一度は迷い込む人間の裏世界

　バイト先の後輩の元気がありませんでした。
　どうも、彼女の女友達の彼が浮気をしていたようなのですよね。

　話を聞くかぎり、うーわ。最悪という形の浮気の仕方で、男に必死にすがりつかれる修羅場だったようです。

　そんな友人になんて声をかけていいのか分からない上に、恋人がいながらも浮気をする「をとこ」という存在を実際に目の当たりにしてショックの隠せない後輩。

　恋愛って、はたから見ればあんた、絶対分かれるべきよ！という男でも、付き合っている本人にしてみれば情やらなにやらでそう簡単に見切りをつけられるものではありませんしね。謝られたらなおさらさ。信じたいって気持ちを上手く利用されちゃう訳だし。

　これは冬名の勝手な持論なんですが、浮気がバレて土下座する男ってまた繰り返し浮気をしそうな気がするんですよね。反省してるなら、バレる前に土下座するか、バレて別れを宣告されても受け入れる気がする。

　まぁ、そんなこんなで、部外者の冬名が後輩になんて声をかけるべきなのか。
　そういう、相手がいるのに浮気する人の心の裏って、誰もが一度は悩むことだと思うのですよね。
　冬名だってご飯も食べられないくらい悩んだことがありました。
　そういう矛盾を乗り越えて、人って成長するんじゃないかなぁと。

冬：　いや～、でもさ。若いうちに修羅場って経験しておいた方がいいんじゃない？

後輩：　……それなら、冬名さんが彼女に言ってください。私ではよう言えません。

　すみません。スッパリきり過ぎました。

　いや、でもさ。歳とってから修羅場るよりも、若いうちに見苦しいことしておいた方がいい大人になれるんじゃないかな？
　冬名はそう思うよ！
　じゃないと、今まで散々見苦しいことをしてきた冬名が歳をとっても恥かいていきていくなんて切ないわ！！（泣）