道

がばっちょ
がばっちょ

俺の前に道は存在する

俺のあとに足あとが残る

俺の前の道はしっかりと重量感を持って存している

ただ、ときおり靄がかかって道を見失うことがある

おっちらおっちらと靄を取り除き

再度、道の掃除をしながらずっと広がる道を見渡す


生まれたときから存在していた道はまだまだ先のほうに伸びる

けめちゃんの足跡

さきさきさきさき読む奴
転ばないように・・・

あとあと引き下がる人
にらめっこばかりでおわらないように・・・

足がある
そして歩くという行動
ただただそう歴史書に記述される


手がある
ペンを持つ
被写体として美しいと日記に記述されるだけ


軍配はどちらかに上げようとする
先に進むため
不思議とけめちゃんの足跡だけは残っていない

生みの苦しみ

生みの苦しみ
あしびきさんが近藤さんを生み

近藤さんがみどりさんを生んだ

みどりさんは片時も休まず努力しきなこさんを生んだ

きなこさんはマタタビをまねしながら吉永君を生み

吉永君は細い体にもかかわらず伊藤さんを生んだ

伊藤さんは逢い引きをしたあげくクルミの人形を生み

クルミの人形ははずかしそうにマントを着た小林君を生んだ

小林君は「そげなことは・・」と遠慮しながらもマコチャンを生んだ

マコチャンはふしだらな・・・と言われ続けながらも絵美ちゃんを生んだ

絵美ちゃんは生むことをしらないまま結局こぶとり爺さんを産んだ


そして、すべてを生み尽くしたあとには何も生まないと叫んでいる輩がいて

そのまえから産みの苦しみだけが残っていた

かたつむりの歌

かたつむりが大きく欠伸をしていいました

きんさん、このところ勢いがないねえ

きんさんが答えました

どうも私を要求するものがすくなくなってね

かたつむりはいいました

私もいくぶん無視されつくしてきましたからね　幼い子供が『子供電話相談室』で話題にしてくれると、涙がでてきますよ

きんさんがいいました

私も見上げてくれる人は少なくなって  図鑑やテキストのなかだけで相手にしてくれますよ

その後、きんさんとかたつもりはお互いに手をさしのべて顔をみあわせていました

果てしなく・・・今頃気づいて

「今頃気づいたのか」と　さるすべりの花が尋ねました

ええ

でも、前に行くしかないのです

１０年前に　いや２０年前に

もっとその前に気づいていたら

もっと人生は変わっていたはず

でも　１０年前にも同じようなことがあって

そのまた前にも　「今頃気づいたの」とさるすべりに聞かれたこともあった

きっと１０年後にも「やっと気づいたの」と言われるのだろうな