殉難者ならび戦亡者の御霊に、
心より安らかに眠られますようお祈り致します。
乃一
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にわか雨は止み、
まだ陽も高く空に昇る。
この日...2017年8月9日...長崎原爆忌。
爆心地エリアへ赴くことに
その道すがら、
旋律の刻まれた
コンクリート塀を見たの。
戦後すぐに流行った歌謡曲の楽譜。
時代は
高度経済成長期に入る少し前、
終戦して間もない数年後に流れた歌...
当時世の人々はさぞ慰められたにちがいなく。
長崎だけではなく、
全ての戦災者にエールを込めて
作詞作曲されたという往年の名曲。
その塀も
去る2020年に撤去され、
復元の予定はないのだとか。
この場所から名曲が刻まれた塀が消えても、
作者が詞に込めた思いは次世代へも
どうか聴き継がれ...
億千万の心へ響けますことを。
ちなみに私としましては、
由紀さおりさんverのソフトな
歌声がしっくり胸に沁みたのでした。
ゆるい下り坂を
ずっと歩いていくと、
旧浦上天主堂の遺壁その背が見えてくる。
物言わず物語る・・・
屈強な証言者。
訪れている層の多くは学生や家族たち、
語り継がれるバトンは順々と
渡ってゆくことでしょう。
旧浦上天守堂・遺壁
正面から見据えると、
未曾有の戦禍を耐えぬいた旧聖堂に
骨太な意志が宿るのを感じとれた気がした。
天辺にはフランシスコザビエルとその使徒の像。
(※正面と背面)
数少ない遺構がありつづけることに、
必然と奇跡を思わせられる。
原爆落下中心地碑
かつてない阿鼻が
ここより広がった中心地も、
弔いの花束に囲まれた今だけは...
天界の園。
多くの
祈りによって
禊がれたように...浄らか。
" 放射能によって草も生えないだろう "
そうとまで
言わしめた爆心地に、
8月の豊かな緑あふれる。
時と自然が巡り
ふたたび生い茂って、
やがては癒されゆくことの...
はかりしれない力は天然現象なのね。
思うところの多い、
この一日を一生に刻んで
忘れない大事な2017年8月9日...
慰霊碑を前に祈りを捧げ爆心地を後にした。
その帰りがけ、
平和公園前をもう一度ばかり通ったら
到着時とは打って変わって静かなのでした。
いつもの風景に戻ったのね
出動していた
警察官や警備員の方々の姿はなく、
当然ホイッスルを吹く音ももうしない。
かっこよかったな. .・
それでもまだ
参列者は引きも切らず、
階段を上ってゆく人の...ちらりはら。
この経験が血肉にめぐるまで
まだ、
まだまだまだ、
年の輪を増し時を重ねること...
歳月を要していくのやもしれません。
それでは
お宿に入るとしましょう、
そろそろチェックインの時刻です. .・
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