YOSHIの果てしない旅(人々との出会い、そして別れ)

ソ連、西欧列車の旅、英国滞在、欧州横断ヒッチ、イスラエルのキブツ生活、シルクロード、インド、豪州大陸横断ヒッチの旅の話。

私のロンドン生活~買い物の話

2021-10-15 09:06:54 |  「YOSHIの果てしない旅」 第6章 ロンドン滞在
・買い物の話
 八百屋、魚屋、そして雑貨屋も近くのHighbury Street(ハイバリー通り)にあるので、買物は不便でなかった。しかし野菜や魚の種類は日本より少なかった。特に野菜の種類は顕著であった。
 イギリスは、〝アメリカ式ストア〟(スーパーマーケット)の近代的な店ではなく、個人経営の従来の店舗型であった。スーパーマーケットは北欧やドイツで見掛けたが、その他の国では見掛けなかった。
 買物は1人生活なので量に於いて不便さがあった。1度何かを買うと何日も残った。特に食パン(一斤。こちらは防腐剤が入っていない)を買うと2・3日でカビが発生し、勿体ないが捨てた事も度々あった。
 買物時の失敗談と言うか、チョットした事があった。それは・・・・。
下町の郵便局へ行った時、マッチが売っているので、私はそれを買おうと思った。局員のおばさんに、「Match, please」(マッチを下さい)と言ったら、そのおばさんは、「・・・マッチ?」と言って私の言った言葉が分らないのか、考えている様子であった。私はマッチを擦る手真似をしながら、再び「Match, please」と言った。そのおばさんは、「Oh, matches」(分りました。マッチ箱ですね)と言って、私にマッチ箱を差し出しながら「This is matches, no match」(これはマッチ箱で、(一本の)マッチではありません)と言ったのだ。我々のやり取りを見ていた周りの人達は、可笑しそうな顔をしていた。私の顔は恥ずかしさで赤くなった感じがした。そして局員のおばさんから恥をかかせられたようになり、腹立たしさを感じた。
英語の複数で成り立っている単語は、複数形で発音すると言う事ぐらい知っていた。しかしマッチ1本を買いに来るバカがどこにいるかと思うのだ。「Match」と言われて、「A box of matches」を連想出来ないイギリス人の融通のなさ、機転のなさが証明された様なものであった。日本であったら、「マッチ下さい」と言ったら、店員は黙って一箱のマッチを出す。マッチ1本出す店員は100%いない。日本では要するに、『マッチ一箱』でも『マッチ』でも同義語なのだから、イギリスでも同じに連想出来ないのか、如何であろう。
頭に来たからと言って、怒る程の事ではないが、それについて議論する英会話力がない私なので、悔しいが「Thank you」と言って引き上げざるを得なかった。
 それから似た様なケースが後一つあった。それは・・・。 
歯磨き粉も練歯磨も、私は日常生活に於いて「歯磨き粉」と言っていた。そして練歯磨は子供の頃、無かった。
いずれにしても、『その歯磨粉』が使い終わった。買いに行くのにその単語が分からず、和英辞書で調べた。辞書には、『toothpowder, dentifrice, toothwash, toothpaste, toothcream, dentalcream』と色々載っていた。
 ハイバリー通りの雑貨屋(野菜も売っている)へ行って、いつも使っている様な歯磨き粉がないか、店の陳列棚を一回り見たが、見当たらなかった。それで男性店員に一番言い易い単語で、「Toothcream, please」と言った。しかしその店員は?不思議がって、理解して貰えなかった。それでは二番目に言い易い単語で、「Toothpowder」と言ったが、又も店員は分からず、『・・・?』と考えていた。さぁー弱った、あとの単語を忘れてしまったのだ。
仕方なく私は、「I want something to brush my tooth」(歯を磨くのに必要な物が欲しいのですが)と言ったのだ。すると店員は、「Oh! toothpaste」(オー、練り歯磨きですね)と言って、ある陳列棚からそれを取り出し、私に渡してくれた。
 私の発音が悪いのは、最初から承知していた。不思議なもので、辞書に出てくる単語が実際に通じなかった。英会話に於ける単語の使い方は、その時の内容や状況によって、色々と区別されるのだ。
そしてここでも店員の融通や機転が無かった。『一歩突っ込んだ考えが無いのか』と疑いたくなった。彼等はお客さんに言われた事を考え、「それは何ですか」、「どんな時に使うのですか」、或いは「toothpowder(歯磨き粉)はありませんが、paste(練り用)ならありますよ」等、お客さんが何を求めているのか、分らなければなぜ質問しないのか、それが不思議であった。要するに彼等は、前向きな売り方が足りないのであった。裏を返せば、品物を積極的にお客さんに売りたくないように受け取られた。否、イギリス人は概して『積極的にお客さんに商品を売ろう』と言う姿勢が足りない、と感じられた。
 しかし、「融通や機転が無いから、彼等は不親切であった」とは言ってないのだ。彼等は、親切であった。ただ、融通、機転が『今一』なのであった。


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