみると
コーラなどの清涼飲料水のペットボトルが
丸いシートの上に並べてあり
それを長い棒の先につけた釣り具のようなもので
釣り上げたらもらえるゲームのようだった。
単純だが意外と難しいらしく
大の大人が大盛り上がりで楽しんでいた。(笑）
立ち並ぶ屋台には色とりどりの果物や
ナツメヤシやイチヂクなどのドライフルーツ
フレッシュジュースなども売られていたが
生のジュースは日本人はやめた方が良いそうだ。
とても美味しそうに見えたのだが…。(笑）
日本の食文化にはない食材と料理の数々
日本人にはない食に対するエネルギーと旺盛な食欲
そして広場で繰り広げられる様々な大道芸やゲーム
どれをとっても大きな異文化体験だった。
何よりも人々の様子が活気に満ち溢れていた。
これはここに来て実際に臭いを嗅ぎ
肌で感じなければ実感できないことかも知れない。
食べることと楽しむこと。
この２つがあれば人間は幸せなのだ。
人々がそう言っているような気がする。
このジャマ・エル・フナ広場では
見るもの聞くもの全てがいかがわしい。（笑）
でもそれが不思議と魅力的に感じる。
とうの昔に日本人がなくしてしまった何かを
この国の人々は今も忘れずに持っている。
その何かとは何なのか…。
おそらくこのモロッコの旅の間中
ずーっと感じてきた何かだということはわかる。
でもまだ確かな言葉で表現できない。
やがて夕闇が迫り、空に月が見えてきた。
そろそろホテルに帰る時間だ。
暮れなずむ空にクトゥビアの塔のシルエットが
美しく浮かび上がって見える。
人々はまだこれから広場へと向かうようだ。
お祭りは夜更けまでさらに続く。
広場の喧騒から逃れるように帰ってきたら
ホテルの正面玄関がイルミネーションに彩られていた。
いよいよ旅の最後の夜を迎える。
人混みで疲れた心と体に広すぎる部屋が
何だか妙に寒々しく感じられる。
そして日本の我が家が懐かしく思い出され
ふと恋しくなる。
あ～、モロッコの旅もついに終わった。
明日は朝早くホテルを出発し
カサブランカ空港へと向かい帰路に着く。
早く荷物をまとめて寝なくては…。
いろいろな思いをきちんと整理する間もなく
私は最後の夜の眠りについた。
そして９日目の朝を迎え、ホテルをあとに
マラケシュからカサブランカ空港へと向かった。
マラケシュの街角で早朝から何やらたむろする男たち。
いったい何をしているのだろう。
朝ごはんを食べているのか、ゲームをしているのか
はたまた何ごとか相談しているのだろうか…。
こんな光景も見納めかと思うと
思わず名残惜しくなりカメラを向ける私。
やっぱり好きかも知れない…この国を。
どこが好きなのか、ハッキリとは言えないけど…。
こうしたモヤモヤした気持ちを抱えながら
カサブランカ空港からドバイ経由で関西空港へと
長い空の旅を経て無事に日本へ帰りついた。
そして一年以上たった今ようやく
「何でモロッコ？」 の答えを探しているのだ。
こうして旅を長々と振り返ることで
確かに見えてきたものはある。
そこから導き出した私なりの答えを
次回まとめてみたいと思う。
もうしばらくのお付き合いを…。
