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日々触れる情報から様々なことを考え、その共有・一般化を図る

将来のために振り返っておくべき過去と捉われてはいけない過去

2006-04-19 22:26:33 | 社会
韓国 日本に竹島調査中止要求(産経新聞) - Yahoo! ニュース


小泉政権のアジア外交の手詰まりはよく言われていることではあるが、まぁ竹島問題については、日本側は誰が首相であってもどこが与党であってもそう簡単に解決しない問題のように-つまりはとっくに泥沼化すら通り越してしまっているように-思える。

まぁ私も竹島問題についてそう勉強した訳ではないので(日韓双方が主張している、竹島=獨島の領有権の根拠となる過去の歴史の認識がどっちがどこまで正しくてどっちがどう間違っているのかは客観的に判断できていないという意味で)、単なる散漫な雑感しか書けないけれども、それはいつものことなので読者の方にはご了承頂くとして。


ただ、竹島問題は、どうも少なくとも韓国側に分があるようには見えない。冒頭のニュースは4/19付けのものでエントリーの日付も合わせてある(*書いているのは23日で今回は既に日韓の衝突は回避されているがそれは度外視して書かせて頂く)が、翌日のニュースにはこう(↓)ある。

《韓国外交通商省は20日、竹島(韓国名・独島)周辺での日本の海洋調査計画問題に絡み、韓国政府が国連海洋法条約に定められた強制的な紛争解決手続きを拒否する「宣言書」を18日付でアナン国連事務総長あてに送った、と発表した。》(読売新聞-BIGLOBEニュース)

主張の正当性に自信があるなら国際司法裁判所でケリをつければいいだけの話の筈だが、それを拒否しているということは、韓国は自分達の領有権の主張が正当性を欠いているのを分かっている、分かっていて国際法を無視して場合によっては実力行使に出ようとしている、ってことになる。

無茶苦茶に思えるが、その無茶苦茶をやらせているのは日本政府な訳で、確かに竹島を先に武力でもって(=無理矢理)実効支配したのは韓国だが、それは今となってはもう約半世紀前のことだ。
その半世紀の間に、韓国は竹島を天然保護区域に指定したり、竹島に有人灯台や接岸施設などを設置したり、竹島の切手を発行したり、支配を既成事実に持っていこうとする行動を続けてきた。

つまり、「韓国の竹島領有権には正当性がない」のが紛れもない"事実"だとの仮定に立てば(この論の中ではあくまで仮定である)、韓国のしていることは『人の家に武器持って押し入って居座り続けている』ことになるし、日本のしていることは『出てきなさいよと文句を言いながらも、排除のために積極的に動くことはせず遠巻きに見ているだけ』になる。
そんな状態が約半世紀も続いているがゆえに、冒頭に『とっくに泥沼化すら通り越してしまっているように』と書いたのである。


しかし、どっちの言い分が正しいのかはともかく、日本の側として、日本人として忘れてはいけないのは、韓国が竹島を実効支配するに至る「経緯」そのものである。

1951年にサンフランシスコ講和条約が締結され、この条約では日本が権限を放棄し韓国に返還する島嶼の中に竹島は最終的に"含まれていなかった"のだが、翌年4月の発効前の1月に、突然当時の韓国の大統領李承晩(り・しょうばん)が海洋主権に関する大統領宣言を行い、一方的に「竹島を含む韓国公海上において韓国籍以外の漁船が漁業を行うことを禁止」したのである。

これが所謂『李承晩ライン』と呼ばれるもので、1965年に日韓漁業協定が成立するまでは廃止されなかった。
で、問題なのは、この一方的なライン設定によって、設定の翌年から、韓国が日本の漁船を拿捕したり銃撃したりする事態が続いたことである。
1965年の李承晩ライン廃止までの13年間の間に韓国によって拿捕された船舶数は328隻、日本人抑留者数は3929人、死傷者数は44人と言われている。「単に脅して居座った」訳ではない。「近寄って来た者を殺してでも」居座っていたのである。

いくら日本が韓国に対して大東亜戦争までの負い目があるにしても、それとこれとは別問題だし、どう見たって韓国はやり過ぎだ。島根県民-特に境港で漁業に携わる人々以外の多くの日本人(私も含め)は竹島自体に直接的な利害関係や強い感情というのはないだろうが、韓国"政府"のやり方がこういう粗暴なものだったことは覚えておいた方がいいだろう。
(わざわざ「政府」を強調したのは、ヘタに韓国"人"といって嫌韓感情&ナショナリズム煽りたいとは思っていないからである)


で、しつこいがそれに事実上ロクな手を打ってこなかった日本政府も同様に宜しくなかったんだし、今回も韓国政府は(盧武鉉大統領の国内向けのポーズという側面はあるにしても)強硬姿勢を崩していないんだから、国際司法裁判所に持っていけない限りは話し合いによる解決なんてもう望めないように思えるが、それにしても「根本的に」分からないことが私にはまだある。

竹島自体はごくごく小さな島で、島自体に別に価値はない。だから、竹島問題は、国益という点だけからすれば結局EEZを巡る魚や鉱物などの海洋資源の問題でしかない筈なんだが、実際に韓国の主張するEEZと日本の主張するEEZの重複部分の海洋資源はどれくらいのものなんだろうか?

それが仮にそう大したものでもないのであれば、"歴史がどうであろうと"ごちゃごちゃ揉めるのは正直馬鹿馬鹿しいとしか私は思えない。
事あるごとに韓国政府・大統領に竹島問題が政治の道具として利用されるのも面白くないし。韓国では愛国教育は中国同様しっかり行われていて「獨島は韓国の領土」なんて歌があって日本大使館前で猛抗議する愛国心剥き出しの韓国人は実際にいるけれど、韓国人全てがそうである訳はない。でもそんな韓国人の姿を日本人がTVなどで見せられれば当然いい気分ではなく、韓国に対する嫌悪感情が増してしまう。

日韓の文化的な交流は昔っから「あった」し今も当然「ある」し、隣国同士別に無理に仲良く努めずとも普通に平穏な関係保ってりゃいいじゃないかと思うのだが、お互いの政府にも右寄りの人間にも、どうもわざわざ喧嘩をしたい「何か」があるらしい。

私は、自分なりに日本の風土や文化を愛してはいても天皇とか君が代とか日の丸に特別な感情は一切抱いていない、右から見れば不敬な人間なので、その「何か」はちっとも分からない。