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「理性的な判断」が可能な時代だからこそ

2005-08-20 22:20:38 | 社会
「誰もやらないから僕がやる」 堀江社長が出馬会見 (朝日新聞) - goo ニュース


私が遅筆なせいで一週間以上遅れたが(20日のニュースを28日に書いてるってことで)、一応ホリエモン出馬の話題は取り上げておこうと思う。もっとも、こうして取り上げること自体が彼への応援にもなってしまうし、でも私はちっとも彼のことを応援する気はない。
要するにこれを書いている私はアンビバレントな状態にある訳だが、個人的な好き嫌いで書く書かないを決めるのはこのブログ全体の趣旨からは外れるので、ちょっと書いてみたい。


彼も「おまえごとき何の力もない小市民に言われたくないわ!」と思っているだろうが、私も好き勝手に言わせてもらえれば、彼のことは全然買っていない。結論から先に言うなら、彼は近鉄買収話から今回の出馬に至るまで、結局自分と自分の会社のことしか考えていない(別にそれが悪いと言うつもりはない。「ふつーの人間」なら当然だ)人間じゃないのか、と思えるからだ。その意味では首尾一貫してて好ましいのかもしれないが。

以前のフジサンケイグループとの抗争の間、彼のメディアについての考え方にはどうも疑問で、きちんと伝わってきた(私が受け取れた)のは「自分の会社をデカくしたい」ってことだけだった、そのことは4/19の記事でも述べた。
そして今回のホリエモン出馬に際してブロガーの方々のエントリーを漁っていたところ、『貞子ちゃんの連れ連れ日記』さんが「堀江氏の真の狙いは郵貯のお金」のエントリーの中で、フジサンケグループとの抗争中に行われた江川昭子女史の堀江氏とのインタビュー記事(2/10付)を紹介しておられて私もそれを読んだのだが、私の堀江氏への見方はやっぱり変わることがなかった。

「ホリエモン叩き」がこのエントリーの目的ではないしそのインタビュー記事は政治と密接に関連した内容ではないからそう事細かには言及しないが、少しだけ紹介。
例えば、彼は新聞という媒体に対して「どうせ時代遅れだし既存の新聞なんてみんな情報操作してバイアスかけまくり」(=信頼なんておけない)と彼は見ているのに、でも自分の会社の「信頼度や格」を上げるために自分は形だけでも新聞を出したいとどうも筋の通らないことを言っている。
又、報道・ジャーナリズムに対する考え方でも、彼によれば「人気ランキング通りに新聞出せば、ランキングの低いゴミみたいな記事なんて必要ない」らしい。集計される人気ランキングが必ずしも世間の関心度をきちんと反映しているとは限らないし(好き嫌いやその場の欲求に関わらず人間が社会的存在として「必要」になる話題はあるからだ)、個人の情報収集能力には限界があるゆえに、たとえバイアスがかかっていてもマスメディアが広く取材をし様々な話題を拾い上げる意味があるんだが。

まぁそのように、素人目で見ても余り物事をよく知っているようには、深く考えているようには彼は見えないんだが、8/22のフジTV『とくダネ!』での彼の言動は「それ以前」だった感があった。
亀井静香とのやりとりがあって、その後スタジオのコメンテーターから堀江氏に質問がなされたのだが、諸星裕教授が彼の出馬の意図について少々批判的な質問を投げかけたところ、彼は突然不快感を露わにして「くだらない質問なんでもう答えなくていいですか?」と"明らかに"キレたのだ。(丁度そこで時間が来て彼との生中継終了)
おそらくスタジオの人間もまとめて驚いただろうし、私もビックリした。どのみち質問に丁寧に答えている時間は結果的になかったが、ちょっと答えにくい・自分に不都合な質問をされただけで、全国(多分)放送の生番組中にキレる人間なんて見たことがない。

彼は実は政治について深い知識を持っているのかもしれないし、もし議員になったら優れた功績を残すのかもしれないし、8/11の記事で述べたように私は政治は「何をなし得たか」という結果で判断されるべきだと思っているので、今の時点で「政治家としての堀江氏」を先んじて評価しようとは考えていないけれども、ああいう子供っぽい一面を見せつけられると、どうしても否定的な見方をせざるを得ない。

彼は、近鉄買収・新球団設立にもすぐに名乗りを上げたし、皆さんご存知の通りニッポン放送の買収も電光石火だったし、そして今回の出馬も話が持ち上がってから決まるまで4,5日で、決断しアクションを起こすのは非常に早い。
それだけ「機を見て敏」な割に、彼自身と彼の会社以外では結果が伴っていない。ってことは、やはり「思いつき」な訳で、今回の出馬もただの売名行為=「結局自分と自分の会社のことしか考えていない」と受け取れてしまうってことだ。


今回の選挙にはいつにも増して、ホリエモン筆頭に知名度をウリにした候補者が数多くいる。(勿論とっくに例えばプロレスラーの議員なんて沢山いた・いるんだが)

しつこいが「政治は志云々より結果」だと思うから、全く畑違いのところから突然政治の世界に来るのは一概によろしくないとは言えない。二世三世議員の方がかえってこれまで害になっているかもしれないし。
しかし、だからといって、知名度で票を持っていく、逆に言うと1票を持つ我々国民の側が有名だから何となくイメージいいからって票を投じるのが問題ないってことにはやはりならないだろう。議院内閣制である以上「政党」(その政党の政策)で選ぶのは筋だが、議員それぞれの「人」も同時に見るべきだ。ただ、その「人を見る」の意は、性格や人間性だけの狭い範囲ではなく、教養造詣の深さや議員自身の人間観世界観政治観まで含めて広く深く見るってことだ。

だからその意味でも、むしろ候補者は全て選挙期間中オフィシャルのHPなりブログなり作るのを義務づけるぐらいした方がいいだろう。公選法はネットの存在の前には殆ど意味がない。
候補者が「文章」によって広く選挙民に対して自分の理念や考えを訴えることができる、すなわち国民の側も街頭演説やTV出演などにおいての候補者のパラ言語に誤魔化される必要がなくなりある程度時間をかけてしっかり候補者を見極められる、今はそれが可能な時代なんだから、こういう時にこそ能動的メディアのネットの出番じゃないかな、と思う訳で。

ホリエモンにも、そういうことを言って欲しかったようなそうでもないような・・・