さいとうゆたか法律事務所 離婚ブログ

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不貞慰謝料を払うとの債務弁済契約が強迫により取り消された一事例

2018-03-28 10:01:39 | 離婚とお金

 東京地方裁判所平成16年9月17日判決は、不貞慰謝料を払うとの債務弁済契約が強迫になされたとして、取り消しを認めました。

 これは、女性が夫と不貞をしたとして、妻が喫茶店で女性に書かせた債務弁済契約の効力が問題となったものです。

 裁判所は、妻が女性の個人情報を興信所によって調べ上げたと告げたこと、興信所の調査費用を払う約束をするまでは喫茶店から帰さない、慰謝料を払わなければ不貞の事実をまわりに伝えると言ったとして、強迫により債務弁済契約が締結されたと認定しました。

 妻は、女性の方から1000万円を支払うとの申し出があった、それを踏まえ減額をして900万円に決まったなどと任意に合意がなされたことを主張しました。しかし、裁判所は、女性の収入などからして、いきなり1000万円の提案をするとは考えにくいとして、妻の供述の信用性を認めませんでした。

 当事者間で作成された不貞による慰謝料の支払いを認める示談書についてはトラブルが生じ勝ちです。請求を受ける側としては会話を録音するとか、そもそもとうじしゃ話し合いには応じず弁護士に依頼するなどの対応をした方が安全かと思います。

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別居後4年4ケ月後の不貞が認められた事例(不貞慰謝料)

2018-03-27 14:05:01 | 離婚とお金

 東京地裁平成28年10月27日判決は、別居後4年4ケ月後の不貞を認めています。

 妻は平成21年7月、夫に離婚を申し出ました。

 8月には妻は家を出て別居を開始しています。

 平成21年ころから妻は別の男性(被告)と同居しています。

 平成22年10月、当事者間で別居をすること、面会交流を認めること、夫が妻に婚姻費用を支払うことなどを定める調停が成立しています。夫は取り決めに従い婚姻費用の支払いをしてきました。

 平成25年4月、妻は離婚訴訟を起こしましたが、平成26年1月に取り下げています。

 平成25年12月24日、被告は破産決定を受け、免責決定を受けています。そのため訴訟では平成25年12月24日以降の不貞の有無が争点となっています。

 裁判所は平成25年12月以降も妻が被告と不貞をしていたとしています。

 以上の事実関係のもとで、裁判所は、平成25年12月時点では別居後4年4ケ月を経過しているものの、それ以前の不貞関係により夫婦関係が破綻させられたという事情があるものとして、平成25年12月時点での婚姻関係の破綻を否定し、損害賠償を認めました。

 不貞関係が長期間継続し、しかも破産・免責により別居後2~3年内の不貞について賠償が認められないという事例であるため、別居後4年4ケ月を経過しても夫婦関係が破綻していないという判断がなされたものであり、かなり特殊な事例であるということには留意すべきでしょう。

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既婚者であることの認識を否定した一事例(不貞慰謝料)

2018-03-23 15:20:46 | 離婚とお金

 既婚者と性的関係を持っても、既婚者であるということを知らず、そのことに過失もなければ不法行為とはならず、慰謝料は発生しません。よって既婚者であるとの認識の有無が重要な争点となることがあります。

 東京地裁平成20年1月16日判決は、既婚者とつきあった女性が既婚者との認識を持っていたかどうかの争点について、認識はなかったとしました。

 そのような判断になった理由としては、女性が男性の実家を訪れたことがあったことがあげられています。

 また、女性は、男性の妻らから、「私は家庭を持つAとの不倫行為を認め、ここに謝罪します」との文書に署名指印させられています。しかし、その文書の文面が妻らにより作成されたことを踏まえ、同書面によっても不貞関係の認識があったとはいえないとされました。

 不動文字による文書の信用性を認めなかった事例として参考になるものと思われます。

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養育費・婚姻費用算定と公的給付(離婚)

2018-03-16 17:33:42 | 離婚とお金

 養育費・婚姻費用算定にあたりどこまで公的給付が考慮されるか以下検討してみます。

 児童手当については一般的には算定されない扱いとなっています。

 翻って、東京高裁平成28年1月19日決定は失業手当、熊本家裁昭和53年2月23日決定は傷病手当を養育費・婚姻費用算定にあたり考慮すべきとしているようです。

 失業手当も傷病手当も収入補填の性質が明確です。対して児童手当は、子育てにかかる費用を補填することで子育て世帯の生計を助け子どもの健全発達を支えるというところに趣旨があります。これも収入補填の性質もあると考えられますが、失業手当や傷病手当ほどその性質が明確とは言えないと思われます。現状では、収入補填の性質を明確に持つ公的給付について養育費・婚姻費用算定にあたり考慮されると考えてよさそうです。

 

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長引いた里帰り出産と慰謝料(離婚)

2018-03-15 08:22:43 | 離婚とお金

 妻が里帰り出産し、そのまま別居が長期化し、離婚に至ることがあります。

 東京地裁平成28年3月18日判決は、そのような里帰り出産の長期化(7~8ケ月)の末離婚に至った事例における慰謝料について判断をしています。

 この事案で、妻は里帰り出産をしたものの、妻は初めての出産であり、自宅に戻れば1人で家事・育児をしなければならないことに不安を抱いていました。それに対し夫は、離婚などをたてに夫の両親との同居を迫るなどしました。

 裁判所は妻が家に戻らなかったことについてやむを得ない理由があり、悪意の遺棄にはあたらないとして、夫からの慰謝料請求を認めませんでした。

 女性が出産後に強い不安感を抱くことが一般的にありうるところからすれば妥当な判断かと思います。別居期間や夫による育児態勢などによって結論は違ってくる可能性はあるものの、基本的には里帰り出産が長引いたとの理由での慰謝料請求は難しそうです。

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