動画で予告させて頂いた通り、多段全親に関してまとめていきたいと思います。現時点での目次です。
第一回:「全ての親」の意味
第二回:特殊座標への設置の意義・設置法
第三回:「全ての親」を使いこなすのに必要な技術(実際の使い方と、体に対して異なる場所への全ての親の動かし方)
反響・不備な点があれば次の回に反映させるか、追加でもう一回更新を行うかもしれません。コメントで「ここを動画で」「ここ写真で」などありましたら極力対応します。
掲載は極力今週中(本日2/20)に行います。いくつかのタスクを抱えながらの更新ですので、滞った場合は「何かMMDかボカロで作業してるんだ」と生暖かく見守っていただければ幸いです。
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【第6回MMD杯Ex】バレエモーション作成に用いた多段全親について
覚書 その1 「全ての親」の意義
実際のボーンの定義ではなく、私なりの理解・解釈とお考えください。断りが無い限り、標準、あるいは基本構造と記した場合、全ての親が無い、標準ミクさんのボーン構造を指します。
通常の歩行を考えてみましょう。モデルがA地点からB地点に移動した場合、「姿勢変化」という要素と、「モデルそのものの移動」という2つの要素が加わります。(姿勢変化は体のパーツの移動の結果ですが、この際、無視します)
標準構造の場合、この「姿勢変化」「移動」という二つの事を「センターボーン」と「足IK」で同時に担います。全ての親は、この中の「移動」という要素をセンターボーンと足IKから貰いうけることが出来ます。
と書いてもピント来ないと思いますが・・・ VPVP wikiなどで歩行モーションをもらってきて、全ての親で移動させてる方は少なくないと思いますが、まさに配布されているモーションが「姿勢」であり、その際の、各人が行う全ての親の運動が「移動」に当たります。
最初に書くべきでしたが、標準ボーン構造が、全ての親搭載構造に比べて劣っているという事ではありません。全親を嫌う人もいるわけで、それはそれで、扱いが難しい部分があります(私もそうでした)。ですが、複雑な動作をさせると、こんな問題に直面します。
「姿勢変化のための補正キーが、移動をかくつかせる」
MMDの場合、3つ以上のキーの動きをスムースにすることは中々難しく、人力で行うしかありません。ですので、キーフレームを増やすという事は、潜在的に動作がかくかくする原因を作る事になり、調整を必要とします。全ての親を用いる意味とは、特に、ジャンプ、回転などの移動を少ないキーで行うことで、スムーズに見せる、という事につきます。
では、何故多段化するのか? ですが、私なりの理解で、移動は3つに分解されます。
「平面移動 (=重力に対して直行する面の移動)」
「垂直移動 (=重力方向への運動)」
「軸回転」
多段とは、移動要素をさらに必要な分だけ分解し、それぞれの要素に留めることで、モーションを整理する、という事です。
実際、私の今回使用したモデルは、(X,Y,Z)=(0,0,0)という、基準点に3つの親があり、「一段目=平面移動と体の向きが変わる際の回転移動」「二段目=垂直移動」「三段目=軸回転(特にスピン用)」と使い分けました。
一見手間ですが、特定要素に限れば、むしろ入力するキーが少ない(=モーションが綺麗に見える可能性が増える)し、後でキーフレームを見返したとき、「この要素はここで調整知れば良い」という事がはっきりしているので、修正も比較的容易です。
例としてジャンプを考えてみましょう。
補助動作を除きますが、たとえば全親1段のみ、あるいはセンターだとこうなります。
「離陸の時の位置情報」→「頂点の位置情報」→「着地の時の位置情報」
ここは、多段全親でも同じです。仮に、走り幅跳びのような「平面の移動」を伴うジャンプでもあまり変わりはありません。
ところが、途中で体をひねったら?回転が入ったら? 何かしら、センターボーンや足IKを動かす必要のある動作が加わるとどうでしょう?
途中に補正キーが入ります。しかし、そのキーは姿勢だけではなく、位置情報を含みます。
結果として 離陸→頂点→着陸 というスムーズな(補間曲線による)ジャンプ運動が、妨げられます。
多段化して、この上下動だけ別要素にしておけば、途中でどんな動作をとろうとも、上下動に関する要素さえはさまなければ、ジャンプは補完曲線に基づいたスムーズな運動を行ってくれます。(もちろん、スムーズなジャンプはそれだけではありませんが、今回は趣旨から外れるので割愛します)
多段化の恩恵は、このように、特定の移動要素を、他の要素に阻害されにくくし、かつ、その要素にかんする調整を簡便にすることで発揮されると思います。次回に述べる、特定座標に移動させた全親での運動も、その点だけわかっていれば自ずと理解できると思います。
(第2回へつづく)
ソラのSS(PMDe上)
第一回:「全ての親」の意味
第二回:特殊座標への設置の意義・設置法
第三回:「全ての親」を使いこなすのに必要な技術(実際の使い方と、体に対して異なる場所への全ての親の動かし方)
反響・不備な点があれば次の回に反映させるか、追加でもう一回更新を行うかもしれません。コメントで「ここを動画で」「ここ写真で」などありましたら極力対応します。
掲載は極力今週中(本日2/20)に行います。いくつかのタスクを抱えながらの更新ですので、滞った場合は「何かMMDかボカロで作業してるんだ」と生暖かく見守っていただければ幸いです。
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【第6回MMD杯Ex】バレエモーション作成に用いた多段全親について
覚書 その1 「全ての親」の意義
実際のボーンの定義ではなく、私なりの理解・解釈とお考えください。断りが無い限り、標準、あるいは基本構造と記した場合、全ての親が無い、標準ミクさんのボーン構造を指します。
通常の歩行を考えてみましょう。モデルがA地点からB地点に移動した場合、「姿勢変化」という要素と、「モデルそのものの移動」という2つの要素が加わります。(姿勢変化は体のパーツの移動の結果ですが、この際、無視します)
標準構造の場合、この「姿勢変化」「移動」という二つの事を「センターボーン」と「足IK」で同時に担います。全ての親は、この中の「移動」という要素をセンターボーンと足IKから貰いうけることが出来ます。
と書いてもピント来ないと思いますが・・・ VPVP wikiなどで歩行モーションをもらってきて、全ての親で移動させてる方は少なくないと思いますが、まさに配布されているモーションが「姿勢」であり、その際の、各人が行う全ての親の運動が「移動」に当たります。
最初に書くべきでしたが、標準ボーン構造が、全ての親搭載構造に比べて劣っているという事ではありません。全親を嫌う人もいるわけで、それはそれで、扱いが難しい部分があります(私もそうでした)。ですが、複雑な動作をさせると、こんな問題に直面します。
「姿勢変化のための補正キーが、移動をかくつかせる」
MMDの場合、3つ以上のキーの動きをスムースにすることは中々難しく、人力で行うしかありません。ですので、キーフレームを増やすという事は、潜在的に動作がかくかくする原因を作る事になり、調整を必要とします。全ての親を用いる意味とは、特に、ジャンプ、回転などの移動を少ないキーで行うことで、スムーズに見せる、という事につきます。
では、何故多段化するのか? ですが、私なりの理解で、移動は3つに分解されます。
「平面移動 (=重力に対して直行する面の移動)」
「垂直移動 (=重力方向への運動)」
「軸回転」
多段とは、移動要素をさらに必要な分だけ分解し、それぞれの要素に留めることで、モーションを整理する、という事です。
実際、私の今回使用したモデルは、(X,Y,Z)=(0,0,0)という、基準点に3つの親があり、「一段目=平面移動と体の向きが変わる際の回転移動」「二段目=垂直移動」「三段目=軸回転(特にスピン用)」と使い分けました。
一見手間ですが、特定要素に限れば、むしろ入力するキーが少ない(=モーションが綺麗に見える可能性が増える)し、後でキーフレームを見返したとき、「この要素はここで調整知れば良い」という事がはっきりしているので、修正も比較的容易です。
例としてジャンプを考えてみましょう。
補助動作を除きますが、たとえば全親1段のみ、あるいはセンターだとこうなります。
「離陸の時の位置情報」→「頂点の位置情報」→「着地の時の位置情報」
ここは、多段全親でも同じです。仮に、走り幅跳びのような「平面の移動」を伴うジャンプでもあまり変わりはありません。
ところが、途中で体をひねったら?回転が入ったら? 何かしら、センターボーンや足IKを動かす必要のある動作が加わるとどうでしょう?
途中に補正キーが入ります。しかし、そのキーは姿勢だけではなく、位置情報を含みます。
結果として 離陸→頂点→着陸 というスムーズな(補間曲線による)ジャンプ運動が、妨げられます。
多段化して、この上下動だけ別要素にしておけば、途中でどんな動作をとろうとも、上下動に関する要素さえはさまなければ、ジャンプは補完曲線に基づいたスムーズな運動を行ってくれます。(もちろん、スムーズなジャンプはそれだけではありませんが、今回は趣旨から外れるので割愛します)
多段化の恩恵は、このように、特定の移動要素を、他の要素に阻害されにくくし、かつ、その要素にかんする調整を簡便にすることで発揮されると思います。次回に述べる、特定座標に移動させた全親での運動も、その点だけわかっていれば自ずと理解できると思います。
(第2回へつづく)
ソラのSS(PMDe上)