告知 １

　私の産後の回復は順調で、おっぱいの準備もはじまった。

　ジンジン張って、痛いくらいだ。　　でも、結はまだ直接飲む力がない・・・

　授乳の時間・・・授乳室で我が子におっぱいをあげる幸せそうなママ達に

　混ざって、溢れ出るおっぱいを搾乳機で絞って哺乳瓶に入れ、ＮＩＣＵに居る

　結に運ぶ私・・・。つらかった・・・早く退院したい・・・

　　出産したら、みんなから祝福され、自分も幸せな気持ちに包まれると思って

　いたから・・・上の子のときはそうだった・・・

　自分が幸せなときは気付かないものよね～。反対側の気持ちの人がいることに・・

　きっと私と同じような辛い気持ちで産後の入院生活を送ってる人も

　　　たくさん居るんだろうな～

　
　　私は予定どおり、5日で退院した。それからは毎日、自宅で搾乳して冷凍パックに

　いれ、結のところへ届ける日々・・・。

　　それにしても・・・ＮＩＣＵに自分が出入りするなんて考えもしなかった・・。

　ＴＶの中の世界・・・だった。改めて周りを見渡すと、たくさんの赤ちゃんがいる。

　小さな小さな未熟児・・、障害を抱えてる子・・。みんな懸命に生きようとしてる・・

　そんな中、結は、日に日にミルクの量も増え、体重も増えている。ＮＩＣＵに

　いる赤ちゃんの中では、元気な赤ちゃんにみえる・・・

　一日24時間もあるのに、結と一緒に居られるのは、ほんの数時間・・・。

　とにかく抱っこして、頭をなでて、たくさん話しかけた・・・。それから、

　色んな角度から結の顔をマジマジと見てみる・・・

　「ん～。やっぱりそうかな～？？でも違う気もする・・・」

　思い切って旦那にきいてみた・・・

　「え～ぜんぜん・・・琴の赤ちゃんの時より結の方がきれいな顔してんで～」

　「そうよね～きっとわたしの考えすぎ・・・」だんだんそんな気がしていた・・

　　　生まれて一週間が過ぎたころ・・・担当医が、

　「心臓や、色んな検査の結果がある程度でたので、ご両親そろってお話しする
　　　　　時間をつくってください・・・」

　　　そう・・・・告知だ・・・・・・

　今でもこの日のことは鮮明に覚えている・・・

　　まず、心臓について詳しく説明を受けた。大きな穴も見つかったが、いますぐ

　手術するほどのことはなく、とりあえず経過観察・・・。　そして・・・

　次に染色体の表をみせられ、染色体について丁寧な説明がはじまった・・・

　あぁ・・・・・・やっぱり・・・きっと・・・少しずつ覚悟ができてきた・・

　先生はオブラートに包むように、話を進めていったが、やはり最後に、

　「結ちゃんは、21番目の染色体が3本ある、２１トリソミー・・・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ダウン症です・・・・・」

　涙が溢れ出て・・・とまらなくなった・・・

　「そっか・・だからやっぱり、心臓も悪いのね・・・」

　ダウン症の子の４０％近くが心臓病を合併症にかかえて生まれてくると聞いたことが

　あった・・・。　でも、私の知識はこの程度・・・。

　　そう、結の場合は・・・この数日後、また残酷な告知を受けることになる・・・