△市民の憩いの場のハイドパーク(PFN)
・女性の社会進出の話
ロンドンの街には、多くの婦人労働者が目立った。駅員、バスの車掌や運転手、店員、事務員、マネージャー等々、女性達が色々な分野で活躍していた。彼女達は労働が好きなのであろうか。
日本では結婚すると主婦業に専念するが、イギリスは社会機構が違って女性に働き易い環境になっているのでしょう。社会福祉と男女同権が確立され、家に閉じこもる必要がないのであろう。しかし、現実は一般労働者にとって共稼ぎをしないと生活は楽ではないから、と私は感じた。
いずれにしても、彼女達の働いている姿を見ていると、頼もしさを感じた。
・接客の話
イギリス人は、ソ連人程ではないが接客は眞にスローモーであった。
レストラン(ウィンピー ハウス レストランの従業員はテキパキとやっていた)へ入って何か注文してもなかなか持って来なかったり、商店で先客の人がいると、その人の用が終るまで次の客の面倒を見なかったりした。先客に割り込むなら、「後で」と言われ、注意されるのがおちであった。
イギリス人は1人1人の客には親切に対応するが、纏めて、或いは適切な接客サービスが出来ない国民の様であった。
イギリスでは、レストランに入り注文しても、なかなか料理が出されなくても又、店に入って先客がいる場合、相手にされなくても時間や順番が来るまで待つのが心得(マナー)であると承知すべきである。
・最近の社会情勢の話
今日(1968年10月25日)のDaily Mirror(大衆紙)の紙面は、『学生達がLSE(London School of Economicsロンドン経済大学)を解放』と大きな見出しでトップを飾っていた。
「これは来る27日(日)、このLSEを本拠として、ベトナム戦争とウィルソン政府の対アメリカのベトナム戦争援助に反対して、学生・労働者達を中心に大掛かりなデモが予定される」と掲載されて、それらのデモに関する記事で賑わっていた。
このディスガスティングなベトナム戦争とアメリカ援助反対デモの計画は、2ヶ月前から予定・準備され、かなり荒れるのではないかと報じられていた。そして結果としてかなり荒れ、大勢の学生・労働者が逮捕されてデモは収束した。
シーラやレストランの人々の意見は、「彼等は戦争反対、平和と言っていながら、自分達自身が勝手に〝戦争〟(デモによって警官隊と衝突し、大勢の負傷者を出していると言った意味)を起こし、一般市民を巻き込んでいる。ナンセンスである」と言って、このデモには賛成していなかった。
その他に新聞紙面を賑わしている記事は、ジャックリン ケネディさんとオナシス氏の結婚に関する記事、ローデシア問題、そしてメキシコ オリンピックの話題であった。そうそう半月前、Mrs. Sheila(私のシーラと同じ名前)と言う婦人が6子の赤ちゃんを産んだ、と言う事でも話題を呼んでいた。
毎日、新聞を読んでいた訳ではないが、火事、殺人や強盗事件、或いは自殺の記事について、殆んどお目に掛かった事はなかった。そして、あれだけ自動車が街に溢れ、時には車も人も信号を守っていないのに、それらの交通事故の記事、或いはあれだけダブル デッカー バス(赤い二階建てのバス)が走って多くの人々が飛び乗り、飛び降りしているのに死傷事故の記事等がないのが不思議であった。イギリス人の交通道徳の高さが証明されているのか。
今日10月25日現在、メキシコ オリンピックで日本とイギリスは、仲良く金メダルを4個ずつ取った。最近どうも米ソが余りにもメダルを取り過ぎて、このオリンピックの世界に於いても二極化が激しくなっているようだ。私は、「日英ともがんばれ」と応援したい心境であった。