時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

懐かし旅 チリ2002/2003-16~緑のジュタ溪谷からアリカヘ

2012-02-12 15:15:51 | チリ
 チリ最北部、乾ききった風景の中で給油・小休止した後、アリカヘ向けて再びアンデスを駆け下りていきます。

 頂上まで砂礫に覆われた山の斜面を大きなヘアピンカーブを描きながら下ると、目に眩しい緑の溪谷が広がっていました。
 しばらくの間、この緑の溪谷の眺めを車窓に楽しみながら、国際道路11号線は一路アリカを目指してラストスパートにかかります!


 <ラウカ国立公園~アリカ>
   (リンク先画面左の3Dボタンをクリックするとルートが3Dで進みます←Google Earth)
   (ルートの表示位置や縮尺等はディスプレイの解像度やお好みに合わせて適宜調節してください)
   A:ラウカ国立公園 国境検問所附近
   B:国際道路11号線とパナメリカーナとの分岐点
   (Bからアリカ市街へのルートがどうしても設定できないのでここまでのルートとさせていただきます)

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 国際道路11号線(以下「11号線」といいます)は、給油のために小休止した高原状の区間を過ぎると再び両側を砂礫の尾根に挟まれて乾ききった溪谷を、この溪谷を穿ったと思われる涸れ川に沿って緩やかに高度を下げていきます。
 11号線は、正面奥から曲がりくねりながらここまで至る溪谷沿いに下ってきました。

 涸れ川には水の流れた跡はあっても、この時には少なくとも地表には疎らに生えた草やサボテン以外に水を連想させるものは存在せず、雨が降った時のみここには水が流れるものと思われます。
 雲一つ無い快晴となった碧空の下、雨の降る気配は欠片も感じられませんでした。

 11号線この区間で数度この涸れ川を渡りますが、世界で最も降水量の少ないこの地域では必然性に欠けると判断されたのか橋は架けられずに、(おそらく1年でも数える程しかないと思われる降雨時以外は常に)干上がっている河床をそのまま舗装して渡河していました。

 この涸れ川には、更に11号線を駆け下った先で別の川と合流した形で再会します。



 涸れ川の河原や両側の乾いた山肌に釘のように突き刺さって見えるサボテン。

 往路の記事でも少し書きましたが、「カンデラブロ "candelabro"」と呼ばれていて、単調になりがちな乾燥した風景に辛うじてアクセントとなってくれています^^
 車を停めてよく見ると、大きさや枝振りが中々個性的で、こちらも単調な運転で退屈しがちなドライブの道中での貴重なビューポイントでした。



 道程をアリカヘ3分の2位進んだ頃にあって、周囲には視界を遮る森林もないのでこれから駆け下りていく谷底までの走路を見渡せた;スリリングな Z 字状の大きなヘアピンカーブ(上記リンクの<ラウカ国立公園~アリカ>のルート地図を拡大するとよく分かります)を下ると、屏風のような乾いた山肌に挟まれた溪谷の谷底に、緑の沃野が広がっています!
 畑地のみならず、かなりの数の樹木まで目にすることができ、この溪谷を流れるジュタ川の水を利用した灌漑が大規模なことを物語っています。

 この溪谷は「ジュタ溪谷 "Valle de Lluta"」と呼ばれているようです。

 先程の涸れ川も、このもう少し上流でジュタ川に合流しています。



 上記リンクのルート地図を航空写真にするとはっきり判別できますが、まるで蛇のようにジュタ川の流れに沿って緑の帯が細長く伸びています。
 本当に水の供給がある部分だけが見事に緑に覆われています!

 灌漑が及ばず砂礫剥き出しの山肌との境界が実に鮮やかで、実に印象的な風景でした!

 荒々しい自然と、厳しい環境の中でも美しい田園を実現させたこの地に住む方々の誇りの双方に自ずと畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。



 11号線はまだこの田園からは少し高くなっている山肌の縁を通っていたので、少し引いて見ると、このようにこの溪谷のコントラスト豊かで印象的な眺めがよく分かります。
 谷底の緑、その周囲の砂礫色そして碧い空…どれもが清々しく快い風景でした^^

 このような大規模な灌漑が行われていることからも分かるように、ジュタ川はこの地域では大きな川で、11号線もこの川を跨ぐ際は橋が架けられていました。
 私が訪れていた時は実際に地表に水が流れていたかどうかは定かではありませんが、少なくとも太平洋に流れ込む河口部では地表を水が流れているようです;

 ここからは、小1時間も走ればアリカの予約していたホテルに到着します。


 <アリカ~ジュタ溪谷>
   (リンク先画面左の3Dボタンをクリックするとルートが3Dで進みます←Google Earth)
   (ルートの表示位置や縮尺等はディスプレイの解像度やお好みに合わせて適宜調節してください)
   A:パナメリカーナホテル・アリカ
   B:ジュタ溪谷・撮影地点附近(推定)
   ( B → A のルートがどうしても設定できないので逆方向からのルートとさせていただきます)

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 …ここで、デジカメのバッテリが力尽きました(TT)
 今日のそれと比べると笑ってしまえる程に少ない容量だったSDカードも画像ファイル満杯状態で、不要な画像削除だけでもバッテリが切れそうだったところのギリギリ状態でここまで来ましたが、ここで限界が来たようでした。

 十分休息もとれ、撮影もできなくなったので、ここからはノンストップで一路アリカを目指しました。

 途中、プトレへの往路で予備容器に給油したガソリンスタンドに立ち寄ってガソリンを満タンにしてから、予約してあった「パナメリカーナホテル・アリカ "Panamericana Hotel Arica"」へ到着したのは15時頃だったと思います。
 このホテルはビーチにも面したリゾートホテルでこの時期は真夏の南半球、水着姿をした大勢のお客さんで賑わっていましたが、設備はくたびれ気味でシャワーもほとんど湯が出ない状態…水シャワーでも気持ちが良い位に暑い日で部屋を移動するのも億劫だったので水シャワーを浴びてそのまま休みましたが、全体的におざなりな応対も宿泊当時は目立ちました。
 今日ではおそらく改修もされてサービス内容も改善されているのかもしれませんが、私がこのホテルに再び宿泊することは多分ないでしょう。

 休みながらとはいえ、朝から運転し詰めの行程で少々くたびれた身体を休めていたところへ、航空会社のランチリ(現ラン航空)から電話が入り(もちろんスペイン語ではなく英語でお願いしました(^^;)、ニューヨークでロストした私の預け手荷物が見つかったとのこと。
 この日の便でニューヨークを発つので翌日サンティアゴを経てアリカのホテルまで届けていただけるとの連絡をいただいたのですが、私自身は翌日アリカを出発して帰国の途に就く予定だったので、サンティアゴに荷物が着いたらアリカではなく、日本へ送ってもらうように依頼しました。

 ここでノートPCのACコードとデジカメの充電器を探したのですが見つからず…ロストバゲージの手荷物の中のようでした。
 これで、帰国までの写真撮影が不可能となることが確定(爆)
 残念ですが、この旅行当時の画像はこの記事でおしまいです(⊃дT)

 アリカは砂漠気候なので1日の寒暖の差が激しく、夕方近くなると大分涼しくなって湿度も極端に低いので過ごしやすくなります。
 頃合いを見計らって、夕食をとりにアリカ市街へと繰り出しました。
 町中のレストランでは、かなり豪快なブイヤベース風の「パイラ・マリーナ "Paila Marina"」という魚介のスープをいただきました。
 (リンクはウィキペディアの画像で私が実際に食べたものではありません)
 色々な種類の貝や白身魚の切り身等の具だくさんな熱々のスープで、これだけでも十分腹の足しになりました!
 ハーブも効いた、魚介のエキスが溶け出したスープも美味しかったです^^

 この後アリカの市街地をあてもなく散策しながらホテルへ戻り、アルティプラーノから太平洋岸へ駆け下りた風景の変化を存分に楽しんだ1日の余韻を噛みしめながら床に就き、この旅行でチリ最後の夜を爆睡しました。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (タヌ子)
2012-02-14 10:20:55
やはり緑を目にするとホッとしますね。
規模は全然違うけれど、クロアチアのPag島を思い出しました。
外から見ると乾いた白っぽい岩ばかりで、月面のような印象を受けますが、内部にはこんな耕作地が広がっていて、緑が目を和ませてくれたことを懐かしく思い出しました。
2度と訪れることができないかもしれない場所で、写真として記録に残せないって本当に残念でしたね。
でも写真を残せなかった分だけ、taろうさんの記憶には色々な光景が鮮明に刻まれているのでしょうね。
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Unknown (プー太郎)
2012-02-14 19:53:51
緑の大地とむき出しになった険しい山肌のコントラストがとても印象的です。
このような風景が突如目の前に開けたらあっと息を呑むと思います。
永久を思わせる大自然の中でのささやかな人為は一見つかの間のように見えるけれど、何処かで永久の流れと交わっているような気がします。

パイラ・マリーナはカタルーニャ地方にあるZarzuelaという魚介スープを思い起こさせてくれます。
かなり濃厚で最後のほうは飽きてしまうのですが大食いな私は必ず完食し、これでもう一年間はZaruzuelaを食べなくてもよいと思うほどお腹一杯になります。

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タヌ子さん。 (taろう)
2012-02-14 20:39:44
プトレを過ぎてから、潤いを全く感じさせずに人を寄せ付け難い景色の中をずっと走ってきたので、この溪谷へ降りた途端に目に飛び込んできた田園風景に、「ようやく人の手の及ぶ所まで戻ってきた!」という安心感が自分の中に広がっていきました。
パグ島も白い荒野と田園地帯のコントラストが、とても幻想的ですよね^^
私も色々な写真や画像で目にしていたので是非行きたいと思っていたのですが、昨年の旅行では時間に余裕がなく断念…そのうち是非訪ねてみたいです!
充電関係を預け荷物にしてしまったのは実に迂闊でしたが、ここに至ってはどうすることもできませんでした。
しかし仰るとおり、滅多に訪問できない土地への旅行だったのでその印象がとても強烈に脳裏へ刻まれたようで、思っていた以上に記憶に残っているものだな、と少し驚きながら、この記事の最後の部分を書いていましたw
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プー太郎さん。 (taろう)
2012-02-14 20:56:32
本当にこの地域のような極限の気候にあっては、生命の生存できるエリアとそうでないエリアとが厳しく峻別されることを目の当たりにして、とても印象に残りました。
そしてこの地の人々がどれ程この緑を貴重に、大切に扱っているかということが風景からヒシヒシ伝わるのを実感しました。
自然と対峙しつつも、自然の恩恵にあずかってバランスを保ちながら生活する術を、この地で暮らす方々はきっと開墾しながら身に付けてきたのでしょうね。
パイラ・マリーナはかなり豪快に煮込まれた状態で出されるので、人によっては煮込み過ぎと感じることもあるようですが、ハーブやレモン等を使って美味しくいただける工夫もされて、私にとっては魚の滋味が溶けたスープと共に、美味しいご馳走でした!
魚介料理の食べ比べというのも、魅力的な旅になりそうですね^^
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