さいとうゆたか法律事務所 離婚ブログ

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婚姻費用決定後の認知と婚姻費用額の変更

2016-05-24 19:42:08 | 離婚とお金

 婚姻費用が一旦決められた場合、事情変更がなければ増減などを求めることができないのが原則です。

 例えば、婚姻費用決定後、相当期間経過後、婚姻費用支払義務者に子どもができ認知したような場合、婚姻費用が変更される可能性はあります。

 しかし、婚姻費用決定時、婚姻費用支払義務者において自分に認知していない子どもがいることを認識していたところ、婚姻費用決定後に認知をしたような場合、信義則に反する等の理由で婚姻費用額の変更が認められない可能性が高いと思われます。

 大阪家裁平成26年7月18日審判は、婚姻費用決定時、婚姻費用支払義務者において自分に認知していない子どもがいることを認識していたところ、婚姻費用決定後に認知をした場合に、婚姻費用の減額を認めています。

 婚姻費用は平成21年の審判で決められました。婚姻費用支払義務者はその段階で自分に認知をしていない子どもがいることを知っていました。

 その後、婚姻費用支払義務者は認知をし、平成25年に認知を事情変更とする婚姻費用減額審判を申し立てましたが、信義則に反するなどの理由で却下されました。

 さらにその後、婚姻費用支払義務者は、家庭裁判所に婚姻費用減額請求を行い、そこでは会社を退職したことや認知などの事情変更を主張しました。

 裁判所は、認知された子どもの出生から6年、認知から1年半、審判での婚姻費用決定から5年が経過していることを指摘した上、認知された子どもを無視して婚姻費用を決める場合には婚姻費用支払義務者の信義則違反の責任を認知された子どもに負わせる結果になりかねない等として、認知も事情変更として婚姻費用を定めるべきとしました。

 認知された子どもの生活のことを考えると、現実的な判断との評価も可能でしょう。

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成人した子どもの扶養が婚姻費用に与える影響

2016-05-23 19:35:38 | 離婚とお金

 婚姻費用を支払う者が、配偶者及びその間の子ども以外の者に扶養義務を負っている場合、それが婚姻費用の算定に当たり考慮されることがあり得ます。

 この点、大阪家庭裁判所平成26年7月18日審判は、夫婦及びその間の子ども以外に、夫婦の一方に第三者との間の子ども(25歳、無職無収入)がいる場合について、その夫婦の一方が25歳の子どもに対して負う扶養義務は、夫婦間の婚姻費用額には影響を与えないとしました。裁判所は、成人に達した子どもについては、基本的には自助の原則が働くため、夫婦の一方が事実上扶養している事情があっても、婚姻費用額算定に当たってただちに考慮されるわけではないとしたのです。

 夫婦間の扶養義務は、成人した子どもに対する扶養義務に優先しますので、妥当な判断ではないかと思われます。

 親に対して仕送り等している場合も同様であり、それが婚姻費用額算定に影響することは原則としてないとかんがえられます。


 

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子どもが面会交流を拒否した場合と間接強制

2016-05-22 06:53:47 | 離婚と子ども

 面会交流について調停などで具体的に取り決めた場合、面会をさせないと間接強制(不履行について金銭支払いを命じて強制するもの)がなされる可能性があります。

 この点、大阪高裁平成24年3月29日決定は、10歳の子どもが父親との面会を強固に拒んでいるとして、間接強制の申立を却下しました。

 裁判所は、10歳の子どもが強固に面会を拒否している場合、母親としてはいかんともしがたいとして、間接強制を認めなかったのです。

 留意すべきこととしては、単に子どもが面会を拒否しているだけでは足りず、強固に面会を拒否していることが必要だということです。子どもが面会を拒否しても、監護親としては面会に向けて説得などをすべきことになるでしょう。

 また、10歳という年齢です。最高裁平成25年3月28日判決は、7歳の子どもが面会交流を拒否している場合でも間接強制の妨げとはならないとしています。子どもの意思が尊重される10歳だからこそ、子どもの意思を尊重した決定がなされたといえます。すべての年齢層に妥当する判断ではありません。


 

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親権者が死んだらどうなる?

2016-05-17 16:33:21 | 離婚と子ども

 離婚の場合、父母どちらかを親権者として決めることになります。

 その親権者が死亡した場合、遺言書で未成年後見人を指定していた場合には、指定された者が未成年後見人となります(民法839条)。指定がない場合、家庭裁判所が利害関係人の請求により未成年後見人を定めることになります(民法840条)。

 この点、親権者として指定されなかった親のおいて自分が親権者となりたいと思うことは多いと思われますが、その点について明文の規定はありません。

 しかし、一般的には、親権者が死んだ場合、親権者として指定されなかった方の親は、民法819条6項の親権者変更の規定に基づき、自らを親権者として指定するよう求めることができると考えられています。この親権者変更は、親であればただちに認められるものではありません。家庭裁判所が親権者としての適性等をチェックし、その上で親権者として変更すべきかどうか決めることになります。

 例えば、大阪高裁平成26年4月28日決定は、親権者ではなかった方の親において養育費をきちんと支払ってきたこと、部分的に子どもの面倒を見てきたことなどを踏まえ、親権者の変更を認めているところです。

 

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面会交流+電話交流を認めた裁判例

2016-05-13 10:21:42 | 離婚と子ども

 夫婦が別居した場合、離婚した場合、子どもらと一緒に暮らしていない親が求めた場合、実際に面会して子どもと交流をする面会交流が認められるのが一般です。しかし、それが子どもの福祉にとってよくない場合、電話による交流が認められる場合もあります。水戸家裁龍ヶ崎支部平成25年9月30日審判は、子どもとの面会交流に加え、電話交流も認める決定をしています。

 この事案では、子どもらが監護親との密着が強く、分離不安を示すとされています。そのため、裁判所は、面会交流について、月1回、3時間と短めの面会を認めた上で、月3回、各10分の面会を認めました。

 審判の中では、当面の間は上記した程度の面会にとどめ、子どもが面会交流に積極性を示すようになってからより長時間の面会に移行することを期待すべき旨も記載しています。

 面会交流はあくまで子どもの年齢や状態に応じて、具体的に適切な方法で行われるべきであり、硬直的に行われる必要はありません。そのような意味で、とりあえずの方策として、短時間の面会のみを認め、それを補うために電話での交流を認めるという手法は参考になるものと思います。
  

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