やぎの宇宙ブログ

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サンプルは残ってるのか?はやぶさカプセルのその後

2010-06-27 08:18:57 | はやぶさ関連
6/14 予定通りの場所に着地していたカプセル。一夜明けてその姿を撮影した画像が配信されました。7年間の旅の末に、サンプルを持ち帰った(可能性のある)カプセルの回収作業が、本日午後から行われています。


6/15 ヘリコプターによる捜索で、日本時間6月13日23時56分、ついにカプセルが発見されました。14日午後から回収作業を開始し、同日16時8分までに作業を完了しました。
また、カプセル降下中に分離された熱シールドも14日14時頃に発見されました。
なお、着陸直前に「はやぶさ」は地球の撮影に成功していました。その画像が公開されています。


6/17
はやぶさの帰還に世間の注目が集まる中、後継機「はやぶさ2」の開発を推進しようという意見が日本政府内からも出ています。天文学を初め基礎科学の分野は「実用性が低い」という理由で、例の「事業仕分け」によってことごとく事業の廃止・縮小が決定されています。今回の帰還で手のひらを返したような姿勢には正直飽きれてしまい、これも国民の人気取りに利用されてしまうのではと心配してしまいます。実際にははやぶさは5年前に既に歴史的な発見を相次いでしており、その時点でもっと評価されて当然でした。「奇跡の帰還」は世間受けがいいですが、一般の人には分かりにくい成果や意義をいかに伝えるのか。科学を扱う私達にもそれを伝える努力をする責任があるのかもしれません。


6/18
18日2時15分、カプセルと熱シールドはJAXA相模原キャンパスのキュレーションセンターまで運び込まれました。


6/19
19日には、開封前のカプセルがX線CTで撮影されました。1mm間隔のスキャンで、内容物は確認できなかったとのことです。
X線CT…ここは誤解のないように説明しておきますね。X線を当てて通り抜けてくるX線を検出器で捉えるわけですが、多方向から検出したデータをコンピュータで計算すると、X線がどの位置でどれくらい吸収されたか(CT値と言います)が分かります。X線をどれくらい吸収するかは物質によって異なり、空気はほとんど吸収しませんが、石のようなものはかなり多く吸収します。場所による吸収率の違いを画像化したのがCT画像です。
多くの一般の方はX線CTはものの「断面」をみる機械と思っているのではないでしょうか?例えばスイカを1cm間隔で輪切りにしても(断面を見ても)その間にある種は見えません。しかしCTは違います。実はCTの画像は「面」ではなく、厚みをもった板のようなものです。実際にカプセルがどのように撮影されたのかは分かりませんが、「1mm間隔」というのは恐らく「1mm厚」での撮影だと思われます。画像に写っているのは実際には1mmの厚さ分の平均です。なので、例えば0.5mmの大きさの砂粒であっても画像上確認できるはずです。また、1mm厚と言っても、各画像の解像度は恐らく1mmよりも細かい解像度で撮影されているはずです。ただし、砂粒が小さければ小さい程、1mmの厚さの中に含まれる空気と一緒に平均化されてCT値は低くなってしまい、あまり小さすぎるとノイズと区別が付かなくなります。
結論を言えば、直径1mmのものはもちろん、数百µmのものも検出できるはずなので、それくらいのサイズのサンプルはなかったのだと思います。開封後の詳しい分析に期待しましょう。

6/25
昨日からサンプルコンテナの開封作業が始まりました。昨日はまず外側部分が開かれ、ごく微量のガスが採取されたとのことです。イトカワの成分が含まれているのか、あるいは大気圏突入後に混入したものなのか、それともカプセル内部で発生した揮発成分なのか。ガスといえども大変貴重な試料なので、今後慎重な分析が行われます。そして気になる本内側の容器の開封作業も進められていきます。


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2 コメント

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少し残念 (bbsawa)
2010-06-21 12:57:01
こんにちは。
CTスキャンて、そんな物なのですか。1回目の着陸時に神スライディングを期待していたのですが、世の中そんなに甘くないですね。
タバコの煙クラスの粒子は、なんとか欲しい。
一般の人には、綺麗な再突入の画像と奇跡の帰還で気持ちを掴んだので、後は興味を持続するものを用意するだけなんですが、それが多種多様なので難しい。
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こんばんは (管理人やぎ)
2010-06-23 00:51:02
サンプルは発見されていませんが、間違いなくイトカワに行って帰ってきたカプセルが、今日本にあるってことに興奮します。
サンプル回収装置が正常に作動しなかったのが残念でなりませんが、微量分析は日本の得意分野。
ここは日本の科学技術の高さを政治家の方々にもアピールするチャンスです。
帰還後も、もうしばらくはやぶさから目が離せそうにありませんね。
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