猫面冠者Ⅱ

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“人気の六大学・実力の東都”って本当なのか?=両リーグの大学選手権結果を比べてみる

2019-06-06 14:48:00 | インポート
*H30年6月6日更新
以前、全日本大学野球選手権と明治神宮野球大会・大学の部:ベスト4以上の実績を“数値化”してみる…。という記事をUP致しまして、大学選手権と神宮大会での実績を、優勝=10点・準優勝=3点・ベスト4=1点として、各校及び連盟別の得点を一覧に致しました。
その結果、大学選手権では下表のように一位・東都、二位・六大学となりました。
得点 得点構成比 優勝回数 準優勝回数 ベスト4
東都大学 317 点 32.02% 24 23 8
東京六大学 289 点 29.19% 25 8 15
三位の関西学生野球(旧関六時代も含む)が118点ですから、この二つのリーグの実績が抜きん出ていることになりますが、さてそうなると大学野球ファンの間でよく言われる“人気の六大学・実力の東都”というのは、正確には“人気と実力の六大学・実力だけの東都”ではないのか?という疑問もわいてきます。

きちんと調べた訳ではないのですが、これまで色々過去の新聞や雑誌の記事を見てきた中で、“人気の六大学・実力の東都”と言われ出すのは、大学選手権で昭和39年の第13回大会から東都勢が四連覇を果たしたころだと思われます。

そこで、先に記した方法で両リーグの代表校の戦績を数値化して年度ごとの一覧にしてみました。点数の横の記号は
◎=決勝で対戦しての優勝
○=他リーグ代表との対戦で優勝
■=決勝での対戦で敗れ準優勝
□=他リーグ代表との決勝で敗れ準優勝
△=ベスト4

といたしました。また、年代ごとの実績を大まかに比べられるよう、十年ごとに区切ってみました。

出場校数 六大学 (累計)........ 東都 (累計) 対六大学得点差
S27:第1回 8慶 ○ 10 10 専 △ 1 1 -9
S28:第2回 9立 ◎ 10 20 中 ■ 3 4 -16
S29:第3回 9 明 ○ 10 30 専 △ 1 5 -25
S30:第4回 10 明 ◎ 10 40 日 ■ 3 8 -32
S31:第5回 10 早 △ 1 41 日 □ 3 11 -30
S32:第6回 10 立 ◎ 10 51 専 ■ 3 14 -37
S33:第7回 10 立 ◎ 10 61 中 ■ 3 17 -44
S34:第8回 10 早 ○ 10 71 専 △ 1 18 -53
S35:第9回 10 法 ○ 10 81 0 18 -63
S36:第10回 10 明 △ 1 82 日 ○ 10 28 -54
(期間累計) 82 28
(期間優勝回数) 8 1
S37:第11回 9 法 ◎ 10 92 駒 ■ 3 31 -61
S38:第12回 9 慶 ◎ 10 102 駒 ■ 3 34 -68
S39:第13回 9 早 ■ 3 105 駒 ◎ 10 44 -61
S40:第14回 14 0 105 専 ○ 10 54 -51
S41:第15回 14 0 105 日 ○ 10 64 -41
S42:第16回 14 慶 ■ 3 108 中 ◎ 10 74 -34
S43:第17回 15 法 ◎ 10 118 駒 ■ 3 77 -41
S44:第18回 15 0 118 日 □ 3 80 -38
S45:第19回 15 法 △ 1 119 0 80 -39
S46:第20回 15 法 ■ 3 122 亜 ◎ 10 90 -32
(期間累計) 40 62
(期間優勝回数) 3 5
S47:第21回 15 慶 □ 3 125 中 △ 1 91 -34
S48:第22回 15 0 125 中 ○ 10 101 -24
S49:第23回 15 早 ◎ 10 135 駒 ■ 3 104 -31
S50:第24回 15 明 △ 1 136 駒 ○ 10 114 -22
S51:第25回 15 法 △ 1 137 駒 △ 1 115 -22
S52:第26回 15 0 137 駒 ○ 10 125 -12
S53:第27回 15 明 ◎ 10 147 専 ■ 3 128 -19
S54:第28回 15 早 ■ 3 150 中 ◎ 10 138 -12
S55:第29回 15 明 ◎ 10 160 駒 ■ 3 141 -19
S56:第30回 15 明 ○ 10 170 亜 △ 1 142 -28
(期間累計) 48 52
(期間優勝回数) 4 4
S57:第31回 15 法 ◎ 10 180 洋 ■ 3 145 -35
S58:第32回 16 0 180 駒 ○ 10 155 -25
S59:第33回 16 法 ◎ 10 190 亜 ■ 3 158 -32
S60:第34回 16 法 ◎ 10 200 洋 ■ 3 161 -39
S61:第35回 16 法 △ 1 201 洋 ○ 10 171 -30
S62:第36回 16 慶 ○ 10 211 駒 △ 1 172 -39
S63:第37回 16 法 △ 1 212 0 172 -40
H 1:第38回 17 法 △ 1 213 専 ■ 3 175 -38
H 2:第39回 17 0 213 亜 ○ 10 185 -28
H 3:第40回 24 0 213 0 185 -28
(期間累計) 43 43
(期間優勝回数) 4 3
H 4:第41回 24 0 213 駒 ○ 10 195 -18
H 5:第42回 24 0 213 青 ○ 10 205 -8
H 6:第43回 24 0 213 駒 ○ 10 215 2
H 7:第44回 25 法 ○ 10 223 洋 △ 1 216 -7
H 8:第45回 25 法 △ 1 224 青 ○ 10 226 2
H 9:第46回 25 慶 △ 1 225 亜 □ 3 229 4
H10:第47回 25 0 225 0 229 4
H11:第48回 26 早 ■ 3 228 青 ◎ 10 239 11
H12:第49回 26 0 228 亜 ○ 10 249 21
H13:第50回 28 法 △ 1 229 日 □ 3 252 23
(期間累計) 16 67
(期間優勝回数) 1 6
H14:第51回 26 早 ■ 3 232 亜 ◎ 10 262 30
H15:第52回 26 0 232 亜 □ 3 265 33
H16:第53回 26 明 △ 1 233 日 □ 3 268 35
H17:第54回 26 0 233 青 ○ 10 278 45
H18:第55回 26 0 233 青 □ 3 281 48
H19:第56回 26 早 ○ 10 243 0 281 38
H20:第57回 26 明 △ 1 244 洋 ○ 10 291 47
H21:第58回 26 法 ○ 10 254 0 291 37
H22:第59回 26 慶 △ 1 255 洋 ○ 10 301 46
H23:第60回 26 慶 ■ 3 258 洋 ◎ 10 311 53
(期間累計) 29 59
(期間優勝回数) 2 5
H24:第61回 26 早 ◎ 10 268 亜 ■ 3 314 46
H25:第62回 26 明 △ 1 269 亜 □ 3 317 48
H26:第63回 26 0 269 0 317 48
H27:第64回 26 早 ○ 10 279 0 317 38
H28:第65回 27 0 279 0 317 38
H29:第66回 27 立 ○ 10 289 0 317 28
H30:第67回
H31:第68回
H32:第69回
H33:第70回
(期間累計) 21 6
(期間優勝回数) 2 0


上記の結果をまとめると

六大学 回数 構成比 東都大学 回数 構成比
優勝 25 37.88% 優勝 24 36.36%
(内対戦勝) 14 (内対戦勝) 7
準優勝 8 12.12% 準優勝 23 34.85%
ベスト4 15 22.73% ベスト4 8 12.12%
上記以外 18 27.27% 上記以外 11 16.67%
66 100.00% 66 100.00%


となります。

優勝回数は六大学が25回、東都は24回ですので、10年ごとの優勝回数と、ベスト4以上の結果を数値化した得点を表にしてみますと

六大学優勝 (期間累計) 東都優勝 (期間累計) 六大学得点 東都得点
S27~36(1~10) 8 1 82 28
S37~46(11~209 3 11 5 6 40 62
S47~56(21~30) 4 15 4 10 48 52
S57~H3(31~40) 4 19 3 13 43 43
H4~13(41~50) 1 20 6 19 16 67
H14~23(51~60) 2 22 5 24 29 59
H24~(61~) 3 25 0 24 31 6
25 24 289 317



となりました。

東都は準優勝の回数が六大学の三倍近くありますが、一方で決勝での六大学との対戦は21回で六大学の14勝7敗ですので、当然のことながら六大学に敗れて準優勝に終わるケースの比率も高くなります。

決勝での六大学対東都の対戦結果
1 S28 : 第2回 立教大 6 2 中央大
2 S30 : 第4回 明治大 1 0 日本大
3 S32 : 第6回 立教大 5 0 専修大
4 S33 : 第7回 立教大 4 3 中央大

5 S37 : 第11回 法政大 5 3 駒澤大
6 S38 : 第12回 慶応大 7 0 駒澤大
7 S39 : 第13回 早稲田大 0 2 駒澤大
8 S42 : 第16回 慶応大 1 3 中央大
9 S43 : 第17回 法政大 12 3 駒澤大

10 S46 : 第20回 法政大 4 7 亜大
11 S49 : 第23回 早稲田大 3 2 駒澤大
12 S53 : 第27回 明治大 5 0 専修大
13 S54 : 第28回 早稲田大 3 7 中央大
14 S55 : 第29回 明治大 8 1 駒澤大

15 S57 : 第31回 法政大 3 2 東洋大
16 S59 : 第33回 法政大 6 3 亜大
17 S60 : 第34回 法政大 4 1 東洋大

18 H11 : 第48回 早稲田大 2 6 青学大

19 H14 : 第51回 早稲田大 1 2 亜大

20 H23 : 第60回 慶応大 1 3 東洋大
21 H24 : 第61回 早稲田大 4 0 亜大


出場 優勝 六大学に勝ち 決勝の六大学戦勝率 準優勝 六大学に敗け 六大学に敗れ準優勝(%)
駒大 14 6 1 0.167 5 5 100.00%
亜大 13 4 2 0.500 5 2 40.00%
東洋 10 4 1 0.333 2 2 100.00%
青学 5 4 1 1.000 1 0 0.00%
中大 6 3 2 0.500 2 2 100.00%
日大 8 2 0 0.000 5 1 20.00%
専大 8 1 0 0.000 3 2 66.67%
芝工 1 0 0 0 0

65 24 70.333 23 14 60.87%


優勝回数が並んでいるのは、決勝で直接対戦した際に“人気の六大学”が“実力の東都”の優勝を阻んでいるからと言えそうです。

ただ、出場校数の欄を見ていただくとお分かりの通り、出場校数は次第に増えてきております。
かつては地区によってはリーグ戦の後に地区代表決定戦を行っており、現在のように一連盟一校になったのは第四十回大会からであります。

また、翌第四十一回大会からは選手権でも指名打者制が採用されました。


そこで、今度は第四十回大会の以前と以降で分けて集計してみることに致します。

昭和27年(第一回)~平成2年(第三十九回)
六大学 回数 構成比 東都大学 回数 構成比
優勝 19 76.00% 優勝 13 52.00%
(内対戦勝) 13 (内対戦勝) 4
準優勝 5 20.00% 準優勝 16 64.00%
ベスト4 8 32.00% ベスト4 7 28.00%
上記以外 7 28.00% 上記以外 3 12.00%
39 100.00% 39 100.00%


平成3年(第四十回)~平成29年(第六十六回)
六大学 回数 構成比 東都大学 回数 構成比
優勝 6 24.00% 優勝 11 44.00%
(内対戦勝) 1 (内対戦勝) 3
準優勝 3 12.00% 準優勝 7 28.00%
ベスト4 7 28.00% ベスト4 1 4.00%
上記以外 11 44.00% 上記以外 8 32.00%
27 100.00% 27 100.00%



これで見ると、四十回以降では六大学の実績は東都と比べてやや見劣りするようです。

ですので、大学選手権の結果で見る限りでは“人気の六大学・実力の東都”となるのは、平成に入ってからの第四十回大会頃からと言えるかもしれませんが、それまではほぼ拮抗した関係のように思われます。

また、その背景には単に野球の実力だけではなく、出場校が増えたことや指名打者制の採用といった制度の変更が行われた時期と重なることも考慮しないと六大学には少々気の毒なような気も致します。


一方で東都の方もここ四大会連続でベスト4入りを逃しておりますし、66回大会では東洋大が初戦で北海道東海大に完敗を喫するなど、近年言われている通り地方大学の躍進も目立っております。

“人気の六大学・実力の地方リーグ”となって、東都の存在感が薄れてしまう事の無いよう、今年の選手権では頑張ってほしいものであります…。


画像


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