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実績上げてるのに給料上がらないんじゃやる気も起きないよな、やはり

2005-08-16 22:04:31 | 社会
医療領収書わかりやすく 詳細なら報酬加算 厚労省検討 (朝日新聞) - goo ニュース


上のニュースは治療診療を受けた患者に対しての「領収書」についてもっと内容と料金を具体的にしようという話だが、患者の立場にとっては、領収書の明細が治療や投薬内容を全部表示していてくれれば、レセプト(診療報酬明細書)開示と実質同じような効果があるだろう。

というのも、レセプトというものは審査を経た後に各健康保険組合や国(社会保険庁)などに送られて、医療機関はそこから患者=被保険者の自己負担分を除く診療報酬を得る訳で、言い換えるとレセプトは「国が定めた、診察や検査や薬などの料金表」なのだが、まぁ皆さんご存知だとは思うが医療事務従事者でないと分からないくらいとにかくややこしい。

行った病院の規模によって基本料金はやはり違うし、外来と入院では全く計算方法・計算基準が違うし、検査料や判断料や撮影料も病気や検査回数によって変わってくるし・・・きちんと勉強しない限り、どのみち料金体系・計算方法や点数の根拠などは患者にとっては分からないので、なら枝葉が切り落とされて最終的なサービスの値段が並べられている領収書の方が余程いいんじゃないか?ってことだ。

今年の4月からレセプト開示は義務付けられるようになって、患者は請求すればレセプトは貰えるらしいが、わざわざ組合などに請求するのも手続きの煩雑さもあるだろうし。(ただ私は最近病院にも行ってないし勿論レセプトを請求したこともないから、手続きが実際どうなっているのかは分かりません)
それに、レセプトの基本はあくまで「料金表・請求書」なので、行われた治療の"請求額"が適正かどうかを判断するにはいいが(それも勉強しないと分からないし)、患者側が「自分の病気に対しての治療が適正だったかどうか」を本当に判断するなら、カルテを請求して他の医者にでも見せてセカンド・オピニオンを伺った方がいいってこともある。


さて、医療制度については、医療の進歩による医療費の膨張、高齢化社会による老人医療費の膨張、それらによる社会保険制度の危機、診療報酬の不正受給(水増し請求)、小児科医の不足、医療ミス(ミスを繰り返すリピーター医師)、病気そのものの情報の欺瞞(*注1)、ドクハラ・・・などなど枚挙に暇がないほど問題だらけだ。

無論制度的な問題は個々の医師には関係ないし、立派に活躍されてる医師看護士(+薬剤師救急救命士etc.,)の方は沢山おられる筈だが、制度の欠陥が大きいがゆえに余計な問題が噴出してくるってことはあろう。
(どうも私のブログでは行政(官僚)ばかり批判しているけれども、批判したい欲求や思想が先にあるから粗探しをしているつもりはない、とだけは言っておきたい)

その意味でも、冒頭から取り上げている診療報酬制度(点数表)は、やはりいい加減根本的な改革をした方がいいのである。
点数表は、レセプトに書かれる明細それぞれの単価を決めた数値表で、この点数表が医療従事者の人件費に対する報酬を低くしており、点数の高い余分な検査・治療をしたり薬価差益の大きい薬などで患者を薬漬けにしないとやっていけないような状態になっている。

それだけならまだしも、点数表にしたがってレセプト書いて請求すると診療実態と合わないと訴える医師さえいると言うのだ。ただでさえ屋上屋を何重にも架すような場当たり的な細かい改訂を繰り返し、専門事務員がレセコンで作業しないと計算できないような点数制度になっている、すなわち医療費の請求だけで余分なコストがかかっているのに、それで実態も反映してないのなら複雑である意味が全くない。

単純な出来高制にすればいい、との医師の声もあるようだが、私はそれでもちょっと違うんじゃないか?と素人ながらに思う。
かかったコストをきちんと計算するのは当然なのだが、しかし、医療はサービス業である。勿論患者は健康を維持したいから・病気を治したいから病院に行くのだが、言うまでもなく患者自体の体は一律に同じでもなく、認められる一つの病気の中での症状・病気の状態も患者ごとに同じでもなく、治療法だって画一的な一つの方法で全部済むこともない。(単純な外傷ならばともかく)

逆に言えば「自分の病気が治らないからと言って責任を全て医師の側に押し付けるのもおかしい」のではあるが、ここで言いたいのはそういうことではなく、「必ず」がないからこそ、その後の結果によって報酬は支払われるべきだと思うのだ。

何故なら、女性の方々には分かりにくい喩えになるだろうが、相当強引に考えれば医療だってキャバクラのような水商売と同じと言えなくもないからだ。
つまり、高級店であれば確かに内装や従業員の服装や飲食物などは安い店よりお金はかかっているだろうが、実際メインのサービスが店によって大きく変わることはない。女の子がいて、客は一緒に騒いだりしゃべたり擬似恋愛を楽しんだりするのはどこでも同じだ。じゃぁ何で値段に差がつくのかと言えば、女性の容姿や知性や接客テクなどに差があるからだ。
質・能力が高いからこそ、そしてレベルが高い女の子の方が低い女の子と比べて「より満足した客の数が多い」からこそ、値段に差がつく訳だ。

で、医療においても、客が一番望むことは、「病気かもしれないという不安を払拭できること」「実際罹っている病気が治癒すること(少なくとも症状が改善して治ったと思い込めること)」なんだから、よりその望みを多く叶えてあげられた医師に対してより多い報酬が支払われるようなシステムにすべきだ、と言いたいのである。そういう風にしなければ、医師の中で向上心も生まれにくい・保ちにくいだろうし、医師・病院の間で競争原理もはたらきにくい。

医師以外の医療従事者はそういう訳にもいかないだろうが、とりあえず医師に関しては、各保険組合・国から支払われる基本の報酬は最低限度に留めて、後は結果・成績(例えば患者の症状・病気によるランク付けをある程度決めておいたうえで、その医師が治療した患者が「その後同じ病気で別の医療機関にかかって治療を受けなかった年数」に応じて報酬を加算していくとか)によって報酬を決めればいいんじゃないかと思うのだ。

勿論、今挙げた例でも、一度の治療後たまたま患者が数年病院に行かなかったからといって完全にその病気が完治していると言えるのかと言えばそうでもないだろうし、何度も同じような治療を定期的に受けながら長生きしてしまう人だっているだろうけど、「結果」に対して報いるような制度でなければ患者=客の側だって納得して支払いづらいというものだ。

まぁ医者看護士は誰にでもなれる職種ではないと思うし個人的にも(いい医者は)立派だと思っているが、これだけ問題が多い現状にも関わらず医師というだけで盲目的に信仰している人もまだいるようで、それも却って悪い方向に作用してるのかな、なんて思う。

最後に思い切り余談だが、実は私は未熟児で生まれて、当時は死ぬか重篤な障害を負う危険性がかなり高かったらしい。それでも一命をとりとめて五体満足で「一応」普通に生きてこられたので、その時私を救って下さった医師の方には(名前さえも知らないけど)本当に感謝しています。
その方が「もっと金払え」と言うのであれば、えぇ、それは厭いません(笑)


*注:
(1)
例えば日本人の60歳以上の6割は高血圧症と言われるが、過半数が高血圧ということは高血圧は加齢によるただの生理的反応だと考えた方が整合性があるし、欧米での研究では80歳以上は高血圧の方が逆に長生きするなんてデータがある。つまり、医療界と製薬会社が己の利益のためにわざと患者を増やしているのではないかとも考えられる訳だ。