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どこかの地球のどこかの国のどこかの町の猫センサー

日記だったり日記じゃなかったり。

試される器

2011-06-07 | 文章長め
その人の名は「器」といった。

うつわ、と読む。

大器晩成などの器の意味かと思いきや、
実家が十二代家慶公の頃から続く漆器問屋の家系とのこと。

この名前も数代おきに受け継がれてきた由緒正しいもので、
先の器氏は日露戦争に従軍したとかなんとか伝えられている。

さて、そんな老舗も時代の波に流されきって半世紀も前に廃業し、
成長した器氏もいまは平々凡々なサラリーマンだったのだが。



悲劇はどこにでも舞い降りるもので。



四十路目前だというのにその気配がまるでない両親が業を煮やし、
よせばいいのに近所のいわゆる遣り手ババアに相談を持ちかけた。

水を得た魚との喩え通り、ババア、東奔西走すること数週間、
結果、どんな繋がりやら、すこぶる条件の良い話を探してきた。

当事者同士の希望もそれなりに満たすだけでなく、
相手は単純に一言で「大金持ち」で片付く資産家だった。

入婿という条件はあったものの、
金の力は多少の理性を吹き飛ばしてしまったらしい。

両親とそのババアの主導のもと、縁談はトントン拍子。
何度かの顔合わせを経て、結納挙式は手の届く範囲となった。



ところで。



不幸中の幸いならぬ、幸い中の不幸とでも言うべきか。

その頃の器氏は諸々が積み重なって多忙を極め、
精神的にずいぶんと衰弱状態にあったという。

縁談は両親その他に一切を任せて仕事に専念していたのだが、
ある時ふと、相手の名前をうまく思い出せないことに気づいた。

確かに少々紛らわしく、よくある名前と見せかけて、
ちょっと不思議な読み方をする名前であった。

なんて名前だっけ?

などという質問をするのは、
相手が誰っであろうとさすがに不味いと考えた器氏。

机とその周辺の書類やらなにやらをかき分け、
何度目かの食事会の案内状の発掘に成功。

ぼんやりとその容姿を思い浮かべてちょっとにやけつつ、
しかし、招待者である将来の義父の名前を見て愕然とした。



ぬくみず。



温水、器、‥‥に、なるのか。

その顛末はなぜか誰も話したがらないという。

コスト意識

2011-05-26 | 文章長め
コスト優先で疎遠になるという本末転倒。

常時接続が当たり前になって電話代で悩むことも減ったが、
たまにふと実家なんかに電話をかけて長話なんぞすると、
忘れた頃にやってくる請求書で顔のシワが増えることになる。

年寄りにはメールやチャットはハードルが高い。Skypeも同様。
使用頻度は低いので、面倒を避ける方を優先してしまうだろう。



メールは確かに便利ではある。

が、やはり音声通話や直接会っての会話に比べると、
あまりにも軽く、あまりにもドライすぎる。

そりゃぁ人間関係も崩壊するってもんだ。

いや、崩壊はしていないか。
急激に変わりつつある、てところか。

人間という言葉は人と人の間にうんぬんというが、
その間に電子機器が入るケースが多数になるのなら、
この言葉の意味も変わっていくのかもね。



などと、実家に電話をしようとして、
少し前に届いた請求書の数字を思い出して躊躇してしまったという、
なんとも親不孝というかケチというか、うーむ、なんだかなー。

ゆめ

2011-05-24 | 文章長め
甘く切なくほろ苦い夢を見せられた。

夜に見る夢のほうである。

こういう夢に限って、
覚めてもなかなか消えてくれないものらしく。

舞台は概ね中学三年の頃で、やはりこの時分の記憶は強いのか、
登場人物のイメージはみんなしっかりしていたように思う。

ま、夢の内容はさておくとして、あれからはや数十年。

彼らとは同窓会で数回会ったっきり。
卒業式以来というのも少なくない。

そして今はみんな、おっさんおばさん、なんだよね‥‥。

思い出す顔は若かりし頃のそれなんだけど、
同窓会なんかでは、それと現在とが変な重なり方をするから困る。

みんな元気かねぇ。

ゆめ

2011-05-24 | 文章長め
夢というのは記憶の整理と言われているが。

その整理は、何者がしているのだろうか。
大雑把に、無意識さんの仕業と言ってしまっていいのだろうか。

もしそうなら、無意識さんてば、記憶の整理が、
夢という形で意識さんに影響を与えているのを認識しているのだろうか。

もし認識しているとして、どのような整理の仕方をすれば、
どのような夢が出来上がるかを把握しているのだろうか。

さらには、その夢を見せることによって、
どのような反応を示すか、見当がついているのだろうか。

つまり、夢というのは、無意識からのメッセージで、
記憶の整理というのはその手段のひとつなのだろうか。

それとも単に、なーんにも考えず(ってのも変な言い方かな)に、
整理作業の副産物が漏れ出していて、という程度の現象なのだろうか。

そして、それを好き勝手に解釈して人の世に彩りを加える、
結果オーライ的な機能なのだろうか。

ま、どーでもいいか。

掘る掘る

2011-05-21 | 文章長め
常識が邪魔をしている、ということなのか‥‥。

発想にはもっとバリエーションがあっていいはずだが、
常識やら良識やらに遮られ、その大部分は失われてしまうのだろう。


>韓国の大部分のインターネットサイトで「田沢湖」を検索すれば
>「この湖のできた原因はまだなぞである」と書かれている。
>
>日本の情報をそのまま書き写したこの文を見れば、怒りがこみ上げる。
>なぜならばこの湖は日本に連れてこられた韓国徴用兵が掘った人工湖だからだ。

>http://blog.goo.ne.jp/pandiani/e/0f857ca014754ead2acd3e267882de43


ほんと。

その発想はなかったよ。



ああ、そうか、なるほど。

世界に散らばる謎の多くは、
これと同様の理屈?で説明できてしまうのかもしれない。

もしかしたら大発見かも知れない!
なんてこった!!(全て棒読み)



‥‥まぁ、宇宙は朝鮮半島で始まったって説もあるし。

なんでも起源を主張するんだったら、
それに伴う諸々の責任もとってもらいたいもんだ。

なんだかなー。

時間

2011-05-21 | 文章長め
人間は変わっていくものである。

ゆえに、たとえば、若かりし頃と現在との写真を並べ、
ああ、なんか、懐かしいねぇ、若かったねぇ、
なんて感慨にふけられるのは、まぁ、平和でよろしい。

色々と、苦労が、あったんだろうねぇ、
というのはまだマシとして。

何があったの?、とか、
同一人物?、とか、そういうのは、言葉につまる。

そして底辺レベルなのは、ああ、整形したのか、で、
最底辺は、ああ、失敗しちゃったんだね、てところか。

ま、人それぞれ、好きにすりゃいいんだけど。



とはいえ、いつまでも若いわけじゃないんだし、さ。

歳相応のシワやらなにやらが刻まれた顔というのは、
それはとても美しいと思うのだけれどね。

誤魔化すってのは、醜いよ。

誘惑

2011-05-20 | 文章長め
帰りのエレベータにて、未だ実現できていないこと。



終点近くのフロアにいる関係で、空っぽのエレベータに乗ると、
下るに従って人がじわじわと増えていく、というの普通となっている。

自然、入口付近で「開」と「閉」ボタンを押す係になることが多い。



で。



たまに遭遇するのが、エレベータのあっちとこっちで、
よその会社にお邪魔した人達が、その会社の人達に見送られるシーン。

双方とも深々と頭をたれ、エレベータの扉が閉まるのを待ち、数秒後、
ふう、やれやれ、と、ちょっとした小芝居をうったりうたなかったり。



この時。



私は「開」ボタンを押していることが多いのだが。

このまま「開」を押しっぱなしにしたら?

という誘惑が、毎度のように脳裏をよぎって困る。
果たしていつまでこの誘惑に耐えることができるだろうか‥‥。

烏合の衆

2011-05-20 | 文章長め
いっそのこと政党を廃止したらどうかね。

グループを作って徒党を組むのはやめて、
みんな、個人単位で、
考えて、判断して、結果を記録して、公開して。

ああ、個人の責任で、かな。
他人の意見を参考にするのは大切なので。

それと、そう判断した理由も明示してほしいな。

棄権なら棄権でも構わないし。
それぞれ、得手不得手はあるだろうし。

てか、相応の見識もなしに賛否を表明するのは、
むしろ無責任であろうよ。



議場も、もう、要らないんじゃないかな。

効率悪いし。

ネットを使えば、24時間365日、
いつでも議論を続けられるじゃない。

繰り返すけど、
本人の考えじゃなくてもいいからさ。

小規模な地方自治体あたりなら実現できそうな気がするけど、
あと10年くらいは無理なのかなー。

ブレード

2011-05-19 | 文章長め
荒川を走っていると色々な人をみかける。

楽器の練習は、ドラム、フルート、アコーディオン、
珍しいところではバグパイプ、などなど。

この間は、すぐ脇の駐車場で散髪している人がいた。

ああ、ここ最近の白眉?としては、
トンファーを繰り出していた空手家風?の人だろうか。



で。

先日見かけたのは、ローラーブレードで、
カメラを抱えて、ちょこりちょこりと走っていた人。

両手が空いているので撮影は楽だろうし、
移動能力もそれなりだろうから、これは良さそうだ。

撮影時にふらつかないかが気になるけれど、
まぁ、きっと、どうにでもなるに違いない。



とはいえ。

最大のハードルは、道路交通法第七十六条の4の三で、
交通量の多い道路でのローラースケートが禁止されている、かな。

「多い」の基準が分からんけど。

うーむ。

十分に交通量の少ない所へ、撮影旅行的な‥‥、
というのは、可能なような気がする。

うーむ。

もやもや。

訃報

2011-05-18 | 文章長め
芸能関係の記事の虚しさ。

知らない名前の、結婚やら離婚やら、
事故やら怪我やら、なにやらかにやら。

ふーん。

で、それ、誰?

というのも感じが悪いので、
へー、そうなんだー、と、適当に流す。



で。



たまに知った名前が出てきたと思ったら、訃報。
今後はこんなのばかっりなんだろうな。

そういや、30歳前後の頃には、
知り合いからの連絡は結婚やら出産やらで、ふむ、懐かしい。

もう少ししたら、、、いや、まだしばらく先のハズだけど、
やっぱり訃報がぽつりぽつりと届くようになるんだろうな。

まぁ、届かなくて、何かの拍子にそれに触れて、
また違った意味の寂しさとセットになることもあるけどね。

節電電車

2011-05-17 | 文章長め
節電電車は蒸し暑い。

まぁ、路線とか時間帯とか、或いは乗務員にもよるのだろうけれど。



昨日の有楽町線は冷房が効いていて、ちょっと寒かった。

のだが、本の世界に入って、戻って、ふと気づくと、
誰かが窓を開けたらしく、車内にはごうごうという風の音。

ここまでうるさいと喋る人も減るらしく、
また、細かいノイズも上書きされるようで、
これはこれで良いかもしれない、なんて思っていたら。



なんか、蒸し暑いぞ。



天井に耳を向けると、冷房は稼動したままと思われた。
風の流れが強いのでよく分からない。

疑問が沸く。



窓を、寒いから開けたのか、暑いから開けたのか。



ここ最近で電車が節電運転をするようになり、
その結果、窓の開放が珍しくなくなった。

安直に、節電 → 窓が開いていない → 開けよう、なのか、
寒い → 窓を開けて温度調整をしよう、なのか。

前者なら逆効果だし、後者なら電力の無駄であろう。



それともまた別の理由があるのか。

肌の乾燥を嫌って、とか、
風の音を楽しみたい、とか。

うーん。
ま、いいかー。

春雨

2011-05-12 | 文章長め
作業場所の引っ越し。

これを一つの契機として、私物の整理。

引き出しの奥から、カップ春雨と乾燥わかめ。
震災の時に買ったもの。

春雨はその日の夕方過ぎにスカスカのコンビニで、
ワカメは、その深夜に駅前へ遠征した際に105円ショップで。

インスタントのワカメ蕎麦に、
更にワカメを増量して空腹を凌いだ、と。

なぜ春雨が残っているんだ?

ああそうだ。

朝メシにしようとしたんだけど、
眠くて面倒で、結局そのまま帰ったんだった。

懐かしいねぇ。



‥‥と言えるのは幸運なんだろう。

被災地の様子は毎日ウェブやテレビで伝わってくる。
瓦礫の山は相変わらずだし、、、ふぅ。

まぁ、そうは思いつつも、異常事態と比べるのもね、
という自己ツッコミも数秒遅れでやってくる。

自分のできることをする。うん。



春雨とワカメは持ち帰った。

代わりに、という訳でもないが、あの日以降、
バッグにはカロリーメイトを忍ばせるようになった。

  ※ 賞味期限には注意しようね♪

ま、気休め。



右手のテーブルを眺めると、春雨のピンク、ワカメの緑。

ワカメはともかく、春雨のパッケージを見るたびに、
震災のことを思い出すんだろうな、しばらくは。

いいんだか悪いんだか。

折返し地点

2011-05-10 | 文章長め
細い回線もまだまだあるのだ。

56Kモデムの頃よりはよほど速いのだろうけれど、諸々の都合で、
あまり速度の出ない環境というのは、今でも確実に存在する。

少なくとも、いまお世話になっている会社(の環境)では、
数百人か数千人が、じわじわと表示されるブラウザを睨みながら、
おっそいなー、もー、てな感じでイライラしている筈である。



まぁ、慣れたけど。



そりゃー、テキストよりは画像のほうが見栄えは良いけどさ、
世間一般の回線はもっともっと速いんだろうけどさ。

あんまりゴテゴテしてても、
印象が悪くなるだけだと思うんだけど。

目は疲れるし。

もう少しシンプルに、
アッサリめにならんものかね。

サーバの負荷も抑えられるし、
それはつまり、節電にもなるだろうし。

ガタガタのテキストが嫌なら、Safariを使えばいいじゃない。



シンプルウェブで節電を。

まぁ、無理なんだろうなー。

境界

2011-05-08 | 文章長め
早朝静寂を楽しむ。

なんつって。

いま住んでいるところは、駅からは少し離れているが、
その引き換えに、非常に静かなところである。

さらに窓を閉めてしまえば、
血の流れる音が聞けそうなくらいに静かになる。



のだけれど。



その日はソファーに沈んで、
ああ、静かだねぇ、なんて、ぼんやりしていた。

ふと、時間が気になって、時計を見た。

朝の5時半過ぎ、というのは良いのだが、
そちらに気が向いた瞬間、時計の針の音に気づいてしまった。

カチ、カチ、カチ、カチ。

耳の方向を変えても、その音は消えず、
こうなると、気をそらそうとしても、何もしても、消えず。

さっきまであんなに静かだったのに。



耳が、脳ミソが、適当にフィルタリングしているらしいけれど、
となると、実は聞こえていても意識されていない音や、
或いは他の視覚や嗅覚の情報が、他にも色々とあるのだろう。

ま、そりゃそうか。

人間に認識できる範囲なんて狭いのだろうし、
さらにそこから取捨選択されているのだろうし。

なんてことを考え始め、かつ脇道に逸れると、
霊の世界はある!、なんてことになるのかなー。

丹波哲郎氏は2006年の9月に死去。
いまごろどちらにいらっしゃるのやら。

ドラえもん

2011-05-05 | 文章長め
荒川の土手を走っていたら、遠くから「助けて」オーラが。

パンクを連発して、替えのチューブも無し。

別の人に修理用のパッチを貰ったのは良いが、
また別の場所がパンクして立ち往生、とのこと。

チューブは無かったが、手持ちのパッチを渡し、
補修作業を見守って、じゃーねー、と、その場を立ち去った。

手持ちのアイテムが、誰かの役に立つのは嬉しい。



のだが。



これを経験してしまうと、あれもこれも、と、
荷物がじわじわと増えていく傾向が強くなる。

悪いことでも無いのだけれど、
やり過ぎると物の管理が面倒になる。

過去を振り返るに、トラブルとの遭遇は、
せいぜい年に数回あるかないか、なので。

ま、行動範囲を広げれば遭遇確率は上がるかもしれぬが、
その為に広げるというのは本末転倒で、、、ま、いいか。