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不貞相手が慰謝料を払い済みであることを知らないまま慰謝料を払ってしまった場合

2018-10-02 14:45:31 | 離婚とお金

 Aさん、Bさんが不貞をし、Aさんが妻であるCさんに慰謝料300万円を払ったとします。

 300万円という慰謝料は通常は不貞慰謝料の最大限であり、300万円を払った時点で慰謝料はなくなるのが通常だと思われます。

 しかし、後日、300万円の支払いを知らないBさんがCさんに200万円の慰謝料を払った場合、どのように処理すべきでしょうか。

 まず、Cさんについては、Aさんから慰謝料をもらっていないとウソをついたなどの事情がない限り、一旦約束してもらった慰謝料を返還する義務はありません。いくらで慰謝料額を取り決めるかは当事者の自由だからです。

 そこで問題はAさんとBさんの間の利害調整となります。

 不貞をした2人は共同不法行為者として不真正連帯債務の関係にあるとされます。そして、連帯債務の場合、民法443条2項が適用され、AさんがBさんに300万円を支払ったことを伝えなかった場合、Bさんは200万円の支払いを有効にしたものと主張することができると考えられます。つまり、例えば200万円が相当な慰謝料だとすると、その半分の100万円の求償をAさんに求めることができることになります。逆にAさんからの求償請求はできないと考えられます。しかし、連帯債務に関する判例に従うと、Bさんが事前にAさんに慰謝料200万円を払うことを通知しなかった場合、Bさんは200万円の支払いを有効と主張することができないことになります。

 ということで、AさんもBさんもお互いに自分の状況を話さなかった場合、双方求償権行使ができないということになりそうです。

 このような解釈は不貞による慰謝料についても民法443条2項が適用されるという前提のものですが、必ずしもそのような解釈は自明ではありません。しかし、慰謝料の支払いをする場合、相方も慰謝料を払っているかどうか気にした方がよいのは間違いないと思います。

 

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