~5/31~
4時起き
昨晩、就寝前に足に吹きつけまくったエアーサロンパスのさわやかな香りに包まれ目覚める
が、ねむい。。。
非常にねむい。。。
よいしょっと。。。
アダダダダダダダダー!!!。。。。
イダイ!あ、あしがー、イダイー!
トリプルルームの女子部屋は昨日より20歳年老いたバアさまたちが唸り声をあげながらシャレにならないスローモーションで身支度をする
隣のツインルームの男子部屋も上記コピペだ
就寝前のストレッチを怠ってベッドになだれ込むとこういう結末になるんだな
バスルームの20センチの段差はもはや腰の高さくらいに感じる
ひと呼吸して、両手で腿を持ちあげて、よいしょと20センチを登る
手のあることのありがたいこと
手がなかったら、一体誰がこの重い足を持ち上げることができようか
お年寄りやお身体の不自由な方たちをいたわらなければいけないと、身を以て理解する瞬間だ
ホテルは全室バリアフリーにするべきだ
昨日とおんなじ段取りでホテルのお弁当をピックアップ
今日はDr.こいちゃんの運転で荒川登山口へ向かう
今日は10時間の縄文杉コース
ただし、それは私以外の4名。。。
私はモッチョム岳ロンリー登山8時間
みんな(!?)おとななので、好きなことをする
荒川登山口では観光バスが列をなす
女子トイレ渋滞がひどく、後で聞いたら30分待ちだったそうだ
し尿の問題は大きいので、やはり並んででも済ませてから登らなければいけない
私は運転席に乗り換え、トイレに並ぶみんなを見送り、モッチョム岳に向かった
モッチョム岳
(尾之間地区から臨む)
観光名所の千尋の滝のすぐわきの登山口に6時半に到着すると
車は一台しかなかった
生花が飾られている清潔なトイレには誰もいない
縄文杉コースの荒川登山口とは大違いだ
身なりやギアから、登山慣れしていることがうかがえる、壮年の夫婦が車の中から出てきた
ご夫人が笑顔で話しかけてくる
ご夫人:「おはようございます。モッチョムですか?」
のん:「おはようございます。はいモッチョムです。モッチョムですか?」
ご夫人:「はい、そうなんですけど、登れるか不安なんですよね」
のん:「そうですよね。私も無理そうならすぐ引き返そうと思っています」
と、定例句で挨拶を交わす
『良かった。。。一人だけじゃなかった』
私は時折、ムショーに一人きりになりたくなる
でも本当に一人になると寂しい
モッチョム岳は屋久島で一番難しい登山コースと言われている
モッチョムを登ることができれば、屋久島の山はたいていどこでも登れるというのが通説だ
標高や距離だけで判断しているのか、観光客でも行けるヤクスギランドコースなどと同等の難易度で紹介しているすっとぼけたガイドブックもあるけどとんでもない!(それが老舗の山と渓谷社の出版だったりするからホントにがっかり。。。)
距離や登山時間は難易度には必ずしも比例しない
(屋久島リアルウェイブより拝借)
モッチョムを私に薦めたエムコはこの登山コースを「四つ足コース」と呼ぶ
足だけでなく、両手を使わなければいけないコースということだ
宮之浦岳や縄文杉コースなどで便利なストックは邪魔になり、あると逆に危険だという
そして四つん這いで登るのはアタックのときだけでなく、登山開始後すぐで、それが長時間続くという
(屋久島リアルウェイブより拝借)
最初はエムコの説明を聞く限り、全然魅力が感じられなかった
なのに彼女はここが一番おススメだと繰り返しいうのだ
「とにかく行ってみて、行かないとわからないから。説明できない」という
ま、いままで彼女のサジェスチョンで外れていたモノやコトというのはほとんどないから、きっといいんだろうなと思った
そして、山や海は口で説明できない魅力があるのもよく分かる
だから、彼女の感性を信頼してとりあえずチャレンジしてみることにした
私はモッチョムにチャレンジする前に次のことを心に決めていた
●雨が降ったら中止する
●最初の30分で厳しいと判断したらすぐに引き返す
●水が1/3になった時点で引き返す
●捻挫をしたらすぐに引き返す
●登頂にこだわらず、プロセスを楽しめているかをモニタしながら登るNGなら引き返す
●キーワードは「勇気ある退陣」
天候は、過去2日間に引き続き、ドピーカン
よって決行
壮年夫婦に5分ほど遅れて登山を開始した
登山口に立て札があった
「この登山道は整備されていません。無理をすると危険です。自分の体力と技術を考慮し、自己責任で無理のない登山をしてください。」
これは注意か?脅しか?
屋久島リアルウェイブという私がときどきチェックしている屋久島専門サイトにも書いてあった
「このルートは人がほとんど通らない為、倒木や草木で道が荒れています。
また、途中、河を渡らなくてはならない箇所があって増水時は大変危険です。
渡渉箇所では過去に遭難事故もおきています。
このルートへの単独入山、登山経験の浅い方の入山は非常に危険ですので、
ルートのご変更をお願い致します。」
文字を追いながら、「はい、くれぐれも無理はいたしません。ビビったら即戻ります。いまもちょびっとビビってます」心で唱えた
登山開始
あぁ~、緊張~。。。
まずは深呼吸。。。森のフィットンチッドをたくさん吸ってでリラックスしよう。。。
吸って~。。。吐いて~。。。
う~ん、サロンパスと虫よけスプレーの香り
意識的に森の香を嗅ごうとしてみた。。。
が、やっぱりサロンパスと虫よけスプレーしか香らない
聞いてきたとおり、いきなり胸突八丁の急峻な登り
しかも登山道というよりは獣道で20センチ幅の崖っぷちを歩いたりもする
「下は見ない。下は見ない。前を見る。上を見る。」
まじないのように唱えた
顔にシダやササなどの植物が覆いかぶさってくる
ドピーカンの朝なのにあたりは薄暗く不気味
これはまだ開けている場所
既に壮年夫婦の声も足音も聞こえず孤独感が増す
話しかけてくる相手もいない
聞こえてくるのは遠くに千尋の滝の音
あとは自分の呼吸だけ。。。
いや、もいっちょ、実際は虫たちが顔のまわりをブンブン飛んでずっとついてきて応援してくれる
ハエとか蚊とかよくわからないムシとか。。。
なぜか、顔のまわりのみでブンブンがんばってくれる。。。
立ち止まるとその応援団はどんどん増えていく
エムコのうそつき。。。
エアサロンパスは虫よけ代わりになると言っていたじゃないか
だから必要以上にがんがんスプレーしたきたのに
昆虫応援団が増殖するまえに、両手両足をどんどん動かした
不思議なのは、ホテルにいるときは痛くて動かない足が
一旦森に入ると痛みが消えて、どんどん前進できてしまうのだ
森には麻薬成分が漲っている気がする。。。
ま、マインドシェアが全て「次にどこに手足を置くか」に奪われ、痛さを実感している余裕がないっちゃないんだろうだけど。。。
ま、エアサロンパスが効いているっちゃ効いているんだろうけど。。。
岩壁を根を足がかりに登りつづける
2Dの平面的な写真では伝わりにくいんだけど
実際は50-60度くらいでも90度くらいに感じる
でもって、90度ならまだしも
110度みたいなところもあったりして。。。
心もとないロープが垂れ下がってはいるけど。。。
あんまり役立たない。。。
ってか、ロープを頼りにし過ぎると逆に危ない
「●捻挫したら戻る」のオリジナル信条も、もはや役立たない。。。
実際は捻挫したら。。。戻れない。。。
ってか、写真撮ってる場合じゃない。。。
エムコが最初の数十分は
「口から心臓がとび出るよ」
と言っていた
そんなことはなかった。。。
口から朝食がとび出そうなだけだった
ホントに。。。
昨日の宮之浦岳往復12時間では、汗を拭うのに、トトロのハンドタオルで足りたのに
モッチョムは、最初の30分でフェイスタオルがびしょぬれになってしまった
それ以降は顔を拭いているのか潤しているのかわからない状態になる
宮之浦岳は膝の高さくらいの登りが最高だったけれど、モッチョムは腰の高さをよじ登らなければいけないところが普通にある
大きな倒木が立ちはだかっているところも多く、上は胸の下は腿くらいの高さなので、はたしてくぐるのか、よじ登るのか考えなければいけないところも多かった
一度はくぐったらバックパックがスタックして身動きが取れなくなってしまった
40分くらい登り続けたところで沢が現れた
「あぁ、これならいける」
そう思った
体力的にはなんとかなると思ったけど水が心配だった
でも、この沢で補給すれば十分いける
私は1リットルの水を持っていたけど、往路の1/4も来ていないのに、すでに300MLは飲んでいた
本当は500ML全部飲み干したかったけど、我慢していた
ごくごく500MLを存分に飲み干して、沢から水を汲んだ
ここで壮年夫婦と合流
ご主人:「いやぁ、これはきびしいですね」
ベテランの二人も流石に驚いていた
この二人はストックを持っていたけど、やはり、邪魔で失敗だったと言っていた
通常のトレッキングでは大活躍なんだけどね
ここはトレッキングではなく、クライミング
手を邪魔するものを持ってはいけない
顔を洗って、タオルを濯いで5分ほど休憩し、再出発
休憩をすると、身体が降り出しに戻り、一気に重くなる
これまで軽快に回っていた歯車が止まり、またその大きな歯車をよいしょと回しはじめる感覚だ
登山開始の数十分がきついと聞いていたので、それ以降は楽になるのかと思っていたら、さらに「ありえない」ルートへとなっていった
ただ、人間というのは学習するので、目や体が慣れてくる
最初の40分のドリルをこなすと、次のステップへ移行できるようになる
手がかり足がかりとなる木の根っこや石の選び方も、最初はまごまご考えながらゆっくり進むけど、時間がたつにつれ、パッパと瞬時に次の手がかり足がかりを見つけられるようになる
さっきまで敵対していた自然が協力的に見えてくる
ただ、調子に乗ってスピードを上げたり少しでもよそ見をしようものなら、自然はすぐ敵になる
ほんの数ミリ足の位置が高かったり低かったりすれば、足元すくわれバランスを崩し転んでしまう
平坦な道なら問題ないけど。。。
モッチョムは。。。転倒先が。。。
何十メートルの崖の下だったりする。。。
つづく。。。
素晴らしい根性尊敬でございますうう。
それほどあなたを引き寄せるものって何?
モッチョム岳は日本一の陰陽山だとか。
太陽と月・夜と昼、そのバランス。
まさに今の時代を見つめるお山かと。
上ったり下りたりくぐったり乗り越えたりして山を登りおりする夢をよく見るイラヨイですが、
現実にはちょっと・・・・無理やな。
あー今から西南文化研究者に転職しようかなあ。
そしたらオフィシャルに行けるよねえ。えらぶ。
この登山ルートには、実にいろいろな要素が含まれていて一言では説明できないんです。暗闇からパッといきなり光が差したり(徐々にでなくいきなり)、厳しかったり優しかったり、なんというか、サプライズがいっぱいなんですね。他の登山道とは比較にならない暗い、ありえなさすぎて可笑しくて笑えちゃいます。
南西文化研究者、いいねぇ。。。
その準備としてえらぶにいきましょう♪
ヒル除けと退治に使うのです。
一番の目的は、足がスーとして楽になるし、鼻がスーとして気合が入ることだと思っています。
人のいない屋久島の登山道は、シャンプーなどの化粧品のにおいに虫が反応するんですよ。
虫除けも蚊に対するものは意味がないです。(山には蚊はいない)ムカデ、ぶよ、あぶ用がいいでしょう(どこでゲットするんだろうか?)
日焼け止めなどの香りは蜂が追いかけてきます。要注意です。かつて竜神の森で蜂に追いかけられて、存在を消せ!とガイドに言われたものの、どうしてよいかわからず、冷汗かきながら息を止めていたら、気絶しそうになった。
それ以来、私は山に入るときは、においが残らない石鹸のみで全身を洗います。あとお勧めの山は七五岳です。ただ、完全防備でもヒルに吸血される確立大です。山ビルファイターを購入してください。ロンリー登山は禁止です。神隠しにあいますから。
モッチョム最高!
エアサロンパスは万能虫よけではないんだね
で、私は蚊よけスプレーがんがんかけてたわ
ヤブ蚊みたいの(ぶよ?)がぶんぶんきてた
ホテルのシャンプーはアロマがんがん仕様でした
ド素人丸だしだね
でもモッチョムサイコーには変わりもんねー
七五岳?…ヒル?…う~ん…
ちと考えてみます
てか、次回は一緒にいきましょう