涙目筑前速報+

詰まるところは明日を知る。なだらかな日々につまずいて
向かうところはありもせず、未来の居場所だって未定―秋田ひろむ

CDJ(12月29日)所感日記

2015-12-29 23:31:45 | 音楽
音楽の話。
今日、幕張メッセに、COUNTDOWN JAPAN 15/16を観に行ってきた。
ちなみに、オギくんと僕で行った。
カミさんは体調不良で欠席だ。

今回は観たアクトの感想と、個人的なトップ3アクトについて書いていく。


■観たアクトの感想

・amazarashi

前々から贔屓にしているバンド、amazarashi。
今日はamazarashiを観に来たと言っても過言じゃない。
しかし、amazarashiはどちらかというとワンマンでひっそりやるような感じのバンドだと思っている。
歌詞や映像の雰囲気がフェスというお祭り向きじゃないんだ。
そういう心配が始まる前からあった。

しかし、始まってみると相変わらずのamazarashi節を叩き込んでくる。
まずは「後期衝動」でいつもよりも荒々しいサウンドで名刺代わりと言わんばかりにあの歌詞と映像を叩き込む。

いいからお前さっさと歌えよ 一体全体、誰だお前は?―amazarashi「後期衝動」より

そして、最後のこの歌詞を歌い終えた後、それに答えるように「COUNTDOWN JAPAN!1番手!青森から来ましたamazarashiです!」と名乗り出る。
この後期衝動の歌詞に応えるような青森から来たバンドだと応える演出。
ここがかなり熱い。
夕日信仰ヒガシズムツアーもこの手のオープニングだったが、これがかなり気に入っている。

その後の楽曲もいつものamazarashi。
いや、いつも以上に荒々しいというか、激しい感じ。
フェスだとこういう感じなのかと改めて感心した。
ただ、ファンの方はいつも通りだ。
手を叩いたり上げたりすることも無ければ、踊り狂う事もない。
ただただ彼らの歌詞・曲・映像を傾聴し、終わりきったところで、温かい拍手を送る。
そう、これがamazarashiのライブなのだ。
他のバンドではこうはいかないし、この部分が自分が非常に気に入っている所でもある。
彼らの曲や演出が悪いのではない。
あの楽曲や映像を見せられたら、とてもじゃないが不真面目に聴けないし、かと言って踊り狂う事も不要なのだ。
発せられる音楽や映像をただただ傾聴し、目と耳に焼き付ける。
終わったら拍手をもって賛辞を送り、次の曲を待つ。
これがamazarashiを聴く僕のスタイルでもあるし、おそらくamazarashiを好きな人はこういう類の人が多いのではないかと勝手に思っている。

そして、更に可能性を感じたのが、アクト終盤での秋田ひろむのMCだ。

「ありがとうございます。あと2曲です。音楽にはいろんな形があって、嫌なことを忘れさせてくれる音楽というのは素晴らしいんですけれども、現実に立ち向かってそこから一歩踏み出させてくれる音楽、たとえ少数でも、そういう音楽が必要なんじゃないかな、っていう歌です」

そこから新曲「多数決」が繰り出されるのだが、このMCの部分にこそ、フェスに対する、新たな価値観の提示ではないだろうか。

僕がこれまでのフェスで感じていたことは「日常の辛さを忘れさせてくれるくらいの楽しさ」だった。
しかし、amazarashiはそんな事はお構いなしに厭世的な世界を繰り出し、世界の辛さを謳う。
しかし、この「剥き出しの辛さを受け入れてでも前を向かせてくれる音楽」というフェスの価値観を提示してくれたように思える。
この世界は自分に優しくない。死にたいと思う事もあるだろう。
しかし、それでも前を向いて一歩踏み出していかなければならない。
amazarashiがいつも言っている事だ。
こういうノリがフェスにもあったって良いじゃないか。
何も明るく踊り狂うだけがフェスじゃない。
「嘘偽りのない辛さを表現し、それを受け止めた上で乗り越えていこう」と意気込みを示してくれる。
こういう事を感じさせてくれるフェスの音楽があっても良いじゃないか。

また、「amazarashiの歌詞は重い。鬱だ。」という評価がある。
しかし、それは違う。
それは表面的な厭世的な歌詞の一部分でしかなく、結局のところは「必死に生きて行かなければ」という事が歌われる。
このライブの最後に歌われた「空っぽの空に潰される」で言うところの「もう一度僕は駆けてみよう 必死で夢中に駆けてみよう」の部分なんかはまさにそうだ。

今回のライブで初めてamazarashiを知った人は、ここを重視してほしい。
世界に失望しているかのような歌い方の裏に、どれだけこの世界に期待して、前を向いて生きたいかが出ている部分こそ読み取ってほしい。

amazarashiはフェスに合うのか?という心配は杞憂に終わった。
寧ろ「自分たちのやり方・考え方がフェスで認められたっていいじゃないか!」と従来のフェスの考え方に真っ向から挑戦してきた。
新曲「多数決」の一節に下記のような歌詞がある。

賛成か
反対か
是非を問う
挙手を願う
―amazarashi「多数決」より


多数決による多数派の欺瞞を歌ったような曲なのだが、僕としては、この部分に今回のフェスにおけるamazarashiの挑戦というか、新たな価値観の提示の様なものを感じた。
個人的な贔屓目も大いにあるが、彼らのこのスタイルはフェスの新たなイノベーションとなるかもしれない。
そう思わせてくれるには十分なアクトだった。


・ZAZEN BOYS

amazarashiでごっつ感動したこともあって、このZAZENのアクトは気持ちの切り替えが必要だった。
だってZAZENだぞ?向井だぞ?This is 向井秀徳だぞ?
僕にとっての向井秀徳は「変だけど凄いメガネ」なのだ。
amazarashiで余韻に浸る間もなく、彼は変だけど凄い音楽を僕に聴かせようっていうんだ。
amazarashiが「引きこもりが意を決して部屋から一歩出る音楽」なら、ZAZEN BOYSは「廃寺に居そうな凄腕の剣豪みたいな音楽」みたいな感じ。
部屋から一歩出たらいきなり武骨で変な奴が無言で佇んでたらそれこそまた部屋に引きこもっちゃうだろ。
まあなんかそんな感じだ。

でも、それでも剣豪。
やはり音楽が凄いし面白い。
まず何が面白いって、演奏が始まる前の楽器調整の時に、当たり前のように本人たちがいる。
ああいうのは大抵スタッフの人達がやってるもんなんだけど、いつも本人たちが調整している。
終いにはメガネが「すいません、実際の曲で調整して良いっすか?」なんつっていきなり開演前に演奏をおっぱじめる始末。
だが、この辺もいつものZAZEN BOYSだ。

そして、演奏が開始されると、いきなり始まるのは「Riff Man」である。
ZAZEN BOYSお気に入りのトップ3に入るレベルのこの曲。
非常にギターのカッティングのキレ味が凄い良い。
四方八方から斬撃を食らっている気分。
そして途中からLED ZEPPELINの「Immigrant Song(移民の歌)」を取り入れたいつものアレンジも最高。

そして、次の「Honnoji」
デデ!デデ!デデデデ!デ!デ!デ!デ!というあのタイミングの合い方。
本当に何度聴いても凄い。
そして柔道二段と海坊主吉田の変態リズム隊。たまらねえよこんなん。最高だ。

他に気になったのが「6本の狂ったハガネの振動」
こういうR&Bみたいなのも出来るからこのバンド凄いんだよ。
ロックチューンからエレクトロ二カみたいなのから、こういうR&Bみたいなものまで。
本当に貫禄のあるバンドだと思う。


・モンゴル800

「あなたへ」と「小さな恋の歌」は良かった。


・ストレイテナー

ベースの人は相変わらず上手いなあと思いました。


・でんぱ組.inc

僕は聴きたくなかったんですが、オギくんが観たいっていうから。
オギくんが観たいっていうから。

数曲聴いただけなので何とも言えないわけですが、まあ何というか、サマソニでベビメタ観た時から思ったんですが(この時もオギくんが観たいっていうから。オギくんがry)、アイドルとロックフェスって意外と相性いいなあって。
いや僕が観たいかっていうとまた別問題なんですけど、アイドルってやっぱり煽り方が上手いなって。
皆を楽しませるノウハウがしっかりしている。
で、観客側もそれに全力で応えているのが素晴らしいね。

音楽のライブにおいては、色んな客がいるんですが、まあ以下の様な人たちをよく観ます。
※()内は私的偏見です。

1.黙って音楽に集中してる奴(ライブ後方は大体こんな感じ)
2.音楽そっちのけで踊る事しか頭にない奴(ライブ前方やエモ・パンク系のアクトに多い)
3.一体感を共有したいだけの奴(モッシュ厨やスキップして会場に入っていく奴は大体このタイプ)
4.その曲の歌詞を絶叫する奴(所謂熱唱厨)
5.演者の名前を絶叫する奴(V系とかのMC中によく湧く)
6.サイリウムを使いこなす(アイドル系に多い)


でんぱ組の場合は6が多いには多いんですけど、オタ芸みたいな変な踊り踊ってたり、必死にハンズアップしてたりしてる人もいる。
ただ、一体感を感じたいとかそういうのとはまた違って、なんかアイドルに人間性を捧げているような、なんかそんな感じだ。
人間性を捧げるってダークソウルじゃないんだからって思うかもしれないが、いやホントに何か捧げてる感じなんだってば。
コイツら金だけじゃなく魂まで捧げてやがるっていう。
何か救えねえけど、何かスゲエ。なんかそんな感じ。
あとかなりオラついた感じの人がいましたね。。
ラブライバーじゃないんだからって思いました。

でもこういう人たちが彼女たちをアースステージという一番大きい箱クラスのアイドルにまで育て上げたんだって思うと、何か熱いものを感じたね。
音楽よりもファンの動きに目が行ってしまう。
そういうタイプでした。


・HUSKING BEE

僕が行った時にはもう最後の方だったんだけど、最後の最後に「WALK」聴けたのは良かった。
ハスキンで一番好きな曲なんです。
いっそんを観たのはNANOMUGEN以来だけど、相変わらず絞り出すような声が素敵だ。


・TETSUYA

ラルクのベースの人。
やっぱり流石はラルクだなーと思いました。
曲自体がハイクオリティというか洗練されている。

ただ、そこでどうしても思っちゃうのがL'Arc~en~Cielという怪物バンド。
どの曲聴いてても「これラルクでやりゃいいじゃん」という所なんだよなあ。
てっつぁんの声やパフォーマンスが悪いのではなくて、あの曲調から感じることはやっぱり「ラルクっぽい」という部分。
それであれば、ラルクのバンドサウンドでやってくれた方がもっと良くなるんじゃないかというないものねだりなんだ。

僕がこの辺は期待し過ぎている部分もあるけど、やっぱりTETSUYAはラルクでやってなんぼなんだなって思いました。
あと、演出がかなりポップ寄りで、そっちが好きなんだなって感じた。
この辺はラルクらしくないっちゃないので、それが好きな人はTETSUYAが良いっていうかもしれない。


・MAN WITH A MISSION

今日最後に観たのはマンウィズ。
いやー凄い良い。がうがう本当に良い。
最初にamazarashiを「フェスの価値観のイノベーション」って評したけど、こっちは王道のフェススタイル。
とにかく良いサウンドとパフォーマンスで相手を躍らせてくる。
盛り上げてくる。
これぞフェス!って感じで。王者の風格みたいな感じで。

初めて観た時は、2011年だかのサマソニ。
クッソ熱いビーチステージでのアクトだった。
当時もオギくんと一緒に観てて、フェスに出れば大体観てきて。
「いや~いよいよCDJのアースに出るのか~」なんて話し合っててね。
ちょっと感慨深かったです。

新曲の「Memories」も秀逸だったし、新アルバムも楽しみだ。
あと「evils fall」⇒「Take What U Want」⇒「DANCE EVERYBODY」とつなげるメドレーもすばらです。
楽曲量が豊富になってきて、出来ることも増えて、マンウィズアクトの一つの完成系を観た。
それくらい素晴らしい内容でした。


■今日のお気に入りアクトトップ3

まあ、当たり前だけど順位をつけるのすらおこがましいほど、大体のアクトは素晴らしかった。
とは言え、それでも偏見や贔屓目は混ざるというもので、個人的なお気に入りを3つ書いていく。

3位:ZAZEN BOYS

貫録を見せつける素晴らしい演奏内容。
それぞれが個性的なバンドメンバー。
そしてそれを束ねる変な凄いメガネ。
今回も魅せていただきました。

2位:amazarashi

秋田ひろむのMCにあるように「嫌なことを忘れさせてくれる音楽」ではなく「現実に立ち向かってそこから一歩踏み出させてくれる音楽」を見せ、そういうのがフェスの音楽にあっても良いよねという一つの提示をしてくれた。
願わくばこの提示が今後のフェスの一つの流れを作っていって欲しいし、今回のアクトはフェスの在り方のイノベーションになりうるかもしれない。
今後も動向に注目したい。

1位:MAN WITH A MISSION

amazarashiがチャレンジャーなら、がうがうは従来の「嫌なことを忘れさせてくれる音楽」を全開に出してくれたと思う。
「これぞフェス!」と言わんばかりの素晴らしいアクトにセットリスト。
持ち曲が増えてメドレー形式も出来るようになったのも大きい。
新曲も良く、文句なしのベストアクトだった。
amazarashiはこの安定感や盛り上がり感に匹敵するようなアクトが求められるのだなと、個人的には思った。
そう感じるくらい、今回は個人的にはマンウィズに軍配が上がった。


■運営について

最後に、今年のCDJの過ごしやすさについて書いていく。
マイクロソフトが協賛していることもあって、かなり広くなった感じがする。
クロークから会場まで少し距離が気にはなるが、僕自身がクロークを使わないという事もあって、広さの方が優先度的には高い。
加えて、各ステージに電光掲示板があって、現在のアクトを行っているミュージシャンが表示されているのは非常に助かる。

個人的な邪推に過ぎないが、金銭や技術的な提供があるのかなと感じる分部もあって、例年に比べてかなり便利になってて過ごしやすい。
やはりいいスポンサーがつくと違うもんなんだろうか。
いずれにせよ、かなり良い傾向だと思う。
来年もこの便利さを継続できるなら、早い段階で通し券の購入も検討したいくらいだ。


以上のような感じだ。
amazarashiの挑戦的なアクト、マンウィズの王道的な素晴らしいアクト、ZAZEN BOYSの貫禄のあるアクト。
とにかく満足感の高い日だった。

明日もオギくんと一緒に行く。
注目は9mm Parabellum Bullet、ムック、DECAYS、サカナクション辺りだ。
殆ど一度は観た事あるバンドだが、Dir en greyのDieの新プロジェクトのDECAYSには期待大だ。
そして、サカナクションも久々なので、楽しみにしていたい。
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