12月26日。津波の大災害から1年が経ちました。
マレーシアの隣国、インドネシアではまだまだ悲惨な状態が続いています。
今回は今年の1月末に新聞に載ったインドネシア人のある男の人の話を紹介します。私の記憶に残っている話ですので、内容は少し違うかもしれませんが、聞いてください。
あるインドネシア人の男の人(仮名Aさん)は2004年12月26日の大津波で沖に流さた。周りにはAさんだけでなく、何人かの人が流され、流木につかまっていた。
Aさんは大きめの流木に乗り、流れついた固いやしの実を自分の歯で割り、やしの実(食べられる白い部分)とジュース(やしの実の中のジュース)を飲んで、飢えをしのいだ。
日が経つにつれ、周りの人達は陸に向かって、泳ぎ始めた。しかし、Aさんは決して泳がなかった。体力がないこの状況で泳いでも、陸に着く前に泳ぎ疲れ、死んでしまう。それを知っていた。案の定、泳いだ人は、亡くなっていった。
Aさんはとにかく、流れ着いたやしの実を食べ、1ヶ月の間、沖にいた。「いつか、誰かが自分を見つけてくれる。」それだけを信じて。
1ヶ月経ったある日、Aさんはフィリピン漁船に見つけられ、見事、救出された。
皆さん、やしの実をご存知ですか?普通の包丁でも切るのも大変なやしの実です。
それをどうやって歯で割ったのでしょうか。
そして、周りの人達が泳いでも、決して泳がなかったAさん。
やしの実を歯で割ることができるたのも、体力がない時に泳いでも意味がないことを冷静に判断することができたのも、Aさんが普段の生活の経験から学んだものなのです。私はこの記事を読んだ時、日本人がAさんと同じような状況に遭った場合、何人の人が生き残れるだろうか?と思ってしまいました。
私達日本人の毎日の生活はどうでしょうか。家庭にあるものも、街にあるものも、全てのものが電気、機械で自動的に動き、自分の手や頭を使って、何かをするということが少ないですよね。便利で速くて、楽なことは確かです。でも、私達、何か困った時に手や頭を使っていますか?
何かが壊れれば、電話で業者を呼んで修理を頼むか、すぐ新しいものに買い換えることができます。新しい製品が出れば、まだ使えるものを捨てて、飛びついてしまいます。日本はバブルの頃に較べれば不景気だと言われていますが、世界に較べれば、本当にまだまだお金持ちの国だと言えます。
修理して使えば、まだ使えるもの、まだ壊れていないのに使えるものが家にありませんか。ちょっとしたことでも手間がかかることから逃げてはいませんか。
以前日本に住んでいた頃の私は便利社会に埋もれていました。台湾、マレーシアに住み始めて、その生活が変りました。業者を呼んでも来るのは明日、あさってならまだいいほう。そうなった時、誰も助けてくれないのです。頼れるのは自分だけでした。手間がかかることもやってみようとか、修理して使ってみようとか、難しくてもとりあえず、やってみようとか、そう思えるようになりました。(もちろん、台湾、マレーシアは他の多くの国に較べても便利な国だと言えますが、日本は世界一便利な国だと思います。)
忙しい日本社会ですから、「そんなのめんどくさいし、時間がないよ~。」と言われてしまいそうですが、便利さ、速さ、楽さだけが全てではないと思います。毎日の生活のちょっとした手間もAさんのように自分の経験となっていくのです。そして、私達の身の回りにある物ももっと大切にして使ってもらいたいと思います。私達のちょっとした気持ちがゴミの量を少なくし、環境にもいい影響を与えていくと思います。
もちろん、私もまだまだですが、頑張ります。