ふと、教習官がため息まじりにこうつぶやきました。
教習官: 冬名さんて、魔性の女だよね
冬: えっ、急に何を言うんですか。
教: そうやって、しらばっくれて。きめるところはきめる態度に、人は騙されそうになるんだね。
冬: いや、魔性の女っていうのは、美人で色気があって駆け引きがうまい女性をいうんですよ。そんな、もさい私には縁が遠いのなんのって……。っていうかそんなにもてるなら今頃寂しい大学生活送ってませんて。
教: 最初は上手にS字いけてたみたいだから、今日こそはA判定あげようと思っていたのになぁ。気が抜いている時にもう1回やってもらったら、2回も脱輪しちゃうんでもん。あやうく騙されそうだったよ。
冬: ……。
教: 通学、大変だろうけど。もうちょっと乗ろうな。
教習手帳の技能のページの上に、新たなはんこの表が張られました。
マスが20回分しかなかったのさ……。(今日で21回目)