YOSHIの果てしない旅(人々との出会い、そして別れ)

ソ連、西欧列車の旅、英国滞在、欧州横断ヒッチ、イスラエルのキブツ生活、シルクロード、インド、豪州大陸横断ヒッチの旅の話。

私が見た事・感じた事 in London~ロンドンのバスの話

2021-10-09 14:24:37 |  「YOSHIの果てしない旅」 第6章 ロンドン滞在
                    △ロンドンのダブルデッカー バス(PFN)

・ロンドンのバスの話
 ロンドンにはアンダーグラウンド(地下鉄)の他に、もう一つ足の便がある。それは例の「ダブルデッカー バス」と言って、赤い二階建てのバスの事です。
古い歴史的な建造物の間を縫うように走る赤いバスは、一際目立ち、正に絵になる様な光景であった。私は10数回程度しか乗車経験がないが、ロンドン名物の赤い二階建てのバスについて、その感想を書いて見る事にした。
 地下鉄と違って、私はバスの乗車はいつも不安であった。行き先が分らず、例え分っていても自分の降りる停留場が分からなかった。叉、日本の様に車掌の案内もなかった。地下鉄すら放送をしていないので、バス車掌の案内などあり得ないのだ。
私の場合は、地理不案内の為、いつも車掌(大柄のアフリカ人男性が殆どであった)の傍に座って、「どこそこへ行きたいのですが、着いたら教えて下さい」と言ってお願いをしていた。車掌にお願いしたからと言って、不安は解消されなかったし、2階へ昇って景色を楽しむ余裕など全く無かった。2階へ昇ったのは、シーラの友達のジャネットの所へ行った時に乗っただけであった。
 不案内の乗客に対して車掌は、親切であった。私が不安になって、「どこそこはまだ着かないですか」と聞くと、「着いたら教えてやるから、ゆっくり座ってなさい」と言ってくれたり、身振り手振りで合図してくれたりしてくれた。それでいて大勢の他の乗客を扱って忙しいのに、着いたらちゃんと教えてくれた。私はこんな時、有り難く思うし、職務を全うしているのだ、と感心させられた。    
 バスの切符は、乗ったら車掌に行き先を言って買うのだ。すると車掌は、腰に巻いた切符発行機をキリキリ回して切符を売ってくれた。それは、車掌にとって大変な仕事の様であった。バス停から乗った乗客の一部は、切符を買わずに1階や2階の席に座ってしまう。車掌は今乗った客を目指して、「只今乗った方は申し出を、切符を発売します」と言いながら、階段を上り下りして切符を素早く売りまくっていた。
『申し出しないで無賃乗車しよう』と思っても周りの眼があるし、又そんなケチな了見を持っているロンドン子はいないのだ。常に2階へ行ったり下へ降りたりして、切符を売り廻る車掌の仕事は、私は重労働に見えた。
 このダブル デッカー バスは、『定員数』を越えると乗せてくれないが、特に車掌権限で定員を超えて、乗せてくれる時もある。朝のラッシュ時は満員の場合、停留場で降りる人がいなければ、乗る人がいても通り過ぎてしまう。私もその様な状況に出くわした事があったが、誰も文句を言う人はいなかった。
 バスの乗降口は、一番後ろでステップが一段低く広くなっていて、乗客はそこから乗り降りする。人によっては、バス停留所でない場所で、例えば信号が赤で止まっている時、曲がり角で速度が落ちた時等で、平気で乗り降りしていた。又、車掌は危ない行為をした人に、注意もしなかった。乗客の責任に於いての行為は、万一怪我をしても乗客の責任なのだ。個人の権限と責任、車掌の権限と責任がはっきりしているようであった。
日本の交通労働者は、守備範囲は広く、権限は誠に不明瞭で、責任だけがどっしりと圧し掛かっていた。乗客が危険な乗車や降車して怪我をすると、車掌又は運転手に大きく責任が掛かり、時には業務上過失致死傷罪で逮捕される事もある。
 「交通の主体は交通労働者にあり」の概念は、やはりイギリス特有なものであろう。


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